2010年7月20日火曜日

最高裁判例:取締役の善管注意義務

最高裁判例:取締役の善管注意義務

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最一小平成22年7月15日判決(平成21(受)183,損害賠償請求事件)



「本件取引は,AをBに合併して不動産賃貸管理等の事業を担わせるという参加人のグループの事業再編計画の一環として,Aを参加人の完全子会社とする目的で行われたものであるところ,このような事業再編計画の策定は,完全子会社とすることのメリットの評価を含め,将来予測にわたる経営上の専門的判断にゆだねられていると解される。そして,この場合における株式取得の方法や価格についても,取締役において,株式の評価額のほか,取得の必要性,参加人の財務上の負担,株式の取得を円滑に進める必要性の程度等をも総合考慮して決定することができ,その決定の過程,内容に著しく不合理な点がない限り,取締役としての善管注意義務に違反するものではないと解すべきである。」

「以上の見地からすると,参加人がAの株式を任意の合意に基づいて買い取ることは,円滑に株式取得を進める方法として合理性があるというべきであるし,その買取価格についても,Aの設立から5年が経過しているにすぎないことからすれば,払込金額である5万円を基準とすることには,一般的にみて相応の合理性がないわけではなく,参加人以外のAの株主には参加人が事業の遂行上重要であると考えていた加盟店等が含まれており,買取りを円満に進めてそれらの加盟店等との友好関係を維持することが今後における参加人及びその傘下のグループ企業各社の事業遂行のために有益であったことや,非上場株式であるAの株式の評価額には相当の幅があり,事業再編の効果によるAの企業価値の増加も期待できたことからすれば,株式交換に備えて算定されたAの株式の評価額や実際の交換比率が前記のようなも
のであったとしても,買取価格を1株当たり5万円と決定したことが著しく不合理であるとはいい難い。そして,本件決定に至る過程においては,参加人及びその傘下のグループ企業各社の全般的な経営方針等を協議する機関である経営会議において検討され,弁護士の意見も聴取されるなどの手続が履践されているのであって,その決定過程にも,何ら不合理な点は見当たらない。」

「以上によれば,本件決定についての上告人らの判断は,参加人の取締役の判断として著しく不合理なものということはできないから,上告人らが,参加人の取締役としての善管注意義務に違反したということはできない。」

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縮小版

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「将来予測にわたる経営上の専門的判断にゆだねられている」と解される「株式取得の方法や価格」についても,
「取締役において,株式の評価額のほか,取得の必要性,参加人の財務上の負担,株式の取得を円滑に進める必要性の程度等をも総合考慮して決定することができ,その決定の過程,内容に著しく不合理な点がない限り,取締役としての善管注意義務に違反するものではないと解すべきである。」(最一小平成22年7月15日判決(平成21(受)183,損害賠償請求事件)

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h22.7.20現在のコメント

最高裁はまとめておいたほうが良いと思いました。

取締役の裁量に大幅なものを認めたものです。

著しく不合理基準は,他にも使われますが,無限の裁量ではありません。
どのような点に注意して行動すべきかの指針としての意味があります。

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