2010年6月17日木曜日

木下是男「理科系の作文技術」(第41版)(1999.2,中公新書)

百円古本シリーズ
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Last updated 2009.12.10 16:07:26
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木下是男「理科系の作文技術」(第41版)(1999.2,中公新書)

文章を書く仕事だけに,文章本は,よく買う方である。

しかし,この本を超えるものには,未だ出会えない。

司法試験も,これで開眼したと自分は思っている。

かなり,著名な本だが,100円(正確には,ブックオフで買ったので,105円)で売っていること自体が驚く。

ブックオフは,本の内容で値段を付けないので,驚くべき良書が混じっていることが多い。




法律書面(訴状,準備書面等)では,

証拠によって根拠づける「事実」と,

その事実があれば,法律上の効果が発生するという法律上の「主張」(意見と言い換えてよい)と

が,重要である。



「事実」の争いであれば,証拠の有無,強さ,量等が,

「主張」の争いであれば,法律,判例の調査等が

必要になる。



社会科学の基本である

 「事実」と「意見」の峻別

を,細かく丁寧に書いてある本は,

余り外には見られない本書の大きな特徴である。

その意味で,本書の肝は,「7 事実と意見」の項である。

この項は,たかだか15頁程度しかないが,内容は深い。


「Octoil-Sでは吸着力がより強いためであると思われる」

という文章は, 下線部が,「筆者の考え(想定,仮説)なのか,事実なのかがわからない」(112頁)として,

事実ならば,

「銀の素粒子に対して,Octoil-Sは他の油よりも強く吸着するという事実

(  )に起因するものと考える。

と書くべきである(「事実」の次のカッコの中にはその事実を書いた節の番号を入れる)」

とされ,

想定として書くのであれば,

「この違いは,銀の微粒子に対して Octoil-S は他の油よりも強く吸着すると仮定すれば説明できる」

とすべきと提案している。

事実の書き方は,法律書面では,当然のこととされていて,

◎◎が事実である(甲1)

のように書く。
今でも参照すべきときがある本である。

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