2014年7月18日金曜日

売掛金請求をまとめてみた

売掛金請求をまとめてみた
[弁護士の仕事]

Last updated 2010.02.28 11:01:17
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201002270000/改訂(H22.6.20改訂)



売掛金の請求をまとめておきます。



「項目」(目次代わりに)

1 財産があったら仮差押!

2 請求金額に応じた弁護士費用

3 特定が一番難しい

4 支払日と,期限の利益喪失

5 時効に注意(思ったより短い)

6 貸倒損失と弁護士費用



「細かく説明」

1 財産があったら仮差押!

裁判をしても財産がなければ判決は只の紙切れとなる可能性があります。

判決を取っただけでは債務の満足を得ることはできません。差押等の執行をする必要があります。

しかし,判決後に,財産が使われるなどしてなくなっていれば元も子もありません。

  財産を予め押さえておく手段が,仮差押・仮処分です。

財産(預貯金,他の売掛金等債権,不動産等)があれば,仮差押をして,後に裁判をして,ゆっくり債権回収にかかるのが最もよい。
裁判をすると時間がかかります。財産確保の方法です。


 問題は,空振りにおわる可能性があること,担保金を裁判所につまないといけないことでしょうか。



2 請求金額に応じた弁護士費用

大抵は,請求金額に応じて弁護士費用(着手金)が定まります。

昔は,弁護士会が報酬規定を定めていました。

今は,弁護士会のものは廃止されましたが,この旧基準を元に報酬基準を作成している事務所が多いです。

大体,請求金額の8%~10%が相場でしょうか(着手金)

別途,郵便代等の費用がかかります。



3 特定が一番難しい

売掛金請求は,法律的にいうと,売買代金請求となります。

売買は,売った・買ったのそれぞれ一つずつの取引で,各成立するのが原則です。

したがって,長年売った買ったを繰り返している場合,

    売買年月日 

    対象の物・サービス(製品番号,シリアルナンバー等)

    代金額(消費税に注意)

    支払期日(締め日と支払日に注意)

が各特定されなければなりません。

消費税が,一定の期間毎で一括して計算されている場合,
かなり悩んだりします。



特に,裁判手続(訴訟・仮差押)をする場合には,この作業が一番手間がかかります。
私の場合は,Excelで,計算書を作成していきます。

 

証拠としては,

請求書(写し),発注書,請求請書,納品書等,

上記が分かるような書面が必要となります,

 

ちなみに,裁判手続(訴訟・仮差押)の場合にも,特定が必要不可欠ですが,

内容証明を出す場合は,必ずしも厳密な特定はいらず,

残○○円を支払え等一括請求でも問題ありません

(ただ,何の債権か,相手方が分かる程度のものは必要)。



4 支払日と,同時履行の抗弁権

売掛金(売買代金)請求自体は余り難しい類型ではありませんが,

   支払日は,時に問題となります。

時に契約書がない場合には,問題となる場合が多いです。



 以下では契約書がない場合を前提とします

(契約に書かれている場合,勿論,それに従うことになります)。



 締め日と支払期日が分けられている場合,

  毎月10日締め日,翌月末日支払

の約束がある場合,

  例えば,3月31日に支払がされなかったとしても,

   3月11日~3月31日までの債権は,4月30日に支払期日が来ます。
直ぐに前記期間分の請求はできません。

   4月30日が経過した時点で,請求が可能です。



これを期限の利益といいますが,契約がない以上,他の契約に影響しない

ということになります。

逆にいえば,簡単にいえば,簡単な契約書を作っておくべきということになります。


「もっと簡単な方法」

注文書・注文請書に,必要事項を書いておけば,それに従って発注書・注文請書が発送されれば,注文書の必要事項に同意されたものとされ,契約となります。

注文書・注文請書の記載についても弁護士に相談するのが良いと言うことになります。

 

同時履行の抗弁権とは,

   代金を支払うまで物を渡さない

ことができるというものです。

代金の支払を受けるためには,物が納品されたことが原則必要となります。

これも本当は難しい問題があり,一言で書き表すことが難しいところもあります。



5 時効に注意

売掛金の時効は,支払日から2年です。

支払日が,過ぎる順に時効となっていきます。

意外と早く期限が来るので注意が必要です。

誤解が多いところですが,

   請求書を出し続けても時効は止まらない

ので注意が必要です。



6 貸倒損失と弁護士費用と税金

売掛金がとれないと確定した場合には,貸倒損失として損失処理ができます。

   貸倒損失

の認定は,結局のところ税務署の判断となるところが多いとされ,自己破産や民事再生がされればよいのですが,それがされないままということもよくあります。

 

貸倒損失と認められる場合の最も良い方法の一つとして,

    弁護士に頼んで裁判までして差押までした

が,とれなかった

という既成事実を作り上げる方法があります。

   取れないことが分かっておきながらも,

    裁判をして,

    差押が空振りになって,

 更に念押しするため

    内容証明で債権放棄をする

という一連の流れで

  回収不能の実績

を作り上げていきます

(勿論,差押で予想とは異なり回収ということも十分考えられます)。

 なお,そのために要した弁護士費用自体も経費となります。

 

 税金の面から考えれば

  (全額ではないが)実質回収ということになります。

 請求書を出し続けたり,1年以上待たなくてもよいという手間や時間が節約できます。



 時効も判決をとれば10年に延びますので,

  今は財産がなくても積極的に裁判をすること

は結果的に良い方法といえます。

Last updated 2010.02.28 11:01:17


H22.6.20現在のコメント
最もよくありそうな紛争類型を,一度でポイントをまとめてみました。
債権の特定は,仮差押の段階で厳密さが裁判官より求められることが多いでしょうか。
消費税の計算が合わなかったり,
一部支払がされている場合の充当関係
等法律的には,結構悩む場合もよくあります。

なお,売掛金が140万円を超える場合は,弁護士しか処理できません。