2010年6月21日月曜日

「ツイッターで歌詞つぶやくと利用料」?…著作権,権利者側の思惑

「ツイッターで歌詞つぶやくと利用料」?…著作権,権利者側の思惑

Last updated 2010.03.03 15:02:14
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003020002/改訂(H22.6.21改訂)


「初めに」

色々シリーズ化していくと,

これが足りないじゃないか?

全然書いていない!

と自分で思うようになるので,いいのではないかと思います。

そこで,「著作権」シリーズを作りました。
分類としては,「知財:著作権」となります。
今回はネット上の問題も関わりますので,「ITC法」分野ともいえます。

今回は,

「ツイッターで歌詞つぶやくと利用料」 JASRACの説明にネットが騒然

J- CASTニュース 2010/3/ 2 18:42

(http://www.j-cast.com/2010/03/02061334.html?p=all)

での,

「JASRAC広報によれば、「ニコニコ動画」の生放送で菅原常務理事が「ツイッター」に関する著作権について語ったのは事実だという。「ツイッター」は個人がプライベートで勝手につぶやくものと思っている人もいるが、ホームページやブログと同じネットメディアであり、ヒット曲などの歌詞を書いた場合、著作権法に抵触すると説明する。それはJASRACの管理楽曲に関わらず、著作物全てに共通なものだとも指摘した。」

について,考えてみます。

「目次」

1 twitter と著作権侵害

2 歌詞と著作物

3 著作物性判断の困難

4 権利者としての振る舞い



「本論」

1 twitter と著作権侵害

  まず,

「「ツイッター」は個人がプライベートで勝手につぶやくものと思っている人もいるが、ホームページやブログと同じネットメディア」

の部分ですが,これは,正しいといえます。

twitterは,ネット上に公開されていますので,個人が,著作物性あるものを,無断転載,UPすれば,

著作権侵害となります。

twitter を,他のWebサイトやブログと,完全に違うものと判断することは,できないし,裁判所にも通りません。



ネット時代は,情報発信が個人でも容易にできるようになりましたが,

 法律的な素人判断をした結果,思いのよらない紛争に巻き込まれる危険性が増した

とはいえます。



2 歌詞と著作物
  歌詞は,音楽とは切り離されても,

それ独自で著作物性が認められる可能性があります。

 言語として著作物性が認められれば著作権法の保護対象となります。

 先ほどの発言

「 ヒット曲などの歌詞を書いた場合、著作権法に抵触すると説明する。それはJASRACの管理楽曲に関わらず、著作物全てに共通なものだ」

これは,後に述べます,権利者としての振る舞いを考慮にいれれば,

間違ったことは述べていません。

twitter だろうが,著作権侵害となり得ます。



「歌詞を(創作性を有する部分について)書いた場合,著作権法に抵触する」

著作権法は,「JASRACの管理楽曲」のみを保護するものではありませんから,「著作物全てに共通」するものです。

このコメントは,さすがプロのものと思います。

著作物性を有すれば当たり前の話しです。

 

3 著作物性判断の困難

 しかし,この発言は,歌詞を一言でも書いたら,著作権侵害となるという趣旨(そうは読めませんが)であれば,間違いです。



 著作物性判断の方法は,前にも書きましたが,

著作物があると判断される対象,ここでは,

歌詞



侵害とされた対象,ここでは,twitterでの書き込み

の同一性あると判断された範囲で,

創作性があるか否か

という判断になります。



具体的にみてましょう。

例えば,twitterに,

  日本の~

という歌詞の言葉をとって,記載したとします。

♪マーク等をつけても,

  日本の~♪

をつけても同じ判断です。



この場合,同一性がある部分

 日本の

については,創作性はありません。

誰もがありふれた表現を用いたに過ぎないからです。



一般に,創作性が認められるためには,「言葉の長さ」が必要ですが,

長さがあっても,直ぐに著作権侵害とはなりません。例えば,

  彼女が好きだ!好きだ!好きだ!

という歌詞があり,これと同じことを,twitterに書き込んだ場合,

同一性はあります。



しかし,これらは愛情を示す表現としては,ありふれた表現であり,

3つ連呼されてても,創作性があるとは判断されないでしょう。



更に, 長く,

彼女が好きだ!好きだ!好きだ!

愛している!愛している!愛している!

の場合でも同じでしょう。

ありふれた表現が連呼,つながっていても,創作性があると判断するのは困難です。





著作物性判断が難しい理由の一つに,

最終的に裁判所が創作性を判断する

という点にあります。



権利者の側としては,

 創作性がある!

と判断しても,ありふれた表現であり,創作性がない,

つまり,著作権侵害とならない

ということにもなりますし,



逆に,

 ありふれた表現だと考えても,創作性があると判断される可能性もあるのです。



つまり,歌詞と同じ言葉を書いたからといって,

即座に著作権侵害

とはいえないのです。



4 権利者としての振る舞い

しかし,前記の発言は,権利者側としての立場からは,
十分に理解できます。



著作権侵害か否か,つまり,

同一性ある部分について

創作性があるか否かの判断は,

最終的には

裁判所

が決めることです。





仮に,使用料の請求が来ても,その判断が絶対正しいということにはなりません。

著作物性がないと考えるのならば,とことん争えばいいのです。




ですが,

ここまでは著作権侵害とはならないとか,

少しだったら大丈夫とは,

具体的に検討しなければ分からないですし,

そのような譲歩をわざわざいえば,権利者側として,

権利は守れません。



そのため,強気に出る発言は,かなり考えられることですし,

無断転用は許さないという強い態度に出ることで,



結果的に権利者の保護を図ることになるのです。





最終的には,裁判所が決めることですが,

権利主張を強くし,弁護士による通知までも辞さないという強気の態度は,

ここは,やめておこう

という抑止力になります。

自分から,若干弱いがとは言いません。



権利擁護のために強きの態度,強気の権利主張をすることで,

ここは止めておこう

ということになれば,結果的に権利保護の強化につながります。



一見著作権侵害が認められそうでなくても

強気に出るのです。そして,出るべきです。




そのような趣旨から考えれば,前記の発言は,権利者側としては,

当然の発言で間違いはない

という理解を私としてはしました。


Last updated 2010.03.03 15:02:14


H22.6.21現在のコメント

どのような問題でも

公な発言は極端で,無難なものとなりがちです。

どちらの側に立った発言で,
その発言の意図,含む内容を
法律的な面から考えてみました。