2010年6月18日金曜日

裁判所の解釈と行政解釈・・・行政が間違うこともある。
[弁護士の仕事]    

Last updated  2010.02.08 11:53:52
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法解釈が,裁判所が取るものと,行政が取るものとが異なる場合がある。

 

行政は,法律に基づき一定の解釈を表明する場合がある。

その際に,具体例を挙げて,こういう場合は,抵触するしないという形でWebサイト等に記載する場合もある。

 

しかし,後に裁判になったときに,行政解釈は誤りであるとされる場合も少なくはない。

法解釈は,裁判所,最終的には最高裁判所が担うことになるからである。

 

行政解釈がある,これに従ったというのは,裁判所に判断させる際に,有力な資料となるが,これが絶対ではない。

知財事件でもあったが,有力な教科書,注釈書,行政解釈で,固まっていたとされる解釈とは異なる解釈を取ることは稀ではない。

 

そして,行政解釈が誤りとされた場合,これに従っただけというだけでは民事上・刑事上の責任を免れない。

あくまで,行政解釈は,一定の解釈を示したに過ぎないからである。

法律を知らなかった,という意味の法律の不知が,責任を免れる理由にならないものと同じである。

 

政治資金規正法上を問題とするもので,

総務省のQ&A(http://www.soumu.go.jp/main_content/000037209.pdf)

を聲高にするのがネットでも散見する。

 

政治団体の事務職員が物品を立替払いをした場合の支出時期の記載,相手方の記載について回答されている(番号66,67)。

 

内容は,次のとおりである。

 

66  政治団体の事務職員に物品を購入する目的で資
金前渡しを行い、その後、事務職員が物品を購入
した場合は、支出の年月日及び支出を受けた者は
どのように記載することになるのか。

 政治団体の事務職員に特定の物品を購入する目的で資金前渡しを行い、
その後、事務職員が当該物品を購入した場合は、この資金前渡しは、政治
団体内部の事務処理として、政治団体の事務職員に渡したものであると考
えられます。
 したがって、支出を受けた者は、事務職員ではなく、物品を購入した相
手方が記載され、また支出の年月日は、物品購入時点が記載されることに
なります。

 

67  政治団体の事務職員が立替払いで物品を購入
し、その後、政治団体から物品購入相当分の精算
を受けた場合は、支出の年月日及び支出を受けた
者はどのように記載することになるのか。

 

 政治団体の事務職員が立替払いで特定の物品を購入し、その後、政治団
体から物品購入相当分の精算を受けた場合は、この精算は、政治団体内部
の事務処理として、政治団体の事務職員に渡したものであると考えられま
す。
 したがって、支出を受けた者は、事務職員ではなく、物品を購入した相
手方が記載され、また支出の年月日は、物品購入時点が記載されることに
なります。
 



 
記載を素直にみれば, 

事務職員が,何らの了承を得ることなく,不動産等高額物品を購入することが想定されているとは到底思えず,立替払いの勘定は,一切記載しないでもいいとは,到底読めない。

 

そもそも条文の解釈について最も拠り所としなければならないのは,

条文の文言である。

 

 

法律の条文には,

収支報告書には,

全ての収入(同法12条1項)

全ての支出(同法12条2項)

の記載が要求され,

収入については,同法1条ヌには,

ヌ その他の収入(寄附並びにイ、ホ及びリの収入以外の収入で一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が10万円以上のものに限る。)については、その基因となつた事実並びにその金額及び年月日

と記載され,

支出については,同法2条に,

すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(1件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が5万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日

と記載されている。

 

どう見ても,

前記の回答も,政治団体の内部処理と認められるものについての処理,収入については,10万円未満(そもそも収入については記載されていない),支出については5万円未満のことを言っているということであろう。



 

この総務省回答が,決定的とは到底思えない。

総務省回答は,全て立替金について記載しなくてもよいとは読めない。

収入について,記載しなくてよいとは書いていない。 

更にいえば,総務省回答は,立替金であるから,貸付金については言及していない。

 

資料が決定的!と言い切るのはかなり無理があると思う。

 

立替ならば,幾らでも,内部処理しておけばよいというのであれば,

例えば, 

現金10億立替・・・記載しなくてよい

何十年後立替金返済・・・記載しなくてよい

ということになるが・・・。 

 

 
有利な証拠!と言われたものを鵜呑みにするのは危険である。

それは,例え依頼者により提供されたものでも,裁判に耐えうるか,法律の専門家の目で予想される裁判所の判断に耐えうるものか,ということをよく考えないと,失敗することになる。

 

行政解釈も,長年の判例が集積された結果をまとめて,ある特定の事項についてズバッと書いてあるものと,単に見解を一般的に書いたものとは,重さが異なる。

 

裁判所の解釈と行政解釈とが異なる場合も少なくない。

 

過払金の事案でも,細かい解釈は,最高裁等判例の積み重ねによるもので,いわゆるグレーゾーンにかかる金利をサラ金がはき出す事態になっているが,先ほどの見解は,時々サラ金が主張する,そのときは,返さなければならないとは思っていなかったというものとよく似ている。

 

行政が間違う(前記の場合は間違いはないと言われそうであるが)こともよくある。

 Last updated  2010.02.08 11:53:52