2010年6月21日月曜日

訴訟戦略:証拠を考える
[訴訟戦略]
Last updated  2010.03.04 16:43:41
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003040000/改訂(H22.6.21改訂)


「はじめに」
 
証拠の収集・吟味は,

裁判の行方,交渉の有利不利に重要な影響を与えます。

シリーズで色々書きたいと思います。

「訴訟戦略」の一部です。


ここでは,証拠の価値について,

誰が書いたものか
を中心に,
どのような証拠を提出すれば,有利かを書きたいと思います。

なお,ここで扱うのは,例えば直接的な侵害対象(例えば名誉毀損を扱う場合に書かれたそのもの)としてブログを出すということではなく,
ある事実ないし意見を立証するために必要な証拠です。

侵害対象として,当該ブログを出すというのは当たり前です。



「目次」

1 誰が書いたかが重要だ(part 1 総論)

2 事実と評価(part 1 総論)

3 元ネタが一番大事(part 1 総論)

4 出すべきorすべきでない証拠・・・新聞(part 2 各論)

5 出すべきorすべきでない証拠・・・雑誌(part 2 各論)

6 出すべきorすべきでない証拠・・・ネット(part 2 各論)

7 ネット時代の証拠収集・吟味について(part 2 各論)

 

「本論」 
1 誰が書いたかが重要だ

証拠を提出する場合,誰が書いたかは重要です。
専門家が正式に書いたものと,
素人が適当にブログにUPしたものとでは,
証拠としての価値が違います。

一例を挙げてみます。

   
藤原正彦著「祖国とは国語」(新潮社,H18.1.1発行)
の著者は,


 東大卒,数学者,アメリカ滞在もし英語にも長けている

経歴の持ち主です。

 その著者の,この本,一番最初に出てくる項目は,
「国語教育絶対論」
です。

 数学,英語ではなく,なぜ国語か
ということを,びっしり書かれている良本です。

内容は勿論ですが,
このような人が,「国語」の重要性を説くのは,極めて説得力があります。


誰が書いたかというのは,証拠の価値に大変影響します。




2 事実と評価

事実と評価(意見)をここでも分けて考えます。

本来,事実は,誰が書いても同じなので,どのような証拠を出しても同じではないかということは抽象的には正しいのです。


しかし,証拠としての価値は,違います。

  
明らかに,誰が書いたかで,何を提出すべき最良の証拠というものがあります。

それは,同じ事実でも,何に裏付けられているかが重要だからです。

 
権威有る人,権威有る出版社によって書かれたもの,
教科書等になれば,
   その前提とする事実さえ正しい
   事実は一般的に承認されたものという
ことになります。


評価(意見)については,更に誰が書いたかは,重要です。

  単なる素人の意見と 
  専門家との意見とでは,

重みが異なります。



 専門家の意見が間違いだ!
という場合は,かなり大変ということは理解していただけるでしょう。




3 元ネタが一番大事
 証拠としては,元ネタがもっとも価値があります。
 引用されている場合は,原則的に,元ネタを提出して,付随的にそれの引用を出すのがベストです。


  
元ネタが,外国語文献の場合もありますが,ここまで提出が必要か否かも含めて,立証しようとする事実の重要性と,引用先の信用性とを,比べながら吟味する必要があります。

元ネタを収集し吟味することは意外と大変です。
 
しかし,ネットが発達し,資料収集自体は,素人でも接近し易くなったといえます。

お客様とのも打ち合わせで,証拠の収集・吟味を話し合うことも,多くなりました。

 

法律的分野では,

   元ネタの最高裁判例   
          最高裁判例解説(これが最も偉い) 

   判例時報,判例タイムズの記載

   下級審判例  を出したり, 

   我妻先生にも,こう書いてある!
(故人ですが,日本における民法の最高権威者といってよいでしょう)

と書いて,権威付けをしていきます。


他の事実論についても同じで,

最も権威ある元ネタから始まることが原則論です。


知財訴訟では,

言葉の元々の意味,通常の意味が問題となることも多いですが,
 この場合には,

    広辞苑

を出す場合も多いです。


 

(2)(part 2 各論)へ続きます。


Last updated  2010.03.04 16:43:41


「証拠を考える」(1)の続きです。

(part 2 各論)として,まとめました。

 



「本論」

1 誰が書いたかが重要だ(part 1 総論)

2 事実と評価(part 1 総論)

3 元ネタが一番大事(part 1 総論)

4 提出すべきorすべきでない証拠・・・新聞(part 2 各論)

新聞,特に4大新聞は,通常は,その記載が信用される証拠です。
朝日新聞でも同じです。

反面,政党機関紙,宗教機関紙等は,証拠価値はありません。
同じことを立証したいのならば,他を探すべきです。

特に政治団体系,宗教関係は,出版社自体を,よく調べたらということもありますので,注意が必要です。



5 出すべきor出すべきでない証拠・・・雑誌(part 2 各論)

雑誌については,色々あります。
  
専門分野での事実や意見を証拠として提出する場合は,一般的にはマイナーでも,その分野では評価されている雑誌がある場合もあります。


法律分野では,判例時報や判例タイムズが偉いです。


何が偉いのかは,詳しい人(お客様ということも多い)に聞いて取捨選択をする必要があります。

 

弁護士も他分野では素人ですから,何が権威があるか何が評価されているかは分からない場合が多いのです。



6 出すべきorすべきでない証拠・・・ネット(part 2 各論)


証拠としてネット上のものを出すことも多くなりました。


 

公的機関のWebサイト

公的機関のWebサイトは,極めて信用される証拠となります。
まずは,公的機関に書かれているかを探ってみるのが,ネット上では重要です。
 
例え間違っていても信用されやすい証拠といえます。


 

個人的なWebサイト

これに比べて,個人的なWebサイトは,注意が必要です。
その分野の一人者的な企業が出しているWebサイトは,使えるものも多いです。
 
本当に個人的なものは,元ネタを提出するに留めるか,元ネタから,その意見的な部分を使いたいのならば,元ネタから意見を取り出せるのかを,慎重に吟味する必要があります。

勿論,付随的な参考的な立証であれば,これで足りる場合もあります。



 

ブログ

ブログは,ほとんどは,そのままでは出す必要がありません。
これも,元ネタを出せば足ります。
  
ブログの意見を使いたい場合は,
元ネタを基に同じような主張を準備書面ですれば,足りるのが普通です。



 

twitter 
twitterは,ブログに比べて字数も少なく情報量も限定されていますので,そのまま提出さなければならないのは稀です。

むしろ出すことで,そんな証拠しかないのかと思われる可能性があります。

 

 

ウィキペディア
各言語ありますが,これ自体には,通常価値がありません。

ある大学の非常勤講師をしていたとき,学生がレポートを丸ごと引き写してきたことがありました。
 
基本は価値はありませんが,元ネタを探すには,時に役立つことがあります。



 

2ch
色々言われていますが,通常,ある新聞記事等を基に,色々議論がされ,
自分の意見の前提としていること,根拠等については,ソースがつけることが要求されるのが暗黙のルールです。
 

思わぬソースが見つかることもあるので,侮れないところです。



7 ネット時代の証拠収集・吟味について(part 2 各論)

ネットで証拠収集については,大変簡単になったと思います。
 

証拠を探し出す能力が,裁判でも勝敗を決める時代になったと考えます。

お客様が専門分野の方ならば,一緒に証拠収集とその吟味をすることが,より良い結果を生むと思います。
 

実際,検索能力は,専門性・知識の有無によって大分異なります。
 
     俺に任せておけ!
 
ということが,ここでも通じなくなっていると素直に思います。

Last updated  2010.03.09 15:50:43
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/diary/201003040001/改訂(H22.6.21改訂)




H22.6.21現在のコメント
楽天ブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/utuboiwa/
では,字数制限がありましたので,
長く書いたものが複数に分かれていました。

これも,一つにまとめてみました。

証拠がどのようなものがあるか
いつ出すか,
というのは,重要な訴訟戦略となります。

決定的な証拠を握っていることは,交渉においても役に立ちます。