2014年7月28日月曜日

商号,不正競争防止法,商標…原則,同じ商号も許される(一般向け)

(H260728UPDATE)

意外と相談例が多い事案です。

同一商号は基本許される。
→不正競争防止法での排除は難しい。
→商標をとるのが一番の対策
というのが結論です。


商号,不正競争防止法,商標…原則,同じ商号も許される。


会社法改正施行に伴う改正で,意外と重要な商法・商業登記法改正がされています。

「他人が登記した商号は、 同一の市長村内において同一の営業のために、これを登記することができない」(商法19条)
「商号の登記は、 同市町村内においては、同一の営業のため他人が登記したものと判然区別することができないときは、することができない」 (商業登記法27条)
が廃止されたのです。


現行商業登記第27条では,
「商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。」
とされています。

規制は,同一商号,同一営業場所となったのです。

つまり,大原則として,同一市町村内でも同一商号が許されるということになります。

商法には,
(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)
第十二条  何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
という規制のみが残りました。
つまり,
①不正目的,②誤認のおそれ
を要件とするものです。

不正競争防止法で,対処すればよいという改正でした。

不正競争防止法には,次の規定があります。


第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
1項1号は,周知表示(商号)に適用される①周知性,②混同誤認を要件とするものです。

1項2号は,著名表示(商号)に適用される①著名性を要件とするものです。

つまり,大原則としては,商法12条1項,前記不正競争防止法上の規制の例外以外、同一市町村内でも,同一商号が許されるということになります。


原則が強いか弱いかは,適用において重要な意味を持ちますが,

商法の「不正目的」
不正競争防止法の「周知性」「著名性」は極めて厳しい要件といってよく
中々例外が認められないと考えられます。


つまり,

「著名性」は,いわゆる超有名企業ぐらいしか無理です。

「不正目的」も,例えば会社まで設立していれば,その立証は極めて困難です。

最後の拠り所の「周知性」ですが,
これは,ある一定地域,ある一定業種で「周知」であれば良いのですが,

かなりの規範的要素を含む要件ですので,

どこまで立証すれば「周知」といえるかは結局は裁判をしないと
明確にならない
という要件です。


私の手掛けた事件でも,山ほど新聞やら雑誌やらを出したが,周知性が認められなかった例があります。

極端なことをいえば,裁判官がよく知らなければ,
「周知」ではない
とされるといっても言いすぎではないぐらい厳しい立証が求められます。


また,「混同誤認」要件も厄介で,業種が違う等の細かい立証を積み立てることができます。


結構よくある相談ですが,
ほとんどの場合は,

難しい(商号使用が許される)

ということになります。


この対策としては,自己の商号で,

商標

を取るというのが,一番です。



商号使用は許されるとしても,商標権を取得していれば,

商標としての使用
が許されない

ということになります。



元々,不正競争防止法は,知的財産法(特許,実用新案,意匠,商標)の

補完的意味

があるとされるのは,この意味です。

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