2010年7月15日木曜日

不競法:不正取得・使用行為(不競法2条1項4号)の認定「事実認定」,営業秘密管理指針,技術流出防止指針

不競法:不正取得・使用行為(不競法2条1項4号)の認定「事実認定」,営業秘密管理指針,技術流出防止指針

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知財高裁平成22年4月27日判決(平成21年(ネ)第10080号不正競争行為差止等請求控訴事件)

「原告は,被告Y1らが,本件所有者情報の不正取得をしたと主張するものの,行為者が誰であるか,何時取得したか,どのような態様で取得したかについて,具体的な内容を一切明らかにすることなく,①被告Y1らが原告に在籍しており,本件所有者情報を取得できる立場にあったこと,その後被告Y1らが被告会社の役員,従業員となったこと,②被告会社が設立直後から媒介契約の締結実績を上げたこと,被告会社が媒介契約を成立させた中古マンションと原告の保有する本件所有者情報の対象となる中古マンションとほとんど一致すること,③被告らによる不正取得の証拠となり得べき被告会社が使用していた所有者情報に関するデータを被告会社又は被告Y1が本訴提起後に破棄したこと等の間接事実から,被告らによる本件所有者情報の不正取得,不正使用の事実が推認できると主張する。
当裁判所は,上記の間接事実によっては,被告Y1らが,本件所有者情報の不正取得をした等の事実を推認することはできないと判断する。以下,補足して,その理由を述べる。」

「イ被告会社による本件所有者情報の不正使用行為の有無」
「(ア) 被告会社の契約締結実績について
「しかし,媒介契約の締結件数は,被告会社の営業期間,営業規模,営業活動の内容,市場の動向等様々な要素に影響されるものと考えられ,直ちにその契約締結件数が不正使用の事実に結びつくものとは認められない。」

「仮に,原告社内において本件所有者情報へ不正アクセスすることによる取得行為があったとするならば,平成19年6月末日までの時期に契約締結実績が現れると考えるのが自然である。しかし,甲21によれば,前記のとおり,売買媒介契約の締結件数が増加しているのは,平成20年に入ってからであり,それまでの間に,締結件数が増加している事実はみられない。」

「したがって,「一般媒介契約」よりも「専任媒介契約」の方が,さらに「専任媒介契約」より「専属媒介契約」(甲21の「専属」とは専属専任媒介契約のことと解される。)の方が,より依頼者との信頼関係が深いと考えられるが,甲21の契約の中には専任媒介契約又は専属専任媒介契約が多い。この事実からみれば,被告会社が平成18年12月の設立後から始めた営業活動が次第に依頼者の信頼を得て,平成20年に入って多くの媒介契約締結をもたらしたものとみることができ,原告から不正に取得した情報によって設立直後から依頼者を急激に獲得していった事実は窺えない。」

「以上によれば,甲21の媒介契約の締結時期が,被告会社による本件所有者情報の不正使用行為を裏付けるものとはいえない。」

「(イ) 契約対象物件の重複について」
「しかし,前記(ア)のとおり,甲21の媒介契約の多くは,被告会社の設立後1年以上を経過した後に締結されたものであって,その間に被告会社において中古マンションの所有者についての新たな情報を取得することは可能であること,中古マンションの所有者に関する資料自体が,容易に入手し難いものであればともかく,登記簿や電話帳等の資料や名簿業者からの資料等により一定程度入手可能であること,原告と被告会社では業種が競合し,甲21と甲22を比較すれば営業活動の対象地域も共通しており,独自に営業活動を行ったとしても自ずと対象物件が合致する可能性が高いことを考慮すると,被告会社の契約対象物件が本件所有者情報と高率で一致するからといって,被告会社において本件所有者情報を不正使用したことを認める根拠となるものとはいえない。」
「他に,被告会社による本件所有者情報の不正使用行為を認めることのできる証拠はない。」

「以上によれば,被告会社による本件所有者情報の不正使用行為は認められず,その事実を根拠として,被告Y1らによる本件所有者情報の不正取得行為を認めることもできない。」

「ウ被告らによるデータの廃棄行為について」
「確かに,被告らにおいて,亡Tが取得した情報を基にして作成したとするその顧客データが本件所有者情報と異なるというのであれば,少なくともその一部を証拠として提出し,情報の内容や情報の整理,表示の形式等により,それが本件所有者情報と異なることを立証することもできると考えられるにもかかわらず,これを廃棄したとすることは,不正取得行為があったのではないかとの不審の念を抱かせる行動ともみられる。
しかし,それはあくまでも,原告による立証に対する被告らの反証の手段を放棄したというにとどまるものであって,それによって,原告の立証すべき事項が裏付けられるという性質のものではない。」


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縮小版 なし

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H22.7.15現在のコメント

H22.7.1改正不正競争防止法が施行されました。

現在でも規定がありますが,いかに不正取得・使用行為を立証することが難しいか分かる判例です。

実は最も難しいのは
秘密情報
の方です。

参考内部リンク↓

不正競争防止法だけでは「秘密」は守れない:かかりつけ弁護士の勧め


不競法上の営業秘密に関しては,

経済産業省Webサイト
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html#himitu

で,

「営業秘密管理指針」

が提供されています。

最強の本で,これ以上の解説本はありません。
これみて下さいで終わり位の必須冊子です。



本体(PDF形式:894KB)
(第1章:概説、第2章:不正競争防止法の営業秘密の保護、第3章:営業秘密を保護するための管理の在り方)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/hontai0409.pdf

参考資料1: 営業秘密管理チェックシート(PDF形式:54.6KB))
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/sankou1.pdf

参考資料2: 各種契約書の参考例(PDF形式:112KB))
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/sankou2.pdf

参考資料3: 我が国における情報管理に関する各種ガイドライン等について(PDF形式:77.5KB))
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/sankou3.pdf

参考資料4: 営業秘密を適切に管理するための導入手順 ~はじめて営業秘密を管理する事業者のために~(PDF形式:693KB))
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/sankou4.pdf

パブリックコメント結果(PDF形式:51.3KB))
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/pabcome.pdf



ついでに


技術流出防止指針
  (本体(PDF形式:648KB))
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/030314guideline2.pdf

| (参考資料(PDF形式:48KB))

http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/030314jirei.pdf


こういう大きなPDFを読むには,iPadいいです。
参考内部リンク↓
iPad:WebサイトからGoodreaderへ

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