2011年3月25日金曜日

知財・刑事を考える:「ホンモノ」と故意

知財刑事の場合,故意が必要になります。

民事では,故意と過失,または重過失を区別しても,ほとんど結論に影響せず,故意を主張しても,裁判所の方から,取下げを求められることもあります。

そのため,知財と故意については,ほとんど資料がありません。


故意は,基本は,構成要件にある事実について全て備わることが必要になります。

知財刑事,たとえば,商標法違反では,生の事実として,行為者が,
 これは,商標登録した商標であり,売るのは指定商品であるが,あえて,うるぞ!
みたいには出てきません。

 ニセモノと分かっていたが売ったという生の事実を,
→商標権という権利をあるブランドが登録し,売るべき商品も指定商品の範囲にあるが,「ニセモノ」,つまり,商標権者とは別の業者が権限なく作った商品であることを知りながら,入手し売ろうとしていた

と読み替えて,または,生の事実を法的に解釈して,事実認定をすることになります。

偽ブランドを勝手に売るような行為は,行為自体は単純ですが,法律的には,結構複雑ということになります。


逆にホンモノとおもっていれば,確かに商標権者が権限を与えて作った製品(「ホンモノ」)であり,そうと思い込んで入手したということであれば,客観的に,「ニセモノ」であっても故意はないことになります。

これは,結果責任を問わない刑法の大原則です。


故意も事実認定の結果ですから,単に,「ホンモノ」とおもっていたと否認すれば足りるものではありません。
他の事情・証拠から真実は故意があったのに,否認しているだけとなれば,故意が認定されることになります。

たとえば,
有名ブランドが,このような安い値段で,売るのを認めるわけがないとか,
一回ニセモノを売るのを止めるように警告を受けながら,再度売り始めた場合とか,
縫製が甘いとか,作りが甘いとか…だからニセモノであることが分かるだろ
このような事情を考慮して,故意が認定されることになります。



ニセモノが,精巧であればあるほど,逆に,ホンモノとおもってしまったという言い分が通りやすくなります。
また,ブランドフォルダーが,商標登録はしてあるが,実際にはこの指定商品は作っていないということになれば,客観的にはニセモノということは立証しやすいとはいえますが,逆に,ホンモノの商品はないのですから,ホンモノとおもってしまったという言い分が通りやすくなると考えられます。

「ホンモノ」と思ったという「ホンモノ」のことばの意味の解釈のもんだいともいえます。

商標法違反のばあいは,商標の類否や指定商品の類似がもんだいとなることは,逮捕の段階では,ほぼありません。そのような微妙なものは,もともと刑事の手続にのらないからです。

取調べの現場では,被疑者を落とすのは,「ニセモノ」と思っていたか,ほぼこの一点です。

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