2010年6月21日月曜日

嘘は言わない・・・しかし・・

嘘は言わない・・・しかし・・
[ 弁護士の仕事 ]


Last updated 2010.03.17 21:33:38
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003170001/



弁護士の仕事のやり方を書きます。

  弁護士は,嘘は基本的には言いません。

なぜなら,
  
嘘をつくと,更に嘘を言わねばなりませんので,後が大変になる

また,嘘をいうと,相手につけ込む隙を与えることになる

からです。

 
もちろん裁判所に提出する書面に嘘があれば,主張の信用性にかなりの影響を与えます。




ただ,お客様の利益のために,

  言わない

ことはします。



言わないことは嘘ではありません。

したがって,逆に言うと,弁護士は

  行間を読む,

  裏を読む

ということに慣れているといってよいでしょう。



なぜ,このような不自然な表現になっているのだろうか?

こう書いていないのは何故だろうか?

と文章を読んでいくことになります。



例えば,ヤミ金業者が,報道機関に,

次のインタビューに答えているとします。


「過剰な高金利は,昔の話しだ。

今は誰もしていない。

私は,自営業者や主婦など,通常から借りられないところにお金を渡す,社会の潤滑油だ。

キツイ取立もしていない。商売なんだから,キツイ取立で,お金を返してくれるとは考えないのが,普通である。」



自分を正当化する表現となっています。

この表現からは,ヤミ金(ソフトなヤミ金と最近はいうらしい)は,割と害ではないのではないかと思う人もいるかもしれません。

これで試しに裏を見てみましょう。



「過剰な高金利をしていない」    

過剰をしていないだけで,高金利をしていることになります。ただ,しかし,過剰でなければいいのではないかと思わせる効果が,この表現にはあります。



「今は誰もしていない」

主張に説得力を持たせる時に使われる手法の一つで,多数人がしていないことを根拠にするものです。小学生が,みんな持っている!というようにする手法と同じで,単純ですが効果はあります。



「社会の潤滑油」

よく使われる表現ですが,ヤミ金の存在意義をいっています。なるほどなあと何も知らない人には思ってしまうこともあるかもしれません。



「キツイ取立をしていない」

これも,ヤミ金といっても,これが本当ならば,ヤミ金にも存在意義があるかもしれないと思わせてしまう効果があります。



さて,信用すると信用しないとを別にして,この表現の中には,嘘と断定できるものはありません。

本当に真実を言っているかも知れません。

また,「社会の潤滑油」というのは,意見ですから,嘘・真実の問題ではなく,当否の問題となります。





しかし,法律的にみたとき,これだけでは気づきにくい,

重大な言っていないことがあります。それは,

  無登録のヤミ金営業をしていること

には何も触れていないことです。





前にも書きましたが,無登録営業は,出資法,貸金業法を通じて最も重い罪となる

懲役10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金又併科

です(貸金業法47条2号)。



高金利やキツイ取立より重大な違法事実には何も触れていないのです。



このインタビューのようなものを引き写して,何も解説することなく無批判に報道等することは,結果的に,最も重い無登録営業に目をつぶるヤミ金を擁護するものに他なりません。



この場合,単に無批判に引き写しているか,それについて解説を加えているかの違いで,

インタビューを載せた報道機関の姿勢・隠された意見が

みえることになります。



このヤミ金インタビューを「事実」として載せることで,

その報道機関は,何を言わんとしようとしているか

が分かることになります。



書いているとおり,先ほどのインタビュー自体には,嘘と断定できるものはありません。

しかし,言っていないことがあります。

裏を読めるようになると報道機関のスタンスがみえてきます。



弁護士の仕事に限らず,他にも役立ちそうです。 


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H22.6.21現在のコメント
このブログも意外と慎重に書いています。

裏の事情を十分に把握した上で,
不都合なことは敢えて書いていない場合もあります。

裏を読めますか?

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