2014年6月10日火曜日

法律問題の9割は弁護士を使わないで済む(2)「遺言」

法律問題の9割は弁護士を使わないで済む(2)「遺言」

遺言にも、弁護士の使いどころはあります。

1. 全部を譲る!
2. 不動産がある場合
3. 会社を承継させたい場合
4. 負担付遺贈がある場合



1. 全部を譲る!
たとえば、財産全てを、妻一人に譲るのような内容ならば、普通は弁護士を使わなくても済みます。

たとえば、

「遺言者は、遺言者の保有財産すべてを、妻○○に相続させる」

などの文言を自筆で書いて、日付(平成○年○月○日)と署名押印をすることで、立派な「自筆証書遺言」が作成できます。

注意点は、
全文を自筆で書くこと(ワープロはダメ)
年、日まで決まった作成日付を自筆すること(○月○日とか、◯月吉日はダメ)
自分の署名をフルネームで自筆すること
印鑑をきっちり押すこと
が必要になります。


この自筆証書の手順だけを踏まえれば、財産の範囲にも特に問題もないので、わざわざ弁護士を使う必要はありません。


もちろん、慎重を期して無効にならないようにとか、遺言する相手が知らない不動産をも譲る場合には、遺言書にきちっと書いておくことが必要になります。

この場合、弁護士を介して、「公正証書遺言」にすることが一番よいといえます。

公正証書は、公証人が作成しますので、簡単な例であれば、直接公証人(公証役場といいます)へ、必要なことをもれなく残したいのならば、弁護士に頼んで案文を作成させる、これが弁護士の使い道です。

誰々になになにを、と複雑になれば、自筆証書だと矛盾が起こりやすくなります。そうならないように弁護士に案文を作り、公正証書にしておくという丁寧な(費用はかかる)手続を踏むのが無難ということになっていきます。

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H260610追記

もう一つ「自筆証書」遺言の欠点がありました。
それは、全文自筆のゆえに、書いたことが正確に伝わるかの問題です。

リンク:字面から読み取る力・・・事実と評価の違い

私の経験でも、自筆証書遺言がかなり読みにくい(まったく読めないw)ものもあります。公正証書遺言は、公証人が(今では)ワープロ打ちをするので、その問題は生じません。

読めない遺言の文言を、検認の手続でするのも限界があり、文言の違いによって相続人間の争いも生じたりします。


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2. 不動産がある場合

不動産がある場合は、遺言状だけで登記ができるようにする必要があります。不動産登記簿謄本(全部事項証明書)の項目を誤りなく写せばよいのですが、これも慣れとスキルが必要になります。

慎重にするには、公正証書遺言、弁護士を介して案文作成ということが必要になります。


3. 会社を承継させたい場合

会社を遺言により承継させるというのは、法律的には、株式会社ならば、株式という財産の遺言ということになります。

兄弟には公平にということで、たとえば、2人で50%ということにしておくという考えをよく聞きますが、実は、あまり得策ではありません。
株式会社は、極単純化していうと、50%と1%とはあまり違いはありませんが、51%と50%とでは、天地の違いほど違いがあります。

極簡単にいえば、51%あれば、ほとんどのことができますが、50%であれば、どうしても他の株主の協力を得る必要が出てきます。
たとえば、兄弟間で争いが起これば、スムーズな会社承継ができなくなります。

せめて後継者には、51%を渡して、残りを49%という対策をとる必要が出てきます。たとえば、2%の差額を、現金で遺言しておくとか、代わりの財産を与えて公平を装うことが適切となります。

つまり、戦略が必要になりますので、弁護士に相談した方がよい事案となります。


4. 負担付遺贈がある場合

「負担付遺贈」というのは、たとえば、なになにをしたら相続させる
と、もらう側に、何か条件をつけるものです。法律的に可能な条件でなければなりません。

複雑な場合は、弁護士に相談したほうがよいということになります。


5. まとめ

遺言は、実は、簡単にできます。
単純なものであれば、なおさらです。
しかし、複雑になれば複雑になるほど、自分で書くと矛盾がでてきやすいといえます。

たとえば、自筆証書遺言をみてもらう「法律相談」というのもありえます。公正証書にした方がよい、もう一度作りなおした方がよいという回答もありましょう。



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