2009年4月28日火曜日

名誉毀損の要件(2)-法的構造-

 事実を摘示することにより社会的評価が低下した場合,名誉毀損となる。
 刑事の領域でいえば,名誉毀損(罪)の構成要件に該当するという。

 民事の不法行為でもこの刑法理論とよく似た理論的構造を採用している。
 民事でも,刑事の理論概念を,使うと便利である。
  刑法では,犯罪の成立に必要な各段階において,3つの理論的構造を構築するのが一般である。
  1 構成要件該当性
  2 違法性阻却事由
  3 責任阻却事由
で構成され,事実を摘示することにより社会的評価が低下したことをもって,その事実が真実か否かを問わず,名誉毀損の構成要件に該当するとする。
 
 名誉毀損で特徴的なのは,真実が流布されることは時に人の名誉を毀損した表現といえども社会的に価値があるものとされる場合があることである。
 
 それが,最高裁の構築した「真実性・真実相当性の法理」である。
 真実性・真実相当性の法理は,次の3要件からなる。
  (1)公共の利害・公益目的
  (2)真実性
  (3)真実相当性
(1)(2)が違法性阻却事由で,(3)は責任阻却事由とされるのが一般である。

 (1)は,国会議員等公人の発言等を対象とする名誉毀損行為であり,自由な批判が許されるべき領域と説明される。
 (2)は,真実であることが証明された場合には,名誉毀損の構成要件には該当するが,刑罰を科さない,損害賠償の対象としないということである。
 (3)は,表現が分かりにくいが,相当な根拠をもって真実ではないにも関わらず真実と誤信した場合に救済するものである。