2010年6月25日金曜日

電気は物ではない?・・・言葉の厳格さ,用語の違い

電気は物ではない?・・・言葉の厳格さ,用語の違い
[ 弁護士の仕事 ]


Last updated 2010.05.26 16:48:40
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201005260000/改訂(H22.6.25改訂)



屋外でパソコンや携帯電話をつないで充電する「公衆電源サービス」の事業化について東京電力が早ければ平成22年度中にも乗り出すことが分かった。

(ITMEDIA NEWS 2010年05月26日 12時12分 更新

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1005/26/news032.html)



ノートパソコンで最も困るのは,バッテリー切れです。

なくなると,単なる箱になります。

かといって,外で充電できる場所は限られます。

ということで面白いサービスです。



それだけでは法律的な話ではないので,

電気窃盗

を書きます。

時々,実際にも捕まっていますが,電気を盗むと,窃盗罪(刑法235条)になります。



窃盗罪の成立には,

「財物」を窃取しなければなりません。


この「財物」を意味するものとしては,大きく説が分かれています。

有体物説と管理可能性説

です。

有体物説からは,当然,電気は有体物ではない→「財物」ではない

管理可能性説からは,電気は管理可能→「財物」である

ということになります。



「電気」については,条文で,明確に解決されています。

「この章の罪については、電気は、財物とみなす。」(刑法245条)



クイズ(司法試験でも出てもよい問題です),


この条文は,有体物説に有利か?管理可能性説に有利か?







この条文は,有体物説に,極めて有利な根拠となります。

そのヒントは,

「みなす」です。

「みなす」は漢字で書くと分かりやすいです

「見做す」

つまり,本来は違うが,一緒としておく。

という意味があります。



管理可能性説からすれば,

電気も当然「財物」ですので,この条文はなくてもよかったということになります。説明の仕方としては,本来,電気は管理可能なので,「財物」に該当するが,無用な争い(本当に管理可能か?等)を避けるため,また,例えば,論理的には管理可能性説でも電気の「管理可能性」を否定することも可能であるから,刑法245条の「みなす」は,「管理可能性」を「みなす」という趣旨であるとします。こうすれば条文の文言とは矛盾しません。

ただ,不利とはいえます。



「みなす」,他によく似ているが異なる概念である
「推定する」,
「することができる」

という言葉の違いは,他の条文にも使われていますが,

かなり重要な基本的知識となります。



電気は,本来「財物」じゃないけど,条文で規定して,財産犯に関しては,

「みなす」ということにしておこう。

という解釈になります(有体物説から)。



刑法は,論理と,言葉の厳密さを学ぶのには絶好の科目です。


なぜ,厳密かは,

罪刑法定主義の要請

です。

 
法律なければ刑罰なし

ということで,逃れることができない解釈をすべき言葉について,勝手に文言を変えて,

処罰することはできないのです。



裁判官が勝手に,電気は,財物ではないといって窃盗罪を成立させないことは,ダメということにもなります。





この「みなす」,「推定する」,「することができる」

という条文の言葉が聞かれたと思われる問題が,新司法試験でも出ています。



平成20年度民事系第2問,設問4です。

民事訴訟法224条3項の「真実と認めることができる」

という条文の解釈について,

代表的な,

転換説,軽減説,心証説,擬制説

を各批判して自己の採るべき立場を論ずる問題でした。


この問題は,受験生レベルの話題では,自由作文?

という見方がありましたが,この問題は,極めて良問の部類です。

まず書くべきことも明確です。



多分,最も書くのが難しいのは,軽減説でしょう。

これは,かなり学説知識(特に有名人の)が必要です。

(意外と参考答案でも多いですが,大ブームを巻き起こした学説提唱とは全く異なる記述がされているのが多いですね・・・つまり,間違いです。)



実は,

ある説には最もマッチし,

同時に他の説に対する最も痛烈な批判となる理由付

があります。



分かりますか?

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H22.6.25現在のコメント

解釈の考え方を示してみました。


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