2010年7月27日火曜日

特許:文書提出命令の効果,民訴法224条3項の解釈「解釈」

特許:文書提出命令の効果,民訴法224条3項の解釈「解釈」

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知財高裁平成21年1月28日判決(平成20年(ネ)第10054号等特許権等侵害差止請求控訴事件)



被告のハ号物件の販売台数
原告は,平成16年5月以降の被告によるハ号物件の販売台数は少なくとも合計30台であると主張し,その立証等のため,平成19年10月22日,被告の製造,販売に係る製品について,平成16年5月以降の受注管理表,売上台帳,売上一覧表,請求一覧表又はこれらに相当する文書,若しくは電子ファイルのプリントアウト(以下「本件文書」という。)について,特許法105条1項により文書提出命令を申し立てた。原審裁判所は,その申立てを認め,平成19年10月29日付けで,被告に対し,上記申立てに係る各文書について,同年11月13日までに提示せよとの決定をした。

しかし,被告は,平成19年11月8日の原審第8回弁論準備手続期日において同年12月10日までに可能な範囲で提出すると述べ,更に平成19年12月19日の原審第9回弁論準備手続期日においても平成20年1月31日までに提出すると述べておきながら,結局本件文書を提出しなかった。
なお,被告は,当審においても,平成17年4月8日から平成19年7月31日までの作成に係るものと主張する営業日誌(乙68,74の1~16)及び売却済みのハ号物件3台に係るものと主張する請求書(乙76~78)の証拠申出をしたが,それら3台のみが販売台数であることを裏付けるためのその他の本件文書を提出しない。

そこで,真実擬制の可否について検討するに,本件文書である受注管理表,売上台帳,売上一覧表,請求一覧表又はこれらに相当する文書,若しくは電子ファイルのプリントアウトは,被告の日常業務の過程で作成される帳簿書類等であるから,それらの記載に関して,原告が具体的な主張をすることは著しく困難である。また,原告が,本件文書により立証すべき事実(被告によるハ号物件の販売台数)を他の証拠により立証することも著しく困難である。そうすると,被告のハ号物件の販売台数については,民事訴訟法224条3項により,原告の主張,すなわち被告が平成16年5月から平成20年3月3日(原審口答弁論終結時)まえの間に合計30台のハ号物件を販売したことを真実であると認めるのが相当である。


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縮小版なし

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H22.7.27現在のコメント

前々から書いている↓司法試験の問題に関わるものでしたので,
ブログにアップしておきます。
民訴法224条3項の解釈問題です。

法律の解釈…まずは,条文

電気は物ではない?・・・言葉の厳格さ,用語の違い



当然のように判示されていますので,気づきにくいですが,

擬制説であれば,
「実擬制の可否について検討するに」,「真実であると認めるのが相当である。」
とする必要はありません。
したがって,擬制説をとっていないとみることができます。

転換説も,
「他の証拠により立証することも著しく困難である。」
と書いていることから,依然として,文書提出命令申立権者に立証責任があることを崩していません。
したがって,転換説もとっていません。

勿論,軽減説は,元々の優越的蓋然性説について最高裁が否定していますので,知財高裁が取ることはありえません。

結局,
「検討するに」「相当である」
としていることから,
心証説を採用していると判断できます。


P.S.
この判例はPDF変換が他とは違い,テキスト形式で貼り付けができませんでした。
苦労しました。

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