2011年3月24日木曜日

知財・刑事を考える:「ニセモノ」と構成要件をまたがる故意,共謀

生の事実としては,

たとえば,
このブランドコピー品を売ろうな,おお!(共謀の成立),
ブランドコピー品を売っていった残りの在庫(故意あり)

ということになります。

生の事実としては,あまり,

この商標権が付された商品には,商標権が登録されており,指定商品でもある。
だけど,この商品を売ろうとおもう。おお!

ということにはなりません。

そのため,
故意や共謀の成立には,「ニセモノ」概念が必要となります。

つまり,

「ニセモノ」だと思って売っていた(故意あり)
「ニセモノ」かもしれないが,「ニセモノ」であっても構わないとおもって売っていた(未必の故意あり)

ということになります。


やっかいなことがあります。共謀でも問題となりますが,

例えば,共謀も含めて考えれば,

今度,

「ニセモノ」(商標法違反であることはいわず)を仕入れるねん,モノが来たら売ってくれる?!
 
 おお!(共謀ある?故意ある?)

で,

ダンボール箱を開けて,なんだ「靴下」売るんか?!よし!
(実際は,商標法違反の場合)

という場合を考えます。


このばあい,

通常,共謀があるとされた時点の前段落の話しは,「ニセモノ」としか言っておらず,具体的なモノも言われていない言っていない段階といえます。


この時点で,本当に,共謀あるんかな?という問題意識です。


まず,最初に仕入れの人については,商標法違反の故意はあります。自分としては,何を仕入れたのか分かっているからです。

でも,売ってやると言われた側からすれば,
「ニセモノ」としか言われておらず,

商標法違反のニセモノか,
意匠法違反のニセモノか,
特許法違反のニセモノか,
実用新案権法違反のニセモノか。
著作権法違反のニセモノか,
不正競争防止法違反のニセモノか,
種苗法違反のニセモノか,


分からないのです。

元々,共謀は,特定の犯罪の謀議ですから,

たとえば,あそこのものを盗もうぜ!と共謀しても,一人が勝手に殺しをしたら,殺しについては,共謀はありません。

共謀の範囲と,共謀のことばの解釈の問題となります。

「ニセモノ」と言われただけで,先程の「ニセモノ」が問題となる法律違反についての共謀が成立したといえるのか?
よく分からないところです。

普通は,おそらく,俺は,商標法違反だけは絶対にしないぞ!なんて言わないので,共謀の範囲とされることになるでしょうか。


共謀があるとされれば,
ニセモノを売った時点で,少なくとも,その在庫については,売った人にも故意が備わり,
共謀の商標法違反となります。


さらに考えます。

もともと商標法違反のものと仕入れた人はおもっており,
売ってくれ!おお!となったばあいで,

実は,仕入れたモノは指定商品でもなく類似指定商品でもない場合,
有名ブランドならば,不正競争防止法違反が問題となります。


仕入れた人には,
商標法違反の故意があり,
実際に売った人には,
不正競争防止法違反の故意があることになります。

仕入れた人には,主観的には商標法違反,客観的には,不正競争防止法違反となり,錯誤のもんだいとなり,重なり合いが議論されることになります。


問題は共謀です。
つまり,「ニセモノ」を仕入れて,売ってくれ!おお!と言った時点で,
何に付いての共謀(商標法違反の共謀か,不正競争防止法違反の共謀か)が成立したのかが問題となります。

さきほどの「ニセモノ」というのは,いずれのものも含むというのであれば,
結果的に,「不正競争防止法違反」の共謀が成立したということになります。

ほんとうに,それでよいのかは,争いの余地があると考えられます。
何でもかんでも,「ニセモノ」でいいというのは,
指定商品・指定役務の類似性がもんだいとなる商標法違反(つまり,モノが大事)
あまり,そのモノ自体はもんだいとならない例えば意匠法違反
では,かなり違う性質を有するものとおもわれます。

意匠法違反とおもって,実は,不正競争防止法違反なら,分からないこともないです。
(もともと,意匠法は,モノはもんだいとなりませんので,意匠が登録されていることが故意の対象となります)

しかし,
モノもみていないのに,
商標法違反と不正競争防止法違反と重なりあう,「ニセモノ」というだけで同時に解釈できるというのは,
少なくとも,商標法違反は,指定商品に該当するとの共謀が必要にもかかわらず,それでよいのか?
というもんだい意識が残ります。

かなり,奥まったもんだいですので,ザッと書いています。もう少し整理して,考えます。

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今回もんだいとなった条文

第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為

第二十一条
2  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第十三号に掲げる不正競争を行った者
二  他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的で、又は当該信用若しくは名声を害する目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者
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