2010年7月26日月曜日

商標:商標法3条1項6号該当性,商標の自他識別力「解釈,事実認定」

商標:商標法3条1項6号該当性,商標の自他識別力「解釈,事実認定」

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知財高裁平成22年1月27日判決(平成21年(行ケ)第10270号審決取消請求事件)

知財高裁第4部「滝澤コート」



「1 本願商標の商標法3条1項6号該当性
(1) 商標法3条1項6号の趣旨
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項1号ないし5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」

(2) 本願商標の構成
本願商標は,標準文字により,欧文字「BOUTIQUE」及び数字「9」を1文字分のスペースを介して横書きしてなるものである。このように,本願商標の,「BOUTIQUE」と「9」との間には,1文字分のスペースがあり,欧文字と数字という異なる種類の文字であるから,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。
本願商標のうち,「BOUTIQUE」(boutique)は,「店,小売店」等を意味するフランス語であり,我が国でも,「ブティック」が「(高級ブランドの)既製服の店」を意味する普通名詞として,辞書等に記載されている(乙2~9)。そして,「BOUTIQUE」,「ブティック」は,高級ブランドの既製服や小物等を販売する専門店の表示の一部として,日本全国で多数使用され,「BOUTIQUE(ブティック)」においては,既製服のみならず,香水,スカーフ,アクセサリー,バッグ,シューズ,靴下,ベルト,帽子,時計等の商品が販売されている(乙8,10~48,弁論の全趣旨)。
また,本願商標のうち,「9」は,数字であり,わずか1文字からなる。

(3) 商標法3条1項6号該当性
アこのように,本願商標は,高級ブランドの既製服の店を表す普通名詞として認識される「BOUTIQUE」の欧文字にありふれた数字「9」を併せて,その間に1文字分のスペースを空けて,標準文字で表記したものである。本願商標の指定商品は,前記第2の1(1)のとおりであり,その多くが「BOUTIQUE(ブティック)」において販売されている商品であるから,「BOUTIQUE」をその指定商品に使用したとしても,この部分から自他商品の識別標識としての称呼,観念が生じるとは認め難い。
他方,1文字の数字の「9」は,それのみでは,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」(商標法3条1項5号参照)といわざるを得ないものである。
そうすると,本願商標を「BOUTIQUE」,「ブティック」において販売されている商品に使用する場合に,自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえない。
イ以上のとおり,本願商標「BOUTIQUE 9」をその指定商品に使用する場合には,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであるから,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」として,商標法3条1項6号に該当する。

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縮小版

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・本願商標の商標法3条1項6号該当性
・・商標法3条1項6号の趣旨

「商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項1号ないし5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(知財高裁平成22年1月27日判決(平成21年(行ケ)第10270号審決取消請求事件)

・本願商標の構成

・商標法3条1項6号該当性

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H22.7.26現在のコメント

識別力に関する判断です。

事実認定が重要な判例です。

感覚的なものは,多くの審決例,判例に接して養うということしかないものと思います。

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