2010年6月29日火曜日

争うべきは争うべきである…変な事実が載らないように

争うべきは争うべきである…変な事実が載らないように


訴訟戦略の一つとして,書きます。


今日のポイント
不都合等な事実は争うべきである。
弁護士と入念な打ち合わせをしましょう。





民事訴訟では,争いがないところに,

裁判所が立ち入らない

という大原則があります(弁論主義といいます)。



どんなに事実と違っていても,

当事者同士が争っていない事実,
原告が主張し被告が認めた事実は,

そのまま,その事実を基礎として,裁判をしなければなりません。



法律上は,かなり難しく深い議論があるのですが,

事実でないと思っても,
証拠がなくても,

争いがなければ,そのとおりの判決が出るということで,大きくは間違ってはいません。



簡単にいえば,貸金1億円を返せ!という裁判をした場合,

被告が,

1億円借りたこと,まだ返していないこと,返済期限も経っていること

を認めれば,
例え,1億円の事実が何らなくても,
例え,裁判所自身が,そんなことないだろ!と思っても,
貸金1億円を返せという判決を出さなければなりません。


これは争いのないところに立ち入るべきでない,必要もない
という私的自治の原則の現れと言われています。


逆に考えれば,

争う部分は,争わなければなりません。



請求に関わるものは,割といいのですが(争わない訳がない)
問題は,争点外の事実です。



これも,理論上の問題は別として,
争わなければ,そのまま進んでしまい,

判決にも,明らかに争っていないとして,

「事実」として記載されることにもなりかねません。



そのため,争点に関わらなくても,

そのまま事実として認められることを是としない場合には,
証拠を付して争う必要があります。




到底結論は望めなさそうな訴訟を提起し,
判決理由中の事実認定や判断を重視するタイプの

運動論的な訴訟形態によくありがちなものです。


本来,裁判所は争点に関わる判断のみををすれば足りますが,
筆が滑ったか,意図的か,
争点以外に社会的影響を与える事実を,判決書きに記載することがあります。


運動論的色彩を帯びた訴訟,
争点外一定の事実重視論,
マスコミによる切り抜き報道
というコンボも珍しくありません。

仮に,たとい政治的意図がなくても,
そこまで大げさでなくても,

結果的に社会に影響を与えたり,
営業活動の支障になったりすること

があります。



このような場合に,
被告(訴え提起をされた)側では,
まず,事実論については,争点外の事実についても
疎かにすることなく,
周到に争っておく必要があります。


ちなみに,
このような相手方が言っている事実で,

支障,不具合,不名誉等

と感じる事実は,必ずしも弁護士が常に気を配る
ということにはなりません。


普通は,最も関心が向くのは争点内のことですから,
関係ない事実には余り目が向かないし,
もっといえば,
支障等と思わないこともあるからです。


結果的ですが,

準備書面等を良く読んで,
打ち合わせを重ねる

ことが,オーソドックスですが重要ということになります。




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H22.6.29現在のコメント

本文に書き切れないコメントもここで書きます。

デアル調でカタク書いている部分は,論文(予定はなくても)下書き的に書いています。
分けてコメントしておくのも便利と思います。


事実論,特に争点外の事実論について書きました。

争点外の事実も馬鹿にできない影響力がある場合もあります。

裁判には勝ったが世間に負けたという事態にならないようにするための
訴訟戦略です。



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