2010年6月21日月曜日

訴訟戦略:集団訴訟・・・今後注目!

訴訟戦略:集団訴訟・・・今後注目!
[ 訴訟戦略 ]


Last updated 2010.03.07 22:40:23
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003070000/改訂(H22.6.21改訂)


「はじめに」
 訴訟戦略として,今後重要な位置を占めると考えれられるのは,
  集団訴訟
です。


集団訴訟は,大きく分けて,2つあると考えられます。

1 当事者(訴訟の対象の当事者)が多数の集団訴訟

2 弁護団lという形式の代理人が多数の集団訴訟

です。


「目次」
1. 当事者が多数の集団訴訟
1.1. PL訴訟
1.2. 個人情報流出事件
1.3. 告訴・告発事件
1.4. 運動論としての事件

2. 弁護団としての集団訴訟
2.1. 訴えるのは一人(少数)でも,社会的に意義ある訴訟
2.2. 運動論としての事件

3. 集団訴訟の問題点

「本論」
1. 当事者が多数の集団訴訟
 当事者が多数の集団訴訟は,
    同じ争点のものを一挙に解決できる。
    弁護士費用も含めた費用を分散できる。
    社会的に目を向けさせることができる。
 というメリットがあります。

1.1. PL訴訟
 PL訴訟とは,製造物責任に基づく訴訟です。
 日本にも製造物責任法はあります。

 しかし,「欠陥」,つまり,製造物が通常有すべき安全性を欠いていることを被害者側が立証する必要があります(消費庁Webサイト http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/pl-j.html) 
 

しかし,実際,個人一人でやるとなるとかなり大変です。
  

   通常有すべき安全性

というのは,
   現在,こういう安全性に欠けることが起こった。
   通常有すべきは,このような構造を有する必要がある

ことは被害者側で立証する必要があります。
 

 また,製造物責任法の守備範囲以外は,原則論としての民法による必要があります(「瑕疵」,「債務不履行」)。


  結局は,技術論的な深い調査が必要となることが多いといえます。 

  

  これには,必然的に,費用がかかります。



  訴訟に踏み切る前,つまり,調査をしないと,

     勝ち負けも分からない,ということになると,

多大な調査費用をかける動機に欠けることになります。

 
 集団訴訟であれば,
  これらの費用を分散することができます。

 一つ(少数)の物について,厳密な調査をし,その調査結果を裁判資料とすること

 弁護士費用についても,分散して,一人ずつでするより,安くすることもできます。


 今後は,

  集団訴訟+PL訴訟

という形態は,大きな意味を持つことになると思います。

1.2. 個人情報流出事件
  個人情報が企業から流出は,今も,多くある事件です。
  個人情報流出の損害は,どれだけセンシティブな内容を含んでいるかによります。

  ただ,どのような重要な情報でも,被害金額(裁判で認められる金額)は,せいぜい数千円に留まるものです。
  
  これでは裁判をするにも,弁護士としては割に合いません。

  しかし,1000人,1万人とした場合,
  例えば,最初に3000円で受け,半分を着手金,半分を費用にあてるという方式でやれば,弁護士としても仕事と労力にあうことになります。

 個人情報流出事件は,集団訴訟に適したものといえます。

1.3. 告訴・告発事件
告訴は,被害者としてできますが,告発は,何人(なんぴと)でも,できます。
この種の事件は,被害者がまとまると,また,告発人がまとまると,社会に大きな関心とインパクトを産み,厳粛な捜査進行に関係します。
 
例えば,今話題の「2ちゃんねるサイバーテロ事件」では,国内実行者としても,かなりの人数がいると思われます。

F5アタックは,不正プログラムを使ったわけではなく,正当なリロード行為との判別は付けがたいものです。しかし,故意に,あるWebサイトの正当な運営を阻止するために,F5アタックをした場合は,少なくとも威力業務妨害罪(刑法234条)に該当します。
 
WebサイトをF5アタックで攻撃することは,法的の被害者は,Webサイト運営者であり,サイト利用者は,被害者そのものと捉えることはできないと考えられます。

しかし,このような不正は,ネット社会の平穏を脅かすもので,断固として許せるものではありません。

そこで,サイト利用者の立場としては,告発人として,告発することができます。
 

 告発は,犯人不詳でも,できます。


 サイト利用者が声を上げない場合は,大したことないものとして捜査機関としても真剣に検討しないかもしれません。


 このような場合,

  集団訴訟としての告発

が効果的でもあると考えます。


1.4. 運動論としての事件
 例えば,法的にはかなり問題のある訴訟をすることは,すること自体はできます。
 
 このように訴訟を多数で提起することで,訴訟の勝敗結果自体に着目することなく,社会の目を向けさせることを主目的とする運動論としての事件にも,集団訴訟は,有効です。
  

 むしろ,運動論としては,集団訴訟でなければ意味がないともいえましょう。



2. 弁護団としての集団訴訟
2.1. 訴えるのは一人(少数)でも,社会的に意義ある訴訟
 
民事訴訟において,請求権がある者が一人(少数)しかいませんが,その訴訟の結果が,社会に大きな影響を与える場合があります。


この場合には,自発的に,弁護士が多数集まり支援するために,弁護団が結成されることがあります。
 
上記のように,当事者が多数での集団多数が,結果的に弁護団も沢山ということもあります。このような場合は,費用は賄える手段があるといえばあります。
 
しかし,当事者が少数の場合は,弁護士費用は勿論,訴訟を続けていくだけで,当事者が裁判から得る経済的利益には到底足りません。


例をあげれば,一人の名誉毀損事件で,弁護団が結成されれば,コピー代だけで,数千万円がかかります。
 
 

社会的に意義がある訴訟を遂行するには,支援者の存在が不可欠です。
 
 

思想性は,別として,支援者から積極的に金を得る手段を持っているところは,強いのです。


2.2. 運動論としての事件
 
弁護団多数の場合でも,求めるものが法的にはかなり厳しい場合もあります。
 
この場合でも,社会的な意義を求めることを主目的として運動論としての色彩を帯びる場合があります。

この場合にも運動論としては,集団訴訟でなければ意味がないといえましょう。


3. 集団訴訟の問題点
 
集団訴訟は,今現時点では,被害者側の需要はかなり高まっているものと考えます。

それを積極的にしようとする障害として弁護士側の問題もあります。
 
 

弁護士も商売ですから,常に無償で協力しろ
ということはできませんし,運動論を拡大することにも限界があります。

弁護士側からいうのは変な話しかもしれませんが,積極的な弁護士には,儲けさせても良いという肝要な(?)心が,お客様側に必要になります。 



弁護士側からすれば,集団訴訟は,やはり,気苦労が多く,労力も多い事件となります。


単に,集めれば足りるという訳ではなく,

受任の方法

当事者の募集

多数当事者間の公平に対する配慮

支援者への説明

費用のまかない方法

弁護士費用の健全な確保方法

等クリアにすべき問題が数多く残ります。

  
これらについては,私も完全にクリアにすべき答えは出ていませんが,

思うところはありますので,いずれ明らかにしたいと思います。 



集団訴訟の今後の発展は,

これらをクリアにする方法を,弁護士自体が提示することに掛かっていると考えます。

Last updated 2010.03.07 22:40:23


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H22.6.21現在のコメント

アメリカでは,集団訴訟は,かなり一般的といえますが,
日本では,まだまだ特殊な分野といえましょう。

受任の方法として議論はありますが,やはりネットの力を借りることになると思います。

何か起こった場合(悪い意味ではなく),被害者を掻き集めることができるシステム作りが必要です。


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