2010年7月23日金曜日

特許:一出願一特許権「解釈」

特許:一出願一特許権「解釈」

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知財高裁平成22年7月21日判決(平成22年(行ケ)第10086号審決取消請求事件)

(2) 特許法は,1つの特許出願に対し,1つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて1つの特許が付与され,1つの特許権が発生するという基本構造を前提としており,請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。このような構造に基づき,複数の請求項に係る特許出願であっても,特許出願の分割をしない限り,当該特許出願の全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかなく,一部の請求項に係る特許出願について特許査定をし,他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというような可分的な取扱いは予定されていない。そして,このことは,特許法49条,51条の文言のほか,特許出願の分割という制度の存在自体に照らしても明らかである(最高裁平成19年(行ヒ)第318号同20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照)ということができる。


(3) しかも,以上に加えて,本件のこれまでの経緯についてみてみると,以下のとおりである。
特許庁は,原告に対する拒絶理由通知書(乙7)において,本件補正前の,すなわち平成18年5月29日付けの手続補正書により補正された請求項1に係る発明(本願発明とほぼ同じ)について,引用発明1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたものであり,当時の請求項2に係る発明について,引用発明1ないし3等に基づいて容易に発明をすることができたから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶理由通知を行うとともに,補正を示唆した。原告は,上記示唆に基づく補正を行う機会を与えられ,拒絶理由通知を受けた請求項1及び2について削除したり,分割出願したりする機会を与えられたにもかかわらず,本件補正において当該請求項1及び2について格別の補正をすることなく,請求項を11とする補正を行って,その結果,本願発明について拒絶理由通知とほぼ同一の理由により,審判請求不成立の審決を受けたものである。

(4) 以上のとおりの特許庁における審査の運用と本件の経緯とにかんがみれば,本件においては,前記1のとおり,請求項1に係る本願発明が特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである以上,特許庁がその余の請求項に係る発明について検討しなかったとしても,本件出願全体として拒絶を免れないものであったといわざるを得ないから,本件審決が,審判請求不成立の判断をした点に,結論に影響を及ぼすべき違法はない。

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・ 一出願一特許権

「特許法は,1つの特許出願に対し,1つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて1つの特許が付与され,1つの特許権が発生するという基本構造を前提としており,請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。このような構造に基づき,複数の請求項に係る特許出願であっても,特許出願の分割をしない限り,当該特許出願の全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかなく,一部の請求項に係る特許出願について特許査定をし,他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというような可分的な取扱いは予定されていない。そして,このことは,特許法49条,51条の文言のほか,特許出願の分割という制度の存在自体に照らしても明らかである(最高裁平成19年(行ヒ)第318号同20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照)ということができる。」(知財高裁平成22年7月21日判決(平成22年(行ケ)第10086号審決取消請求事件))

したがって,
請求項1に係る本願発明が特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである以上,特許庁がその余の請求項に係る発明について検討しなかったとしても,本件出願全体として拒絶を免れない。

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H22.7.23現在のコメント

知財高裁のパワーに負けないようにします。

あまり使う機会はないかもしれません。

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