2010年6月18日金曜日

たまには知財のことを・・・知財事件は変わっている?

たまには知財のことを・・・知財事件は変わっている?
[ 知的財産:全般 ]

Last updated 2010.02.04 09:56:47
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たまには知財のことを・・・。

知財,特許を初めとした知的財産事件も,結構メジャーな分野になった。

私が事務所に入った10年ほど前は,今ほど盛り上がってはいなかった。





今は,司法試験の選択科目にも入る堂々とした分野ということであろうか。





私が感じた(主観もかなり含む)他の一般事件との違いを,順不同に羅列してみる。裁判の場合,訴外の場合も含めて羅列したら,色々あった。



 1 書面が長い!

   一般に知財事件の書面(準備書面等)は枚数が多い。

   正確に文献を 引用しなければならない場合も多く,「 」をつけて,そのままに書面に反映する場合が多いことが十分に影響していると思う。

   ちなみに,知財事件をよくやっている弁護士が,割と枚数が多いという傾向は,他の事件でも同じと思われる。私もそうかもしれないが,割と長い書面を書くのに気にしない(ちなみに,このブログは,ほとんど10分程度で書いている。)弁護士が多いと分析する。

   引用の正確性「 」付きとか,プリントスクリーンの応用とかも他分野に進出して,よくしている場合が多いが,これ自体は,引用の正確性としては本来望まれるものと思う。



 2 知財事件の審理は,極めて計画的である。

   知財事件裁判は,通常「侵害論」と「損害論」を分けて審理される。

   事前に,審理計画(ここまで,○回とか)まで書面で配布する裁判官もいる。

   通常事件よりも,かなり裁判官が,じゃ,次は,これ,被告は,これとこれ!と積極的に訴訟指揮をして,審理を進行させる傾向が強い。

   勿論,提出期限を守らないと嫌みを言われたり,怒られたりする。



 3 内容証明の往復回数が多い!

   通常事件であれば,◎◎円払え!さもないと裁判する旨の内容証明郵便を送付して,相手方に弁護士がついても,それほど内容証明の出し合いというのは余りしない。

   知財事件では,技術論争・法律論争,問題となる争点の明確化等,内容証明の出し合いをするものが多いと感じる。

   実は,内容証明の作成は,かなり難しい仕事の分類であり,神経を使う。内容証明を出した主張は,裁判で前はこんなこと言っていたのではないかと使われるので,既に戦争は始まっている感じが普通の事件より高い。


 4 技術論争!

   特許,実用新案事件では,当然ながら,事実論は,技術論争が中心となる。

   主として明細書の記載についての解釈,公知資料,他の技術文献についての記載,解釈論が論点となることが多い。

   明細書(ちなみに,権利範囲内か否かは,この記載で基本は決まる)に,「◎◎の歯車」とあったとき,内のは「歯車」ではない!とか,◎◎ではなく××だ!という論争である。

   傍目には,かなりマニアック(同期にいわれた・・・)な論争である。

   ただ,建築紛争とか,物の瑕疵(かし と読む。不具合のことである)が問題になる場面では,同じく技術論争が基本になる場合も多く,また,他の一般事件でも,傍目ではマニアックと言われるのも少なくないので,余り変わらないのではないかと思う・・・・。



 5 尋問は,ほとんどない!

   知財裁判のかなりの特徴的なものと考えられる。

   他の一般事件では,ほぼ間違いなく最終段階で尋問期日がある。



   技術の話であれば,信用性のある本を出せ!

   供述ではなく,論文があるはずだ!

ということになるからであろうと推測される。



   知財事件で尋問が行われる場合でも,かなり尋問事項について詰めて行い,その範囲でのみやることが多い。

   問題は,尋問の技術が上がらないという心配であるが,私の場合は,刑事の尋問で,実践練習という形がある。お節介かもしれないが,知財事件をやりたいという受験生もあるが,尋問ができないと,良くないのではないかと思う。



 6 記録が厚い!

   あくまで一般的な話ではあるが,書面も長く,証拠も文献丸ごと出す場合も多いから,必然的に,知財事件では,記録が厚くなる。

   不正競争防止法の周知性立証は,簡単にいえば,こんなに有名です!というものであるから,あの雑誌,新聞とか証拠が多くなる(甲1の150とか)。

   逆に,著名性は,本当に著名であれば簡単である。内のブランド!と一枚出せばよいことが多い。



 7 特許庁が前段階にあることもある。

   知財訴訟の内,特許庁の処分があり,それを審査・取消等するために裁判になる場合がある。

   行政裁判をしていれば普通であるが,他の一般事件には余りない特色である。

   ちなみに,特許庁の審判等は,通常の行政事件とはかなり異なる趣がある。



 8 どんでん返しの方法がある。

   知財訴訟においては,他の一般事件にはない特色として,根底を覆す防御手段が存在する場合がある。

   通常の不法行為(例えば交通事故にあった)では,交通事故そのものがないと覆すのは大変である。

   しかし,知財訴訟では,例えば,特許では無効審判を特許庁に起こすという根底から覆す防御手段が存在する。

   無効審判で特許無効が確定すれば,そもそも権利侵害とならないということになり,裁判においても特許無効を主張することで,根底から覆す防御手段が存在することになる。

   損害賠償金を求めて訴えたら,その特許まで無効になってしまった。という恐ろしい結果になり得る。



 9 改正が頻繁である。

   これは消費者問題(特定商取引法,割賦販売法等)等他分野でもあることであるが,知財訴訟の改正は,かなり頻繁である。

   極端な例を挙げると,昔は,特許と実用新案は,あまり変わらなかったが,今は,かなり性質が異なる(手続も)制度になっている。このような改正に追いついていかないと,知財訴訟は難しい。慣れの面というのは,このような場合も重要である。



 色々列挙してみたが,やはり,少し変わった分野とはいえる。

Last updated 2010.02.04 09:56:47