2009年5月5日火曜日

孫氏と交渉事・紛争解決(1)

知り難きこと陰のごとく,動くこと雷震のごとく(軍事 三)
 
 
弁護士の交渉事は,紛争の解決を目的とする。 
 したがって,戦術論・戦略論についての軍事論は極めて示唆に富むことが多い。

 孫子は,その歴史的古典であるが,今回の引用は,武田信玄の有名な「風林火山」の
記述の直後に出てくる。
 状況を知るのが困難なのは暗闇のように,行動するときは雷の震えのように
とでも訳せばよいであろうか。
 
 弁護士の仕事は,相手方が知られたらお終いという手続も多い。そのような場合は,徹夜してでも書類を仕上げる必要がある。 
 弁護士の仕事でいえば,典型的なのが,仮処分・仮差押事案である。
 
 仮処分は,典型的に目に浮かぶのが,カルテを保全するために病院に向かうとかであろうか。
 知財事件の場合もある。著作権を侵すようなときにはブツ自体や取引先等を確保するために,直接裁判所と共に向かう場合がある。数分前に執行官により,仮処分決定を送達し,その後,いきなり事務所等に向かう。
 仮差押は,文字通り,仮に財産等を差し押さえる場合である。預貯金や不動産を裁判前に動かされないように仮に財産を差し押さえておく手続である。

 いずれも,債務者に知られれば水の泡となる可能性があるので,正に「知り難きこと陰の如く」で行動し,手続後には,「雷震のごとく」動く必要がある。