2010年6月24日木曜日

字面から読み取る力・・・事実と評価の違い

字面から読み取る力・・・事実と評価の違い
[ 弁護士の仕事:証拠 ]


Last updated 2010.04.27 10:29:50
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201004270000/改訂(H22.6.24改訂)


証拠については,

字面が最も大事

と言っても良いと思われます。


どういうことかというと,

ある証拠に,何かが書いてあった場合には,
その字面どおりに受け止められる

可能性が高いということです。



特に特許事件における新規性判断では,顕著ですが,

ある特許の出願前に,ある資料に,その技術(明細書の請求項にかかる事実)が,そのまま書いてあれば,

新規性がない

ということになります。



同じところ,異なるところ

という判断がなされるのですが,

基本的には字面が勝負となります。



刑事事件では,更に厳格で,例えば,
脅迫文言(脅した際に言った言葉)も,事実認定をするのならば,

調書や公判廷で供述された言葉

からしなければなりません。



一般的ではないですが,

事実認定に関しては,

知財事件と刑事事件

とは,かなり似ているといえます。



証拠を読む力は,一般的には,

読解力

とも読み替えることができます。



そして,読解力には,2通りあると思われます。

つまり,

字面そのものから,読み取る力

と,

字面そのものには書いていないところから,汲み取る力です。

です。



いつも書いていますが,これは,

事実と評価との違い

を意識することが極めて重要になります。


分析的にみれば,更に細分化できます。


1 字面から,そのままの言葉を引っ張り事実を認定する場合

〇〇 という記載から〇〇という事実を認定する。



2 字面の言葉を,解釈して,事実を認定する場合

〇〇記載→◎◎と解釈できる→◎◎と事実認定



3 字面から事実を認定し,意見や考えを評価する場合

〇〇記載→ 〇〇と事実認定→〜と評価



4 字面にないことから,事実を認定する場合

〇〇記載→解釈不可能な××と事実認定



5 字面にないことから,事実を認定し,更に評価する場合

〇〇記載→解釈不可能な××と事実認定→△△と評価


です。

こう図式化すると,

事実認定としては,

1と3は,同じことをいっている

4と5も,同じことをいっている

ことが分かります。




字面からは,断片的であったり不足であったりして解釈で補う必要があることもあります。

それが,2の問題で,

英語の場合に顕著ですが,例えば,

〇〇ly gear which 〇〇 is ××

という最初の言葉を,

「the gear」

で受けている場合,

これを訳するときは,「そのgear」では不十分で,前の修飾を伴った

解釈

をしなければなりません。


分かりやすい例を挙げれば,
遺言状に確かに書いている

ヘロヘロミミズ文字

を,解釈することも,そうです。



解釈を超えて,異なる事実を認定する場合は

(the gearを何ら関係がない ××ly gear とすることです),

証拠に基づかない

と一般には,いうことができます。



つまり,4,5は,基本的には,

この証拠に基づかない

といえます

(厳密には,民事訴訟には,弁論の全趣旨というのがありますので,字面だけから事実が認定されるわけでは,ありません。基本を書いています。また,証拠の兼ね合いから考える全体的評価というのもあります。)



一般に大学受験等では,

字面から読み取る力

特に,1が重視されます。これこそが,基本の国語力です。



字面そのものから読み取る力は,実は,かなり訓練を要します。



一般の感覚とは異なりますが,国語(大学受験を含む初等教育)

では, 4,5は,要求されません。

ある意味思想の自由の範疇に入ることで,客観性も得られないからです。

(点数がつけられない)



国語では,

3の部分の著者等の意見・考えも,字面の中から汲み取ることが試されます。

これも,客観性を確保するためです。



国語では,事実認定力が重要

といえます

(字面に書いてある意見・評価を汲み取るのは,事実認定といってもよいです。書いてある意見・評価を,このように書いてあるというのは,「事実」の範疇に入ります。)



国語というのは,客観性を養う重要な科目といえます。




そのため,著者自身が問題を解いてもできない,自分の意見と違うとなるのは,当たり前です。

悪く言えば,著者が,そのように読み取られる字面を書いているからいけないのです。



字面から事実を認定することで,客観性を確保できます。

誰が読んでも,そう読める

ということに客観性を確保できるのです。




証拠に基づいている

とは,裁判の客観性を確保することにあります。

客観的でない裁判は,信頼を失う可能性があるということにもなります。



そのため,字面から読み取る力が,極めて重要になるということです。



最初に戻れば,

証拠は,

そのままが書いてあれば,一番よい強い証拠

ということになります。



苦労するのは,そのままが,余りないということです。



そのままが書いてないように見えても解釈は一つ,そう解釈するしかないというのは,強い証拠


そのままが書いておらず,多くの解釈が成り立つ可能性があるのは,弱い証拠


そのままが書いておらず,解釈によってはどちらでもとれるというのであれば,弱い証拠


そのままが書いておらず,逆に反対のことが書いてあれば,有害な証拠


そのままが書いておらず,解釈しても,反対の意見・考えを読み取るしかできないのであれば,有害な証拠


ということができます。



弁護士の仕事の内,証拠についての判断,

裁判所ならば,どのように判断するのであろうか

ということを冷静に検討することも,

重要な仕事の一つです。



どこに書いてありますか?

どこにも書いていないですが?

この記載からは,反対にもいえますが?

と,しつこく聞いたりするので,煙たがらることもありますが,

最も必要な作業の一つでもあります。



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H22.6.24現在のコメント

大分改訂しました。

ちょっとは分かりやすくはなったでしょうか。

練り上げられていない実験的な見解ですが
興味深いテーマですので,


機会をみて

今一度書き直します。


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