2010年6月21日月曜日

訴訟戦略:訴えられたら訴え返す

訴訟戦略:訴えられたら訴え返す
[ 訴訟戦略 ]


Last updated 2010.03.02 18:49:43
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003020001/


「総論」

民事訴訟も書いてみます。

シリーズとして,

「訴訟戦略」と名付け,色々

書きたいと思います。





民事裁判は,弁護士の最も得意とする場といえます。



弁護士は,

訴訟をすることのハードルが,かなり低い,

言葉を悪く言えば,すぐ訴える

ということは,他業種と比較しても,確かです。




交渉事において,

  最も自分の得意とする場に持ち込むこと,

  最終的には力による解決が前提にあること

は,交渉を有利に進めるための大きな武器となります。



戦争と外交との関係と同じで,

  力による解決をするかも,そして,

  実際にするという力があってこそ,

こちらに有利な解決に導くことも多いのです。



その意味では,最終的には訴訟すればよい,訴訟ができるというのは,

交渉において弁護士にとって最も有利な面といえます。





「目次」

1 訴えられたら訴え返す

2 反訴と別訴提起・併合上申

3 和解の際の優位性

4 独立の控訴

5 知財事件の場合によく似た制度(無効審判請求)



「本論」

1 訴えられたら訴え返す

  訴えられたら,訴え返すというのが,相手方の請求を封じるためには,最も有効な手段の一つです。



  どちらとも不法行為による損害賠償請求権が立ちそう

という場合で訴えられたら,訴え返さなければ,

 相手の請求だけが認められる,認められないの判断だけがされます。

 

  特に,不法行為の場合で訴えられた場合は,

    相殺で帳消しというわけにはいきません(民法509条)。

  

 また,相殺ができる場合でも,相殺した側の方が多い場合は,独自に訴えることをしなければ,

相手の請求が認められないというだけで,お金がもらえるということにはなりません。

 

 お金を取り返すという場合には,訴え返すしかない

ということになります。

 

2 反訴と別訴提起・併合上申

  訴え返す方法としては,

    反訴

があります。

  反訴は,訴訟中に被告が訴え返すものです(厳密な定義ではありません)。

  反訴は,本訴(訴えた方)との関連性が必要です。

    関連もなければ,別にやった方が効率的ではないか

という判断です。



  法律上反訴ができない場合や,関連性がない場合には,どうすればよいか。

  これも方法があり,

    別訴提起

    +弁論併合の上申

をします。

  反訴の場合と異なり,関係がなくてもできます。

  ただ,弁論併合は,裁判所が駄目といわれればできないので,

      余り進行してからだと,別にやった方がいいではないか

ということになります。

 同じ当事者で,同じような争点であれば,同じ証拠で同じ判断が出るはずですが,裁判官が違えば,別の判断が出るかも知れません。



 そのため,反訴がよいか,別訴+併合上申がよいか,

それとも,単なる別訴がよいかは,状況によるということになります。



 せっかく,裁判所まで出向いたのだから,その場を利用してやろうというのが,

  反訴・別訴提起+併合上申

なのです。





3 和解の際の優位性

  反訴をしておくのは,

    単に本訴(訴えた方)の防御をするだけとは,和解の優位性が異なります。

 通常,和解の場合は,被告(請求された者)が,原告(請求した者)に対し,和解金(解決金という場合が多い)を支払うことにより成立します。



 積極的に,反訴や別訴提起をすることで,

   こちらにも支払ってもらうのがある

という形態に持ってゆくことができ,優位な和解ができる可能性も増します。



4 独立の控訴

  反訴・別訴提起がなければ,

   本訴について認められない

とされた場合には,被告は,控訴はできません。

(控訴とは,上の裁判所に持って行くことです)。



払ってくれ!という請求をしていないので,

本訴が認められない

ということで,上にいく利益はない

ということになるのです。





  

 しかし,反訴・別訴提起があれば,

    本訴について認められない

    反訴・別訴も認められない

という場合には,反訴・別訴が認められないという判断に対して,独立して控訴ができます。


5  知財事件の場合によく似た制度(無効審判請求)

  知財事件でも,反訴・別訴提起+併合上申は,あります。

  知財事件といっても,請求権の根拠が,特許権等というだけで,基本は通常の事件と変わらないからです。

  訴えられたら訴え返すの原則は,

ここでも通用することになります。





  知財事件には,反訴によく似た制度で,別に,

    無効審判請求

があります。

 前にも書いたことがありますが,これは,元々特許が無効だ!

と特許庁に申し立てるものです。

 無効審判が確定すれば,特許が無効となり,損害賠償が認められないだけではなく,損害賠償をもらっていれば,返せ!

という請求もできることになります。

Last updated 2010.03.02 18:49:43


H22.6.21現在のコメント
訴訟戦略とは,
訴訟をしている中で考えること
交渉の中で訴訟を見据えて考えること
です。

弁護士の交渉というのは,
基本は,どちらもが,訴訟等法的手続を見据えたものとなります。

時間をかけてでも,
法的手続を採用した方がよいか,
勝てるにしても,今示談をした方がよいか
訴訟のリスク・メリットを合わせて考えなければなりません。