2015年3月19日木曜日

商法526条:意外と知られていないが、かなり使えます。

H280123追記
    第2弾を書きました。 商法526条、再び
H270317少々追記
商法526条は、意外と知られていません。弁護士でも知らない人がいます(いや、知らない振りをしているだけかもしれませんが)。

実はかなりつかえる条文です。

条文いきましょう。

(買主による目的物の検査及び通知)
第526条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3 前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

1項は、買主の検査義務の規定です。
そもそも検査していなければ、2項が適用になりません。

2項は、瑕疵等発見した場合は、「直ちに」の通知が必要になります。
この「直ちに」は、用語的にも、極めて短い時間とされます
(1項の「遅滞なく」よりも、当然短い)。通知がなければ、なにもできなくなります。これは、(買主側にとってみれば)怖い。

裁判所の裁判例は一々あげませんが、びっくりするぐらい早くしないといけません。

通知の事実を残すためにも、内容証明が必要となるでしょうか。
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H270317記載
取引の途中で内容証明というのは現実的ではないですね。
ハガキ<FAX=レターパックライト
という順序でしょうか。
発信主義を採用していますので、送ればいいのですが、送ったという事実は立証する必要があります。
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3項は悪意者排除規定ですが、立証責任が転換されています。つまり、お前は、知っていた!ということを買主側で立証する必要となります。

ちなみに、「悪意」とは、法律用語の普通の使い方では、「知っていること」を意味します。変わっていますね。


ちなみに、この検査義務、全量・全個検査となります。全個検査をしておらず、後で不良品が混じっていた場合にも適用されます。

この商法526条の規定は任意規定ですので、契約で排除が可能です。

だが、しかし、この商法526条の適用をしないなどの文言が入った契約書は、ほとんど見たことがありません。

また、たとえば部品のメーカーでは、そもそも契約書などなく、注文書と注文請書などでやり取りがされることが多いといえます。

つまり、堂々と商法526条が適用される場面が多いといえます。

そして、最後に、アドバイス。
契約書を取り交わすべし!
というのは、当たり前なので、いいません。すこし工夫したアドバイスを。


買主側へのアドバイス
 注文書に、こっそり書いておくべきです。注文書に色々書いて送付します。それに基づき製造がされた場合、注文書どおりに成立したと、言いやすくはなります(実は、完全にはこうならない)。

難しいのは、注文書が送付したは、相手(この場合、売主)から何も特段の返事がない場合です。通常は、文句がないからだとはいえますが、返事をしていないのは、それに基づき契約されたとは言っていない!ということになります。

やり取りが結構大事になります。

注文書をFAXしたら、確認のために署名かハンコ押して送り返して下さいetc

こんな細かなところで勝負が決まったりします。

相手から何か書面をもらう、これは、FAXでもメールでも構いません。相手が何もいわないからというのは、あとでもめる場合があります。
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H270319追記
少し分かりにくい記載がありました。訂正の上追記します。

「注文書」「注文請書」でする取引というのは、通常、どちらも、売主が作成する書面でやり取りが行われるということになります。

「売主」からもらった「注文書」に、たとえば、
商法526条に関する条項がなく、それを使って、
「買主」が「注文書」を出し、
そのまま「注文請書」を売主が出せば、

その取引に関する契約は、商法526条の適用がある契約となります。商法526条は、売主重視の条項ですので、わざわざ「注文書」に商法526条のことは書かれません。

契約の成立時点は、売主が「注文請書」を出すときということになります。

逆に売主からもらった「注文書」に買主が何かを記載して、なにも反応がなく、そのまま「注文請書」を売主が交付すれば、その「何かの記載」が契約の中身となり得ます。意外と、走り書きが勝負を決めたりします。

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売主側へのアドバイス

誠実な売主ならば、瑕疵等があるんであれば、変更しなければ、代替品を用意しなければ、損害賠償をしなければ、そんな気持ちになるものです。

商法526条の適用は、割りとそういうところが邪魔(・・・)をします。

だが、しかし、そんなことをしたら、会社をつぶす必要がある。そんな場合もありましょう。

ときには、もめる、ときには、法律通りにしないといけない場合もある。

商法526条は、そんな規定です。

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