2010年6月17日木曜日

斎藤吉見「倒産」(講談社文庫,昭和61年6月15日発行)

100円古本シリーズ
[本を読もう]

Last updated 2009.11.28 11:56:01
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私の趣味は,古本屋巡りだ。

希少価値は分からないが,

ワゴンに山と積んである本の中に,新刊は買うまでもないが,お!読んでみようかなというものに出会えると嬉しい。

自分勝手に,シリーズとしよう(いつまで続くかは分からないが・・・)。
批判的に書くのは簡単なので,なるたけ,面白い点や評価したい点という積極的なことを書こうと思う。



斎藤吉見(◎)
「倒産」(講談社文庫,昭和61年6月15日発行) ☆☆☆☆

かなり古いが,今でも十分通用する本。
中身は,ある建設会社の倒産前後から,私的整理をしていく様子を描く。

ただ,法的知識が相当ないと面白みが半減するかもしれない。

終盤以降,私的整理中に出された債権仮差押・本訴訟の対抗策として,
債権者委員会に参加している者から手形を預かり,仮差押をした場面が印象的である。


更なる対抗策(配当要求:配当に多数参加することによる債権仮差押の意義低下が目的)のために,

更に他の債権者委員参加債権者から手形を預かろうとすることについて苦慮する主人公がいる。

専門家と非専門家との思惑の違い,専門家から非専門家への説明方法の難しさが,かなり現実的・具体的である。

この↑文章程度の知識を分かってて読むのと,知識がないまま読む(読み進めていけば理解は可能)のとでは,スリリングさが,大分異なる。
外にも,このような舞台設定が,かなりあり,

知識白紙のままだと,かなり辛い本とはいえる

(一般向けでないという意味で,☆4つ)。

現実には余りない(特に大きな会社では)私的整理だからこそ,

そして,法的手続にのらない私的整理だからこそ,小説的な面白さがある(恐らく,かなりノンフィクションに近いと思う)。

文章・舞台設定・キャラクター設定は,かなり上手と考える。
ラストも素晴らしい。
経済小説でありがちな政治の世界でうやむやに余りすることなく,

視点を変えて,すっきりした終わり方をしている。
違う著作を読んでみたい気がする著者であった(◎)。

他の著作を検索してみた。


「裏金工作」(講談社),
「徳川五代将軍 徳川五代将軍」(実業之日本社),
「濁れる田沼―意次の生涯 濁れる田沼―意次の生涯」(実業之日本社),
「ドキュメント 日米「特許侵害」―泉精器2500日の熱き闘い」(ダイヤモンド社)
「大久保長安―家康を支えた経済参謀 」(PHP文庫)
「真田60万両の疑惑」(信濃路出版販売)
「茜色の辞書」
「本多正純異聞」(実業之日本社)
「略奪受注」(講談社)
「同族追放」 (講談社文庫)
「迷走鉄骨」(ジョイ・ノベルス)(実業之日本社)
「乱脈銀行」(講談社ノベルス)(講談社)
「闇割り無頼」(実業之日本社)
「茜色の辞書」(博文館新社)
「入札泥流」(サンケイ・ノベルス)(サンケイ出版)
「頭取指令」(ジョイ・ノベルス)(実業之日本社)
「証券濁流」(サンケイ・ノベルス)(サンケイ出版)

時代ものが多い感じ。
田沼と特許侵害は,読んでみたい。


Last updated 2009.11.28 11:56:01