2010年7月2日金曜日

独禁法:不当廉売

独禁法:不当廉売


私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)は,

意外と相談の多い分野です。

今回は,

不当廉売

を書きます。


1.   公取ガイドライン

不当廉売に関しては,公取により
ガイドラインが出されています。

不当廉売に関する独占禁止法上の考え方

(http://www.jftc.go.jp/dk/futorenbai.html)


このガイドラインみればよい!
だけでは,ということで少し噛み砕いて,説明を加えます。



2.   法定不当廉売

不当廉売には,
法定のものと公取が定めたものがあります。



① 独占禁止法第2条第9項第3号
 正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
② 不公正な取引方法第6項
 法第2条第9項第3号に該当する行為のほか,不当に商品又は役務を低い対価で供給し,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。


法定不当廉売には,

課徴金が科せられる可能性

がありますので,その該当性は,重要です。



3.   法定不当廉売の要件

法定不当廉売の要件は,

①廉売の態様(価格・費用基準及び継続性),
②「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれ」,
③正当な理由

の3つです。




4.    ①廉売の態様(価格・費用基準及び継続性)

4.1.   価格・費用基準

4.1.1.   公取の考え方            

「供給に要する費用」とは,廉売行為者の「供給に要する費用」であり,業界一般の「供給に要する費用」又は現実に存在する特定の競争者の費用ではない。

価格・費用基準は,廉売行為者にとって明らかに経済合理性のない価格設定であるかを判断することができるものとすることが適切である。

価格設定についての経済合理性の有無は,廉売の対象となった商品(以下「廉売対象商品」という。)を供給することによって発生する費用と価格との比較により判断することが適当である。



 4.1.2.  総販売原価を著しく下回る価格であるかどうか(公取基準)

・可変的性質を持つ費用を下回る価格は,「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定される(他方,可変的性質を持つ費用以上の価格は「供給に要する費用を著しく下回る対価」ではないので,その価格での供給は,法定不当廉売に該当することはない。)。


・変動費(操業度に応じて総額において比例的に増減する原価をいう。)は,可変的性質を持つ費用となる。


・明確に変動費であると認められなくても,費用の性格上,廉売対象商品の供給量の変化に応じてある程度増減するとみられる費用は,特段の事情(注4)がない限り,可変的性質を持つ費用と推定される。

(注4) 継続的な廉売ではあるものの,廉売期間が比較的短く,期間中の廉売対象商品の供給によってはその費用が増減し得ないといった事情は,特段の事情に該当する事由である。




・費用の性格からそのように推定するまでは至らないものであっても,個別の事案において,廉売期間中,供給量の変化に応じて増減している費用は,原則として,可変的性質を持つ費用として取り扱われる。



・製造原価は,…その性格上,特段の事情(注5)がない限り,可変的性質を持つ費用と推定される。製造原価のうち製造直接費(直接材料費,直接労務費及び直接経費)は,可変的性質を持つ費用となる。

(注5) 特段の事情に該当する事由としては,製造原価の中に,明らかに当該製品の供給と関連性のない費用項目があるといった事情(例えば,当該製品を製造する工場敷地内にある福利厚生施設(テニスコート,プール等)の減価償却費が製造原価に含まれている場合)が挙げられる。




・仕入原価は,…,その性格上,特段の事情がない限り,可変的性質を持つ費用と推定される。仕入原価のうち仕入価格は,可変的性質を持つ費用となる。



・営業費は,販売費及び一般管理費から構成されるところ,…
倉庫費,運送費及び掛売販売集金費は…その性格上,可変的性質を持つ費用となる。


・廉売対象商品の注文の獲得に要する費用(例えば,広告費,市場調査費,接待費)は,特段の事情がない限り,可変的性質を持つ費用には該当しないと推定される。特段の事情に該当する事由としては,廉売対象商品の供給を開始又は継続するために不可避的に発生した費用であるといった事情が挙げられる。

・本社組織である人事部や経理部における人件費,交通費及び通信費は,…可変的性質を持つ費用とはならない。


4.2.  継続性


・不当廉売となるのは,一般的には,廉売がある程度「継続して」行われる場合である。

・「継続して」とは,相当期間にわたって繰り返して廉売を行い,又は廉売を行っている事業者の営業方針等から客観的にそれが予測されることであるが,毎日継続して行われることを必ずしも要しない。



5.  ②「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれ」


・「他の事業者」とは,通常の場合,廉売対象商品について当該廉売を行っている者と競争関係にある者を指すが,廉売の態様によっては,競争関係にない者が含まれる場合もあり得る。

・「事業活動を困難にさせるおそれがある」とは,現に事業活動が困難になることは必要なく,諸般の状況からそのような結果が招来される具体的な可能性が認められる場合を含む趣旨である。このような可能性の有無は,


他の事業者の実際の状況のほか,
廉売行為者の事業の規模及び態様,
廉売対象商品の数量,
廉売期間,
広告宣伝の状況,
廉売対象商品の特性,
廉売行為者の意図・目的


等を総合的に考慮して,個別具体的に判断される。


 
6.  ③ 正当な理由

・前記①及び②の要件に当たるものであっても,廉売を正当化する特段の事情があれば,公正な競争を阻害するおそれがあるものとはいえず,不当廉売とはならない。

ex.   
・想定しがたい原材料価格の高騰により結果として供給に要する費用を著しく下回ることとなったとき

・生鮮食料品のようにその品質が急速に低下するおそれがあるものや季節商品のようにその販売の最盛期を過ぎたものについて,見切り販売をする必要がある場合

・きず物,はんぱ物その他の瑕疵(かし)のある商品について相応の低い価格を設定する場合


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H22.7.2現在のコメント

ガイドラインの結論部分のみを,まとめました。

困ったときには,結論だけが欲しいものです。


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