2010年6月19日土曜日

不正競争防止法だけでは「秘密」は守れない:かかりつけ弁護士の勧め

不正競争防止法だけでは「秘密」は守れない:かかりつけ弁護士の勧め
[かかりつけ弁護士]

Last updated  2010.02.24 09:25:45
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201002230002/改訂(H22.6.19改訂)


不正競争防止法に,

 営業秘密

に関する規定があります(不正競争防止法2条1項4号~9号)。

4.窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
 
5.その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
 
6.その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
 
7.営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
 
8.その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又 は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したこと を知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
 
9.その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
 

「営業秘密」には定義があり,

 「営業秘密」とは、
秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの
(不正競争防止法2条6項)

となります。

この定義に当てはまらないものは,保護されません。
 

法律の要件を,分けてみます。

 1 秘密管理性

 2 有用性

 3 非公然性

の要件を充たしたもののみが,不正競争防止法で守られるものとなります。

 


 
使えるな!と思われますか?

 

しかし,これまでかなりの相談を受けましたが,

これは,「営業秘密」!

と断定できたものは,ほとんどありません。

 

先の3つの要件の内,

大体わざわざ相談されるのですから,

 有用性がある情報であることは,大体そうです(有用性)

 また,誰もが知っている情報のこともわざわざ相談には行きませんから,これも大体OKです(非公然性)

 

  問題は,1の「秘密管理性」

です。

 これは詳しくは,判例が,その要件を述べていますが,
かなり認められるには大変です。

具体的に述べます。


とても大雑把ですが,

  単に秘密とされているだけでは,駄目です。

  情報が取り扱う者が限定されていなければ,駄目です。

  従業員の誰もがその情報に接触し得るようでは,駄目です。

  サーバーに情報がある場合,パスワード等で管理していない場合は,駄目です。

  または,誰もが知っているパスワードでアクセスが可能であれば,駄目です。

  ○秘の判子が押してあるだけでは,駄目です。

  従業員に,これは秘密の情報だぞ!と言っているだけでは,駄目です。

・・・・・

 例えば,顧客名簿

 業種によっては,これを持って行かれて,別に同じことがされれば,ということを考えれば,

         命

ともいえる重要なものです。

 相談のパターンとしては,

  元従業員に,コピー取られるなど,持っていかれた!

と来られる

というのが多いでしょうか。


こういう場合, 

まずは,私どもが聞くのは,不正競争の話しではありません。

 

元従業員との雇用契約の内容,

就業規則,

情報についての内部規定



会社の中での契約・規約が整備されているか,その中身です。

 

そもそも何もない場合,
中身も足りない場合,

になって
不正競争防止法の要件を聞くことになります。

 

しかし,

大体,例えば顧客名簿などは,営業のために有効に使ってこそ意味があるのですから,

厳重に,接触する者を限定したり,物理的に管理したりするわけがありません。

不正競争防止法の秘密情報は,
接触できる人が多ければ多いほど秘密管理性がなくなっていきます。
 

前置きが長くなりましたが,

何が言いたいかというと,こういう会社の内部の規定を整備するのは,

普段から

顧問弁護士が必要

少なくとも弁護士に気軽に相談できる環境が必要です。



 

顧問弁護士は,困ったときに,いつも相談できるようにしておく,

保険みたいなもの

確かに,そういう側面はあります。

 

しかし,普段から,紛争が起きないように,会社の内部規定を

法律の規定に従うように,また,

法律が整備されていないならば,その趣旨に沿うようにしておくことが必要となります。

 

これを予防法学といいますが,

何か起こったときに,法律だけというのは不十分な場合が多いといえます。

保険というよりは,よく顔見知りで普段をよく知っている

かかりつけ医師

と同じようともいえましょう。
 

秘密保持規定が盛り込まれていることも,よくあります。

しかし,どのような方が雛形を作ったのか分かりませんが,

不正競争の要件に沿っていなかったり,

実際には役に立たないのではないかと思う中身や,

知財のことには何ら気を配っていないものも,よく見ます。

 

 

特に,知財やネット上の新しい問題に

対応できていないものを,よく見ます。

 

一度契約の見直しのために

弁護士を使ってみるという気軽な態度も

必要になっているといえます。

Last updated  2010.02.24 09:25:45

H22.6.19現在のコメント
顧問弁護士というと敷居が高い感じがしますが,
気軽に相談できる弁護士を持つこと
は重要です。

かかりつけ弁護士

という気楽な名前は,どうでしょうか。