2014年7月6日日曜日

紛争系、事務系、技術系の具体的な例とその評価(一般向け):サニー・サイド法律事務所取り扱い分野




1 紛争系、事務系、技術系の具体例とその評価 

弁護士の取り扱う分野を、3つの見方、すなわち、
・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
・技術系(技術問題中心系)
で分けて考えてみました。

一般的な、または、よく見られる紛争を例として、考えます。まずは、★★★★★5つを100%として、その割合でみてみることにします。弁護士がする仕事で、どれだけの労力を注ぐかをみるものです。この★の数は、他の事件との比較をみるものではありません。





具体例を書いていきます。追加でいきますので、項目数字が飛んでいますが、後に追加という意味です。

ポイント:
 ★の数は、一つの事件の中で、3つの労力割合がどれだけをみるものです。たとえば、他の紛争系(訴訟系,一般証拠系)の★の数を比較して、★の数が少ないから楽というものではありません。

 ★の数で、弁護士がどれだけの労力割合で神経を注ぐかを示します。
 資料を収集したり、そのための書面を作成したりする場合が多いほど、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の割合が大きくなります。

その上で、事件の種類について難易度を、1〜5(5が難易度高し)で書いてみたいと思います。難易度で、あまり着手金・報酬の額は上下しないと思われがちですが、やはり、重要な要素と考えられます。「難易度」は、事件の持っていき方だけではなく、手間度も入るものとします。(H260702追記)

2 離婚事件
2-1 離婚事件(交渉) 難易度1〜3
 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★★☆☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ☆☆☆☆

★☆の説明もありまして、まず取り上げました。100%の割合で、★★★★★が最高となります。

離婚事件(交渉)は、調停を使わず、内容証明などを送付して、やり取りをする場面です。弁護士を相手方が使わなければ、法律的な一般的な説明も加えて書類を作成することに配慮したり、弁護士が選任されれば法律的な問題点を洗い出したりする作業が伴います。その際、書面を作成することもありますので、若干事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の作業があります。

もちろん、技術系(技術問題中心系)が問題となることはほぼありませんので、★は、なしということになります。

難易度は、1〜3としました。離婚することは当事者同士で合意があって、たとえば、離婚協議書だけを作成したいなどは、難易度が下がります(1といえます)。
親権だけ取りたい、
慰謝料は年金分割だけでよい、
慰謝料をできるだけ取りたい
etc
離婚紛争は、かなり多様な類型があります。基本的には、紛争系(訴訟系,一般証拠系)の労力が増えるといえます。
なぜ、難易度が、3までかは、交渉というところにあります。交渉は、あまりに合意ができなそうであれば、早々に交渉を打ち切って、調停・審判に移行することを決めます(ぐずぐずしていても意味がありませんので)。そういう意味では、難易度を3としました。

2-2 離婚(調停) 難易度1〜3

 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★★★☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★☆☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ☆☆☆☆

離婚(交渉)の比較でみて頂ければよいですが、離婚(調停)の場合は、一般的には、ほとんど書面を作成することはありません。「交渉」より事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の労力は低いといってよいでしょうか。それなので、割合としては、紛争系(訴訟系,一般証拠系)が一番高くなります。

難易度としては、離婚の場合は、交渉と同じく、あまりぐずぐずしてはいけない場合は、早々に調停を打ち切る決断をする必要があります。それもあって、難易度は、3としました。

2-3 離婚(訴訟) 難易度3〜5

 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★☆☆☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ☆☆☆☆☆

離婚も訴訟になると、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の負担・労力が大きくなります。交渉・調停段階では、ほとんど書類を作っていないので、訴訟に適した証拠収集、書類を準備する必要があるともいえます。

訴訟ではありますが、離婚(訴訟)の場合は、割りと確立した訴訟方法論がありますので、それほど法律的な調査などが必要となりません(あくまで一般論です)。

難易度は、3〜5としました。訴訟ゆえに、それなりの難易度があります。正直にいえば夫側か妻側かでも難易度は違います。

夫側:難易度5
妻側:難易度3
というところでしょうか。
どうしても、夫側に不利となりがちなのが現在の法制度です。

2-4 離婚に伴う婚姻費用分担、養育費(調停) 難易度1(H260705追記)

 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★
 ・技術系(技術問題中心系)
   ☆☆☆☆☆

離婚の場合、交渉段階であろうが、養育費または婚姻費用が滞っている場合は、即座に、養育費調停、婚姻費用分担請求の調停(審判)を申し立てる必要があります。
裁判所の運用上、調停申立ての属する月から審理の対象となるからです。
参考リンク:法律問題の9割は弁護士を使わないで済む(16)できる限り早く「養育費」「婚姻費用分担」調停


申立て自体は定形ですので、特に労力はありませんが(難易度1)、仕事の割合としては書くことがほとんどということで、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の割合が一番高くなっています。

添付書類は、追完が可能です(戸籍謄本など)。早くに申立てをすることが重要です。



3 遺産分割 難易度1〜5
3-2 遺産分割(調停) 難易度1〜5
 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★☆☆☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★★☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ☆☆☆☆☆

これは、離婚(調停)と比較すると労力の割合がわかりやすいかと思います。
遺産分割の場合は、調停においても、財産の洗い出し、財産の評価などの財産目録の作成が不可欠となります。不動産ならば、名寄せから、不動産登記簿、固定資産税評価証明、預貯金の額確定など、資料の収集と財産目録の作成に、かなり労力と時間がかかります。そのため、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の★の割合が高くなるものと考えられます。

離婚(調停)と比較して、紛争系(訴訟系,一般証拠系)の★が少ないから、離婚の方が「交渉」は楽という意味ではありません。あくまで一つの事件の中での労力の割合を考えています。

難易度は、1〜5としました。遺産分割の調停は、離婚のように簡単に審判に踏み切ってもよいかかなり迷う場面があります。裁判所が決める審判は、不利になりそうだという両者(当方、相手方)の思惑がかなり動く場面です。
そのため、かなり長期化する場合もあります。


4  IT紛争
4-1 発信者情報開示(訴訟前、交渉)・名誉毀損、信用毀損、侮辱 難易度1
 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★★☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ★☆☆☆☆


発信者情報開示を、訴訟前にする場合には、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の労力の割合が高いのは当然です。ほとんど相手方と交渉する場面はありません。紛争系(訴訟系,一般証拠系)の★が一つなのは、証拠の評価・見方を加える必要があるという観点です。

特に、名誉毀損、信用毀損、侮辱が問題となる場合は、技術系(技術問題中心系)は、ほとんど問題とならないのはもちろんです。ただ、発信者情報開示は、IT上の知識・経験が必要な場合も多く、たとえば、どこのプロバイダーにするべきか、プロバイダーが開示してきた例えばIPアドレスの割り当て元を判断するには、ITの知識が必要となります。そのため、★一つをつけました。

4-2 発信者情報開示(訴訟前、交渉)・著作権 難易度2

 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★★☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ★☆☆☆☆

発信者情報開示において、著作権が問題となる場合も、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の労力が多くなります。今回のものは、労力の程度を示すものではありませんが、著作権の方が、専門的知識を伴う、または、名誉毀損より資料が多く必要となるという意味では、より事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の負担は大きいとはいえます。発信者情報開示は、名誉毀損、著作権という紛争系(訴訟系,一般証拠系)の知識基盤が必要になります。他業種ではなかなか得にくい分野とはいえます。

著作権を伴うものですので、難易度2としました。著作物性が争いになれば、一般的には訴訟外での解決(開示が認められる)ということにはなりにくいといえます。

4−3 発信者情報開示(訴訟)(H260701追記) 難易度3〜5
・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★★
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ★☆☆☆☆

発信者情報開示は、訴訟外の開示でできない場合は、訴訟をする必要があります。この訴訟は、訴額160万円となり、地方裁判所管轄、司法書士の職務範囲外となります。
最近は、特に大手業者では、裁判に結論を決めてもらうという趣旨で、任意開示に応じないことも多いといえます。紛争系(訴訟系,一般証拠系)が全面に出てくる場合ですので、★が訴訟外のものより多くなります。

また、訴訟外で、きちっと開示をしていれば、証拠資料の収集やそのための書面作りは、ほぼできているはずです。それゆえに、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の労力の程度は低くなります。

訴訟外の証拠収集・証拠作成があまりされていない場合で、訴訟からの受任をする場合は、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の労力割合が、当然ながら高くなります。

難易度は、3〜5としました。発信者情報開示請求は、プロバイダ等を被告にするもので、開示するのは、本来の侵害者(名誉毀損、著作権など)の情報ですが、必死で被告が争う場面があります。この場合、名誉毀損、著作権の本来的主張立証が必要になり(本来の侵害者への主張立証と同等)、当然難易度が上がります。

4-3 投稿削除等の仮処分(H260701追記)
難易度:4

2ちゃんねるなどで有効な手続となります。

・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★☆☆☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★★☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)

   ★☆☆☆☆

投稿削除等の仮処分は、結構決まっていることが多く、ノウハウがあれば、紛争系(訴訟系,一般証拠系)の労力割合は低くなります(★の数が小さいが他と比べれば労力・難度それ自体は高い)。

仮処分でもっとも重要で大変なのは、証拠資料の準備です。仮処分に必要な証拠は、簡単に一般論的にいえば、見たらすぐ言っていることが判る証拠資料です。たとえば、申立書に書いてあることは、ここに書いてある!見たら判る!ぐらいの証拠が必要となります。くどくど説明しなくても分かりやすく明確な証拠を収集することが必要となり工夫がいります。そのために、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の割合が高くなります。

仮処分は、時間的にはかなり余裕がない状態で、する必要があります。そういう意味では難易度を4としました。

4-4 


5 過払い金 難易度1〜3
5ー2 過払い金(訴訟) 難易度1〜3
 
 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★☆☆☆☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★★★☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ☆☆☆☆☆

過払い金訴訟は、訴訟といっても、かなり確立した法律論(手法)があります。それなので、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の割合が多いといえます。ただ、交渉前・請求時(普通は、これが先に伴う)に、利息計算書などは作成していますので、訴訟段階では、それほどないともいえます。

実際には、たとえば、訴訟後に新たに取引履歴が明らかになった場合、再度計算書を作成する必要があるということもあり、一応、この★の数にしています。

過払い金(訴訟)は、紛争系(訴訟系,一般証拠系)ではありますが、どちらかというと事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)の割合が大きい訴訟類型といえます。

過払い金訴訟類型の事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)は、量(取引履歴が多ければ多くなる)はありますが、色々考えながら書類を作らなければならないという性質ではありません。そういう意味では、高度ではないが量がある場合がある。
という事務です。あとで述べる、著作権などの事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)とは、程度はかなり違うとはいえます。

量があれば、といいますが、せいぜい1000ぐらいです(そんなにないのが普通でしょうか)。
たとえば、不正競争防止法の周知性立証みたいに、100,200,…500,1000,2000等にはなりません。
また、建築物紛争みたいに、それぞれに主張立証が必要ということもありません(Excelで長い表を作ったりします)。

難易度は、3までというのが実感です。

4 知的財産 難易度2、4〜5
4-1 プログラム著作権(H260701追記)
4-1-1 プログラム著作権に基づく損害賠償請求、差止(交渉) 難易度2、4〜5

 ・紛争系(訴訟系,一般証拠系)
   ★★☆☆☆
 ・事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)
   ★★★☆☆
 ・技術系(技術問題中心系)
   ★☆☆☆☆

プログラム著作権(交渉)の場合は、労力割合としては、事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)が高くなります。
著作権紛争全般にいえますが、著作権の場合は、
どこに創作性があって、どこに著作物性があるかを丁寧に書く必要があるのが普通です(あえて書かない選択肢もありますが)。
それは、著作権が、特許、実用新案、商標、意匠とは異なり、登録権利ではないことからの理由です。
登録権利であれば、公報にしたがって、これこれの権利がある。特許・実用新案ならば、請求項は、こうだ、あんたの製品は、こういうもので、完全に一致だ!
といえます。商標にしても、類否をいえば済む話で、そもそも権利があることを前提にしていいのです。

そうでない著作権は、そもそも、こういう権利があるという論証が不可欠となります。
この事務系(顧問、コンサルタント系、書類作成系)、特に書類作成系は、かなり大変な労力となります。

これと同じ分類が、図形商標や意匠です。図形商標や意匠は、当然ながら文字で表されているわけではありません。そのため、特徴(法律の正確な言葉を使っていません、あくまでも分かり易くです)を、文字であらわすように頭をひねる必要があります。

・難易度2の説明(H260706追記)
知的財産紛争で、実は、手間がかなりないものがあります。それは、特許なり商標なりで、かなり強い権利を基に請求する場合です。相手方となった場合は、訴訟等を回避するために、折れざるを得ない場合も多く、少なくとも最初の通知(差止、売上開示、廃棄、損害賠償等)は、かなり簡単といえます。



4-2
4-3
4-4
4-5
4-6