2010年6月18日金曜日

共謀の範囲,事実と評価

共謀の範囲,事実と評価
[司法試験対策]

Last updated 2010.01.28 13:11:01
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201001270001/

先日,法科大学院のゼミで,新司法試験平成20年出題の刑法を検討した。

本試験の問題は,極めてよくできており, この問題も改めて感心した。

事実と評価の違いは, 法的領域では,永遠のテーマといってよいが,試験でも,それが分かる最適の素材と考える。



事実関係を示してと問題にあるように,事実が大事と言われる新司法試験であるが,どの論点について最も力を入れなければならないかが議論の中で,分かった。


「正犯」と「幇助犯」との区別,「強取」「暴行」(H22.1.28修正)の認定も大事だが,
この問題で最も重要なのは「共謀の範囲」に他ならない。


一見,問題文を素直に読めば,共謀の範囲が窃盗しかなく,

それでいくと,最も重要な実行行為をした甲に,強盗致傷(単独犯)までしか届かず,甲に被害者の死をおわすことができなくなる。


ほとんどの受験生は,共謀の範囲は,窃盗しかないと構成したそうだ。



実務的には,極めて,違和感を感じるところである。

こんな調書をとった検察官は,上司にどやされるのではないかと思うぐらいである。


しかし,共謀は,明示的または「黙示的」でもよい

とされている。



そこで,問題文を子細に検討すると,

実際に死への実行行為をした乙は,最初の方の段落で問題文に明示された明示の共謀文言とは別に,



少なくとも,事後強盗になっても構わないと思っているのではないかという事情も,

沢山記載されている。

また,よく明示の共謀文言をみると,かなり具体的ではあるが,侵入する際に誰か人がいなかったと確信できる状況でされたものでもない(実際に,人がいたという問題文になっている)。



重要なのは,事実と評価である。

試験では,問題文に記載されていることが,事実。

その事実を,問題文の事情により適切に評価されているかが問われている。



仮に,共謀の範囲が,窃盗だけに留まらず, 事後強盗まで含むと評価できれば,甲乙と共に死の結果について責任を負う構成が可能となる。



恐らく問題文の趣旨としては,素直に窃盗の範囲とするのが適当だったかもしれないが,

書き方によっては,事後強盗も含むと評価しても良かったのではないかと思う。

むしろ悩みをみせずに,簡単に,窃盗の範囲しか共謀がないとして,結論的にも不当なものを放置しておくよりは,点数が高くなるのではないかと思う。



実務的には,共謀は,検察官の腕次第というところがある。共謀を上手く調書に載せる検察官は,やはり,優秀である。

Last updated 2010.01.28 13:11:01


現在のコメント
H22.6.7に不起訴処分(嫌疑不十分)は,まさに共謀の範囲・内容が問題となりました。