2016年1月22日金曜日

商法526条、再び

H280122記載
思うより、商法526条の投稿が人気となりましたので、再び書いてみました。このようにまとめているのは、あまり他にはないともいえます。



   

1  商法526条、再び

当ブログの人気記事となっている、下記投稿↓




再び書いてみます。


今回のコンセプトは、

・条文構造からいえること(ムズカシく書いてみた)

です。

2  商法526条の条文


まずは、条文です。
(買主による目的物の検査及び通知)
第526条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。

2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。

3 前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

若干分かりにくい構成となっていますので、若干説明を加えます。

3  「商人間の売買」


実際は、結構ここが争われるところです。商法526条は、どのような場面で問題となるかですが、

まずは、

瑕疵がある!

ということで、損害賠償なりが求められたときに言うことになります。
(法律的な難しい話は、ひとまず、なるべく書かないようにして書いています。)

商法526条は、「商人間の売買」ということになっていますが、商事売買の特則ですので、基本、一方が会社、特に、買主側が会社であれば適用される可能性が高くなります。

ちなみに、買主側が、消費者的な個人であれば、消費者契約法の適用の可能性が高くなります。

そのため、実際上、商法526条の適用がある場面というのは、

・会社どうしの売買

・事業者どうしの売買

・特に買主が会社・事業者の売買

ということになりましょう。


ちなみに、商法526条は、不動産にも適用があるとされています。


4  買主の検査義務


買主の検査義務は、商法526条1項に規定されています。

この検査義務は、実は、かなり重要な意味をもっています。そもそも、買主が検査をしていなければ、商法526条2項、同3項の適用がありません。

つまり、検査をしていないということだけで、


  瑕疵等による損害賠償は認められない


ということになります。

また、検査は、「遅滞なく」行われる必要があります。文言上、同2項の「直ちに」よりは、長いですが、同2項後段の隠れた瑕疵による制限期間である「6か月」より短くなるといえるのは、条文の当然解釈となります。

5  買主の通知義務


買主の通知義務は、商法526条2項前段です。

検査をした上で(商法526条1項)、瑕疵等が見つかれば、「直ちに」の通知が必要となります。

この「直ちに」は、極めて短い時間となることも裁判例からも明らかです。論理的には、隠れた瑕疵でなければ、つまり、普通に検査すれば見つかるような瑕疵であれば、「直ちに」の通知が必要となり、

「直ちに」していなければ、商法526条により、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


ということになります。

そして、買主側が通知を、そもそも、していなければ、やはり、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


ということになります。

6  隠れた瑕疵の場合


検査をすれば、すぐ判るかということで争いとなることもあります。結構難しい判断となります。業界において、どのような検査が普通か、どこまでするかなどの判断となります。

「隠れた瑕疵」とは、理論的には、普通に検査をしても分からないという瑕疵といえます。論理的には、売主側としては、

検査をしていても、通常の検査からすれば不十分だ!ということが認められれば、そもそも、「隠れた瑕疵」ではなく、「直ちに」の通知がなく、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


といえることになります。

7  6か月を上限とする期間制限規定


「隠れた瑕疵」と認められれば、引渡し時から6か月以内に通知をする必要があります。これが、商法526条2項後段です。

つまり、

・「隠れた瑕疵」でも引渡しから6か月を経過すれば、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


ということになります。条文の体裁から、「発見時」から6か月ではありません。

逆に読むと、

・「隠れた瑕疵」でも引渡しから6か月以内に、瑕疵を発見しなければならず、6か月を経過したら、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


ということになります。

8  ここまでのまとめ


ここまでをまとめると、

・そもそも「検査」をしていなければ、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


・そもそも「通知」をしていなければ、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


・「隠れた瑕疵」ではなく、すぐに見つかる通常の瑕疵であれば、「直ちに」の通知がなければ、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


・「隠れた瑕疵」でも、引渡し時から6か月以内に見つけられなければ、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


・「隠れた瑕疵」でも、引渡し時から6か月を経過していたら、


  瑕疵等による損害賠償が認められない


ということになります。

9  条文構造から言えること


そうすると、結局、

条文構造から考えた時、もっとも簡単な主張としては、


・引き渡しから6か月を経過している。


だけで、


瑕疵等による損害賠償が認められない


ということになります。


瑕疵があろうとなかろうと、


それが「隠れた」瑕疵であろうとなかろうと


関係ありません。

10  ついでに「悪意」について


これは、瑕疵があることを知っていたことを意味します。

この場合には、商法526条2項の適用がないということになります。


この「悪意」は、契約時の状況により変わり得ます。何をもって瑕疵とするかの問題でもあります。


たとえば、不具合がある!ということを、双方が一致して、それでも売買するというような契約であれば、そもそも、これは、瑕疵ではないということになります。そのため、売主は、悪意ではないということになるのが論理的でしょうか。このような場合も、ないともいえません。買主側が、このような不具合を了承して、安く買うということもあり得るからです。


商法526条は、極めて売主に有利な規定ですが、買主側での投機的な売買を戒めるという趣旨もあります。先程の例でいえば、不具合があるが、安く買えるな、安く買って、ここは自分で修理して、他に高く売ろう。こんなこともできます。瑕疵があるからといって、いつまでも、売主に責任を負わせるのは不適当であろうという政策的判断ともいえます。



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ズラッと書いてみました。
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