2010年6月21日月曜日

訴訟戦略:裁判か交渉か・・・悩むがそれしかない!場合

訴訟戦略:裁判か交渉か・・・悩むがそれしかない!場合
[ 訴訟戦略 ]

Last updated 2010.03.04 11:52:20
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003030000/改訂(H22.6.21改訂)


「はじめに」

裁判か交渉か,



弁護士は,すぐに裁判をしたがる,本質は,和解交渉である。

旨他業種の方が書いているのをみたことがあります。



弁護士が,他業種より喧嘩早いのは事実でしょうが,

和解交渉を本質としていないとは思いません。



そこで,訴訟戦略(2)として,

裁判か交渉か

を,書きたいと思います。



「目次」

1 力と交渉・・・交渉の背後にある力

2 法的手続による正当性の確保 

3 例えば,反社会的勢力の交渉と妥協の一定ライン

4 交渉か訴訟か    

5 交渉で終わらせるべき事件,訴訟にならざるを得ない事件



「本論」

1 力と交渉・・・交渉の背後にある力

  外交と戦争との関係と同じですが,

  法的交渉は,背後に力があらねばなりません。

  法的問題の力は,法的手続です。



内容証明で幾ら請求しても,いつまでたっても法的手続に一切入らないものは,いつか,見捨てられます。

ああ,裁判は嫌なんだなと見破られれば,足下を見られます。



最終的には法的な強制力をもって権利を実現する,強い意思と手段があるからこそ,交渉が前に進むのです。

  

和解を前提にしても, 潰れたら即座に法的手続に移行し得ることが,必要となります。



 司法書士には,140万円以内の交渉権しかありません。

 行政書士には,交渉権自体がありません。

 だから,140万円を越える場合は,特に,弁護士に頼むべきである

という論があります。

これ自体は間違いではありません。
140万円を超える争訟で,行政書士や司法書士を頼めば,
裁判になったら,改めて弁護士を頼むか,自分でやらなければなりません。

訴えて下さいと腹を決められれば,
交渉が膠着状態になりかねません。


ただ,実際の問題は,どちらかというと些細な問題と考えます。

お金の問題よりは,和解が潰れた際に,スムーズに次なる手段に移行できる,必要があるかで考えるべき問題と考えます。

どのような交渉でも,最終的に法的手続ができるか否かという問題が最も大きいと考えます。

行政書士ならば,交渉自体を拒否すればよい,

司法書士ならば,裁判されないであろう,有利に和解に持ち込めばよい

と思われること自体が,交渉に不利となることは勿論です。



2 法的手続による「正当性の確保」 

裁判等の法的手続は,確かに(比較的に)費用も時間もかかります。

しかし,ある一定のラインを超えて

  妥協してはならない場合

も,交渉事には,よくあります。



その交渉結果だけみれば費用も時間もかからなかったが,一定のラインを超えてしまったので,社会的に多大な損失を被ったというのは現実では,よくあります。



法的手続は,時間と費用はかかりますが,

   正当性を確保することができる

大きなメリットがあります。

 

特に,これからの企業にとっては,

目先の時間と費用よりも大切なものがあるはずです。



2 例えば,反社会的勢力の交渉と妥協の一定ライン

時間と費用をかけてでも,「正当性を確保」する必要があるものに,

反社会的勢力との交渉があります。



自分に権利がない,得るものがないと思う者の常套手段は,

    つけ込む(足下をみる)

    脅す

    開き直る

しか,ありません。



ヤクザの常套手段ですが,

ヤクザのような反社会的勢力に対する対処は,

ラインを超えたら一切妥協しないことが一番です。



妥協することで相手はそれに,つけこんで前に出ます。

下手に妥協点を探ることは,この種の事件では危険です。



ある一定のライン

(これは,一般人への対応と同じラインと考えてよいでしょう)

を引いて,これより,踏み込もうとしたときには,絶対に引き下がらない。



それより前に出ようとしたら,

正規の手続,つまり,法的手続で粛々と前に進めることが,必要です。



手続としては,反社会的勢力と判明それ自体で,

弁護士事案として

回すというのも一つの手です。



現在,反社会的勢力の社会に対する目は極めて厳しい,

反面,

反社会的勢力に取り込まれやすい(一見分かりにくい)事情があります。



このような時に,正当な法的手続を担保しない,前提としない交渉であれば,正に足下を見られます。



不法な請求に対しては,

即座の内容証明

仮処分

訴訟(債務不存在を含む)



等と,費用と時間をかけてでも,

  正当性の確保

して進めるのが,結果的には良い結果を生みます。



 反社会的勢力への請求が,その属性だけで判断されるたぐいのものではないものもあります。



 例えば,それだけみれば正当な取引,売掛金請求等は,

相手が反社会的勢力というだけで支払わなくてもよいということにはなりません。


しかし,反社会的勢力に巻き込まれた場合に,通常の取引と同じように対処した場合に,

時に,
  反社会的勢力と取引がある企業とレッテルが貼られます。



特に,ネット社会では,反社会的勢力と知らないでとかという言い訳が反映されず,結果だけが議論される可能性は,大いにあります。



このようなレッテルを避ける意味でも

法的手続を敢えて利用するという

ことは,現在では,意味があると考えます。



反社会的勢力への対応は,

法的手続の力の担保がなければ,なりません。

その意味では,行政書士・司法書士には向いていない交渉の類と考えます。



これに限らず,

法的正当性を確保する

という意味で,裁判を敢えてすることも視野に入れる必要があります。



4 交渉か訴訟か

交渉が良好に進めば,交渉の方が早いし費用もかからないことは確かです。

しかし,交渉は,相手方があることですから,潰れる可能性があることも事実です。

  

  相手方が交渉を全く拒否することもあります。

  この場合には,訴訟等の法的手続しかありません。

  訴訟をしても,和解という形で,交渉の場もあります。



  無理矢理,訴訟の場に出てこさせ,裁判官の前で言い分を言い聞いて貰うということで,和解ができる場合もよくあります。

    

5 交渉で終わらせるべき事件,訴訟にならざるを得ない事件

  交渉で終わらせるべき事件というのもありそうですが,

   終わらせるべきといっても,

    相手に,その気がなければ無理です。

 敢えて言えば,和解のタイミングを逃さないように気をつけるということです。

 

反面,訴訟にならざるを得ない,するべき事件というのは,あります。

  

  反社会的勢力の事例が極端に思われれば,

  例えば,交通事故の死亡事件の場合があります。

  死亡事件の場合には,訴訟をした方が金額が高くなるというのが一般です。

 このような事件類型は,実際に裁判をした結果を知っている場合があればあるほど,交渉か裁判かという判断も,長けている

といえます。



  裁判か交渉かというのは,実は,二者択一の問題ではないと考えます。

 一連した手続の中で,交渉が潰れたとき,または裁判にふさわしいか否かの判断が大事ということになります。

Last updated 2010.03.04 11:52:20



H22.6.21現在のコメント
実際は訴訟にすることを断念しなければならない事態もあります。
典型例が,
手形請求です。

手形請求は,相手がヤクザであろうと払わないと,
不渡り,取引停止処分
という重大なダメージを覚悟する必要があります。

司法試験科目では,従来,手形は,毎年出るようなメジャー科目でしたが,近年,多くの科目の中の一科目となってしまいました。
最新の会社法科目からの出題が多く明らかに手形・小切手法の比重が下がっています。心配している点です。