2010年6月21日月曜日

「ツイッターで歌詞つぶやくと利用料」?…著作権,非権利者側の思惑

「ツイッターで歌詞つぶやくと利用料」?…著作権,非権利者側の思惑


Last updated 2010.03.09 15:48:29
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003040002/改訂(H22.6.21改訂)

「はじめに」

著作権を考える(1)では,権利者側の発言の中身を検討しましたが(ブログ内リンク
http://utsuboiwa.blogspot.com/2010/06/last-updated-2010_21.html#links


若干,権利者側のみに記述が傾いた感がします。

フェアな扱いを考えて,今度は,非権利者側から,考えてみます。
「これも改訂の際に一つにまとめました」

「目次」
1 著作物性判断の困難さ(part 1)

2 損害額算定の予想(part 2)

「本論」
1 著作物性判断の困難さ

歌詞について,同じものをつぶやいたという場合,

当然ながら対象の歌詞発表より前のつぶやきは,著作物に関わらずされたものですから,著作権侵害となりません(依拠性がない)。 

 

そして,前にも述べましたが,歌詞というのは,意外と著作物性の判断に迷うものです。  

ある程度「長さ」がなければ,著作物性は認められにくくなります。
   
   創作性がある程度の独創性が必要です。


歌詞は,曲に後載せするか,先に書いて曲をつけるということになります。


しかし,歌詞は一般の文学とは異なり,メロディ・リズム・ハーモニーに沿ったものでなければならないという,元々が,かなりの制約の中で書かれた言葉です。 



また,歌詞は一般向けにアピールしなければなりませんので,基本は分かりやすい言葉,誰もが分かる言葉になっているのが普通です。



更に,そのようなことから,例えば,

    さくら♪ さくら♪

のように,どの歌詞から取ったのかが分かりにくいことも多々あるかと思います。



このように,歌詞に著作物性が認められるというのは,


よほど,そのまま長く切り取ったりしたり
   
特徴的な部分がなければ,


一般的には著作物性自体が認められるのが困難な部類に感じます。


twitter は,140字の字数制限があり,
かなり書けますが,相当に努力しなければ,

 著作物性が認められるほどの侵害

行為をするには大変に感じます。


勿論,引用と法律のルールに従っていれば,問題はありません。



著作権を考える(3)twitterと歌詞 非権利者側からpart 2

へ続く


Last updated 2010.03.09 15:48:29




Last updated 2010.03.05 09:58:37
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003040003/改訂(H22.6.21改訂)




「はじめに」

 著作権を考える(2)twitterと歌詞 非権利者側からpart 1の続きです。

 ここでは,「損害論」を考えます。

「目次」
1 著作物性判断の困難さ(part 1)
2 損害額算定の予想(part 2)

「本論」
1 著作物性判断の困難さ(part 1)
2 損害額算定の予想(part 2)

 twitter において,著作物性があると認められる歌詞が書かれれば,twitterでの書き込み者自体は利益を得ていないので,使用料相当の損害金が問題になるものと思われます。 

この使用料相当の損害金については,


基本は,社団法人日本音楽著作権協会の使用料規程(http://www.jasrac.or.jp/profile/covenant/pdf/royalty/royalty.pdf)


によることになります。


使用料規程による,歌詞の使用料は,

(1) 楽譜集など書籍の内容が主として歌詞又は楽曲の場合の使用料は、当該書籍の
定価(消費税額を含まないもの)の10/100に発行部数を乗じて得た額とする。ただし、
書籍に利用される著作物の一部が本協会の管理外の場合の使用料は、著作物の総
数に対する本協会の管理する著作物の数との比率を前記使用料に乗じて得た額とす
る。
なお、書籍に定価がない場合の使用料は、3 (2)の規定によるものとする。
(2) (1)以外の書籍の場合の使用料は、その発行部数により1曲につき歌詞、楽曲
それぞれ下表のとおりとする。
・・・

予想されるジャスラック側の主張を考えてみます。





予想ジャスラック側主張,算定式

  a 定価(しかし,3(2)によるものと主張か。後述)

×b 10/100

×c 発行部数

×d 管理外著作物数/管理著作物数



a 定価

twitterの字数制限である140字/回では,なかなか全部の歌詞が書けません。

そのため,1回のつぶやきならば,せいぜい,全体の歌詞の内,20%も書ければ御の字でないでしょうか。(かなり適当です。)この部分は,仮のつぶやき量として,「20%」として算定した場合を考えてみます。


 また,仮に1曲分全部書いていないならば,1曲分の歌詞集の値段の割合が問題になるはずです。 歌詞楽曲集は,通常,楽譜も含めて何曲かのセットになっているはずです。 どんなに高くてもセットで1万円を越えることはないはずです。

   10曲入っていれば,1曲1000円です。

  この内,歌詞の部分が,楽曲全体にして,どの程度の重要性を持つか,争いになってもよいです。

 曲主体であれば,当然曲分の割合が高くなります。分かりやすく計算するために,5:5(曲:歌)としておきましょう。

 実際の裁判では,楽典等も活用して,曲がすばらしく歌詞平凡と,具体的には, 

   メロディラインが楽典上珍しい特異なものだとか 

    リズムが,特徴的だとか 

  コードが,通常の理論上 (古典的乃至ポップス理論のどちらか,又は双方)とは異なる特異なものだ,

ポップスでは通常使わないコードを使っているとか,


・・・・を具体的に,主張立証することになると思います。 



曲の価値が高くなればなるほど,歌詞としての価値は相対的に落ちることになります。


定価についてですが,権利者(管理団体)側は,定価がないとして,3(2)の規程の適用を主張するかもしれません。 

  規程の3(2)では,


  (2) (1) 以外の出版物又はのれん、手拭、茶碗などの物品の場合の使用料は、その発行部数又は製作部数により1 曲につき歌詞、楽曲それぞれ下表のとおりとする。 ただし、歌碑、パネル、ポスターなど公衆に展示又は掲示されることを主たる目的とするものの場合は、その製作部数のいかんにかかわらず、1 曲につき歌詞、楽曲それぞれ18,000 円とする。


とあります。

 twitterは,「公衆に展示又は掲示」といえますから,定価を1万8000円でいってもおかしくありません。



しかし,特にポップスの場合は,歌詞のみが書かれた雑誌も発売早々には売っており,それもかなり安い金額です。このような雑誌を証拠として提出することで,定価を争うことができます。 


また,規程の文言は, 
「歌碑、パネル、ポスターなど」ですから,歌詞のみの歌詞集がある以上,定価がないとはいえないし,上記文言とも同視もできないと争うべきです。



b ×10/100

これは,使用料率としては,かなり高めです。 
ここも争ってもよいと考えられます。
 

c ×販売個数 

ここが一番争いになり,大きく損害額が変わってくるところです。

ここは,twitterの性質論が大きく関わります。


twitterのつぶやきは,通常の検索でも見えますし,少なくとも登録・アクセスした全ての人が,公開されたつぶやきには触れることができます。
そのため,潜在的にみて少なくとも登録した全ての人数分と考えられないこともありません。これによれば,かなり数が増えます(これは,権利者側に有利)。   

それとも,twitter特有のフォローをした人に限れば,人数はかなり限定されます(非権利者側に有利)。


twitter に潜在的にアクセスできたとしても,興味のない人にまで,見せたといえるかは,損害額の算定においては,少し疑問な点があります。 
「販売個数」とある以上,やはり積極性が必要とも考えられます。 


また,twitter の特性である,フォローした人が「販売個数」というのも不自然ではないと考えます。ここでは計算を分かりやすくするため,フォロー者100人としておきます。


後は,期間計算ですが,
  100人/月
とすれば,著作物性ある歌詞を掲載した時から,削除までの期間としましょう。

取り敢えず1か月で計算しましょう。

注意すべき点は,「ネットの拡散性」です。

この点については、
ネット上の名誉毀損事件等
ネット上の損害論全般に関わりますので,いつか機会をみて考えたいと思います。



d ×管理外著作物数/管理著作物数

これは,結局
「寄与分」
をいっています。


先の寄与分的な主張を,「d ×管理外著作物数/管理著作物数」に組み込んで,適切なパーセンテージを考える必要があります。 


つぶやきで書かれた歌詞は歌詞全部ではないこと

曲全部ではなく 歌詞のみであること,

曲の方が歌詞より重きを置く楽曲であることなどが,


パーセンテージ軽減事由

になります。  


寄与分の事情は,他にも考えられますが,ここでは,仮の算定として,

 (20/100(歌詞全部ではない)×(50/100(曲に重き)

を使ってみましょう(歌詞のみの定価を規程上想定していますので,疑問はありますが,歌詞と曲の割合は考慮しないことにします)。


こう考えると,

a 定価  1000円(多くて)

×b 10/100

×c 100人フォロー/月×1か月

×d 寄与分 

 ((20/100(歌詞全部ではない)×(50/100(曲に重き))

=1000円と損害額が算定されます。


仮に,定価が1万8000円とすれば,この18倍ですから,損害額は,1万8000円です。


更に,規約の割合等は,これがそのまま裁判で認められるわけではありません。


例えば,東京地方裁判所平成21年11月13日判決(平成20年(ワ)第21902号)は,

「諸般の事情を考慮すると,本件サービスにおける本件管理著作物の利用に関する使用料相当損害金は,平均すれば1視聴回数当たり12円と認めるのが相当である。」

として,1視聴回数当たり12円として,ジャスラック主張の20円とは,かなり低めの認定をしています。

12/20になっていますから,定価1万8000円の12/20は,1万1800円となりますので,損害額は,1万1800円となります。



こうみると,最も力を入れて立証すべきは,

「販売個数(フォロー数 or not)」か「寄与分」といえます。


特に販売個数は,twitter特有の性質をどこまで裁判所に理解して貰えるかが勝負となると考えられます。


twitterの非権利者(書き込み者)側からみると,なかなか,権利者側としても,裁判まで踏み込むのは躊躇する感じは,しないまでもありません。

著作権の損害額計算は,割合が,裁判所によって決められたりするので,


権利者主張と,非権利者主張とがで,

大きな金額の差異

が出るあることがあります。


あのような公益的な役目も担う社団法人では予想される損害額が少なくても,提訴に踏み切る場合もあります。
そのため,金額が少ないから裁判されないとはいえません。


仮に,twitter 利用者全員だとか,寄与の主張が認められないとすれば,かなりの金額となります。そういう意味では心配な面もないこともありません。



なお,一人が訴えられたら,それにより,twitter サービスが無くなる可能性もありますから,また,運営管理者が訴えられたときも,同じですが,

 他のtwitter 利用者は,

     補助参加

ができると考えます。


補助参加をすることで,
裁判所に,(金額が小さくても)大きな影響があることを理解させることができます。


Last updated 2010.03.05 09:58:37




H22.6.21現在のコメント
ネット上のサービスにおいて
上にも書きましたが,
金額は小さくても
他に影響が与える事件というのがあります。

例えば,最近では有料で,
書籍を裁断してPDF化するサービスがあります。


集団訴訟的なことになりますが,
ネットの拡散性
のことを考えれば,一般の人が,補助参加をする機会は,増えていくのではないかと思います。