2010年6月25日金曜日

法律の解釈…まずは,条文

法律の解釈…まずは,条文
[ 弁護士の仕事 ]


Last updated 2010.05.28 16:20:21
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201005280000/改訂(H22.6.25改訂)




法律の解釈は,まずは,条文解釈が重要です。

条文の言葉が,どのような範囲までいえるか,

条文の言葉に,最も合致するというのが,

正しい解釈

とされるのが,基本です。



先に書いた

平成20年度 民事系第2問,設問4

の回答(ヒント)です。



民事訴訟法224条3項の「真実と認めることができる」

という条文の解釈について,

代表的な,

転換説,軽減説,心証説,擬制説

説の内,どの説が,最も条文の文言に合致するか,

解釈としては,まず,そこが問われなければなりません。



擬制説が提唱する,

擬制は,「みなす」とされるのが普通です。

他の条文を挙げて,擬制となっている条文を挙げていって,

この条文はなっていない

というのが,極めて痛烈な批判となります。



転換説が提唱する,立証責任の転換は,条文上は,法律上の推定という形であらわれます。

「~と推定する」等特有の言葉ではない

として,他の条文を挙げることが,極めて痛烈な批判となります。



ちなみに,この転換説に対して,法律要件分類説の立場から,主要事実のみに主張立証責任を論じ,批判する論証が,かなり見受けられます。


しかし,元々,転換説の提唱者は,法律要件分類説に立っておらず,間接事実についても主張立証責任を認める立場が多いと思われますので,この批判は,下手に書くと,学説が分かっていないとされる危険性があります。



軽減説は,伊藤眞教授が提唱した優越的蓋然性説を前提にした説と考えられます。転換説より,更に根底から通説・判例に疑問を投げかけた説です。実は,学問的には極めて高度な説です。


医療過誤事件の有名なルンバール事件で脚光を浴びました。



伊藤眞ほか「座談会・民事訴訟における証明度」判タ1086.4

で特集されるほど,話題になった学説です(この座談会は,とても興味深いものです。超一流の学者,実務家が,喧々諤々とした論議をしています)。

中身を批判するのであれば,ルンバール事件を基に,軽く批判をしておくに留めるのが良いと考えられます。
(司法試験の答案如きで批判できません)



軽減説は,元々の事実認定の程度という大前提が違うので,その大前提と異なる立場をとることを明確にすることが必要となります。


この大前提を基本から書けることが,基礎力となります。
(逆からは軽減説とは異なる通説・判例の大前提を書くことになる)





司法試験レベル(仮に能力があっても枚数,労力等)で,
軽減説を書くのはかなり大変です。



恐らく,トップレベルの人は,転換説(法律要件分類説を前提としない),軽減説(嘘を書いたらダメです)で書くかと思いますが,

受験戦略的には,心証説で書くのがよいと思います。



心証説は,実は,条文の文言には,最もマッチします。



これが実は,心証説の最大の根拠となります。

心証説を批判するには,

自分の条文の不都合性について,どのように説明するかについて必ず論及しなければなりません。



逆に,心証説は,この条文のマッチ性について,堂々と述べればいいのです。



心証説であれば,次の設問が,立証責任を余り気にすることなく,しかし,立証責任が本質的に配慮しているはずの心証(法律が要件を定めたのは,心証についても配慮しているはずだ等)に絡めながら書けばいいので,楽です。
(どちらかというと心証説は,主観的立証責任が働く場合に親和的ですが,客観的立証責任にも関係すると思われます。また,次の設問について,間接事実と捉えれば一般的な法律要件分類説の立場からは客観的立証責任が働かない,関係が無いことになりますから,より心証説に親和的ともいえます)



転換説は,次の設問が,実は,かなり大変です。

よくあるのが,転換説を取りながら次の設問の事実を間接事実だから,立証責任を考えないと逃げるものです。ここを逃げたら,転換説の意味がなくなります。間接事実についても立証責任を考え,転換説そのもので処理すべきです。
(だから止めた方がいいといっている)



恐らく,

この問題の出題者は,転換説を前提に書いて欲しい

という願いがあったのでしょうが,
(次の設問は,そうでないと余り面白くありません)



私ならば,心証説で書きますね。
そもそも,条文の話しでスペース的には一杯一杯と思います。



いずれについても,

どうしても考えなければならない

この条文の文言の違い

について書いていない参考答案が多いです。


なにやら訳の分からない実質論で終わっているものが多いのです。
(しかも間違い?というもの)


この問題は,実によく考えられた極めて良問です。





実は,条文の文言と説明をしっかり書いておけば,

かなり良い点がついたと思われます。



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H22.6.25現在のコメント

http://utsuboiwa.blogspot.com/2010/06/blog-post_5189.html
の続きです。

司法試験でも,一番重要なのは,条文です。


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