2010年7月24日土曜日

商標:商標法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」「判断基準」…Rolling Stonesは,著名?

商標:商標法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」「判断基準」…Rolling Stonesは,著名?

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知財高裁平成22年1月13日判決(平成21年(行ケ)第10274号商標登録取消決定取消請求事件)

知財高裁4部「滝澤コート」


(1) 判断基準
法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品等に使用したときに,当該商品等が他人の商品等に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品等がその他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信される広義の混同を生ずるおそれがある商標を含むものと解するのが相当であり,そして,同号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。
そこで,上記の観点から,本件商標が同号に該当するか否かについて検討する。

(2) 本願商標と引用商標との類否
ア本件商標及び引用商標の構成等について

イ本件商標と引用商標との対比について
(ア) まず,外観についてみると,

(イ) 次に,称呼についてみると,

(ウ) 次に,観念についてみると,

(3) 引用商標の周知著名性及び独創性

(4) 指定商品及び指定役務とローリングストーンズの業務に係る商品等との関連性

(5) 引用商標に係る取引者及び需要者

(6) 本件商標の使用による引用商標と誤信する可能性


上記(2)ないし(6)によると,本件商標と引用商標とは,いずれも,上部に2つの山を重ねたように2か所で盛り上がった赤色系の上唇,開放された人の口から大きく張り出した赤色系の舌,舌の上部配された白色の上前歯状のもの及び黒色の口内が描かれているという点で構成を共通にする。また,引用商標は,音楽関係の商品及び役務分野において,ローリングストーンズに係る商品又は役務を表示するものとして,取引者・需要者の間において著名で,かつ,独創性がある。
しかしながら,本件商標と引用商標とでは,称呼及び観念の共通性がないことに加え,外観においても,本件商標では正面方向から見た平面的な図形であるのに対して,引用商標ではやや右斜め方向から見た立体的な図形である点でかなり印象を異にするものである点,本件商標では舌上に3本の黒色の図形が描かれているのに対して,引用商標ではそのようなものがない点において相違していることも看過し得ない構成の特徴である。

そして,引用商標がローリングストーンズの業務に係る商品又は役務を表示するものとして音楽関係の取引者・需要者の間で周知・著名であることは,また,それ故に,引用商標と本件商標との上記の相違点は,看者にとってより意識されやすいものであると解されるところである。しかも,需要者についてみると,音楽は嗜好性が高いものであって,音楽CD等の購入,演奏会への参加等をしようとする者は,これらの商品又は役務が自らの対象とするもので間違いないかをそれなりの注意力をもって観察することが一般的であると解されること,取引者についてみるに,音楽について通暁していることが一般であるレコード店や音楽業界関係者等である本件指定商品等の取引者が,本件指定商品等において,本件商標をローリングストーンズの業務に係る商品又は役務と混同することは考え難いことなどの事情が認められるのである。
これらの事情を総合考慮すると,引用商標に係る商品又は役務は本件商標に係る本件指定商品等に含まれるものであるとしても,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標を本件指定商品等に使用した場合,これに接する取引者・需要者が,著名な商標である引用商標を連想・想起して,本件指定商品等がローリングストーンズ若しくはローリングストーンズとの間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品又は役務であると誤信するおそれがあるものと認めることはできないといわざるを得ない。

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縮小版

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・判断基準
法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品等に使用したときに,当該商品等が他人の商品等に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品等がその他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信される広義の混同を生ずるおそれがある商標を含むものと解するのが相当であり,そして,同号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)(知財高裁平成22年1月13日判決(平成21年(行ケ)第10274号商標登録取消決定取消請求事件))

そこで,上記の観点から,本件商標が同号に該当するか否かについて検討する。

・ 本願商標と引用商標との類否
・・本件商標及び引用商標の構成等について

・・本件商標と引用商標との対比について
・・・まず,外観についてみると,

・・・次に,称呼についてみると,

・・・次に,観念についてみると,

・ 引用商標の周知著名性及び独創性

・指定商品及び指定役務と業務に係る商品等との関連性

・引用商標に係る取引者及び需要者

・本件商標の使用による引用商標と誤信する可能性


以上からすれば,
・・・

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H22.7.24現在のコメント

縮小版は,項目が使えます。



たまには趣味も入れていいでしょう。

ローリンストーンズ,ベロマーク
の著名性が真正面から論じられています。


判断としては,常識にかなっています。

構成は似ているところあるぜ!
でも、有名だから,違った点が意識されやすい
間違えるわけないじゃん!

という判断です。

前に書いた

著作権の前提・周辺知識・・・趣味も大事かもしれない。

不正競争の事案と同じ考えです。





代理人が考えたのか,
それでも本人が承諾したのでしょうが,

「以下のア及びイの事実によると,本件商標の登録出願時及び査定時,引用商標がローリングストーンズに係る商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたとする本件決定の判断は誤っている。」

「以上のように,ローリングストーンズの人気は欧米を中心としており,日本国内での人気はそれほど高くない。」

「したがって,それ以下(注:50代以下)の若い世代にはローリンストーンズがどのような者が知らない者が多い」


これらは,余りよくない主張だと考えられます。

言わざるを得ないにしても,かなり無理筋主張ですので,
私なら省くと思います。
(そんなん通じない)


イメージより勝つことを優先したにしても,
書きぶりでイメージを落とす印象も受けます
(もちろん,裁判所にまとめられた!ということも考えられますが)。


被告(商標登録取消決定取消請求なので特許庁長官)側の主張も
面白いです。
「ローリンストーンズのファン層は50歳代,60歳代に限らず,10歳代から30歳代までのファンもいる」


思い起こせば,89年(確か)初来日の時,ライブ行きました。
10代ですね。

今の30代はMTVがかなり盛り上がっていた時代を経験していますので,結構ファンはいるんじゃないかと思います。
ストーンズも,ハーレムシャッフル等をMTVで出していました。

私なら,
最近は,70年代のいわゆるロック名曲が,
そのままCMに流れたり,
カバーも多いので,
それの事情も主張するでしょうね
(ストーンズがあったかは知らん)


また,いわゆる音楽雑誌では
若者向けのものでも
名曲を!
とかいって,昔の曲の譜面を載せたり記事があったりしますので,
対象の人と同じ雑誌に,
ストーンズが載っているか,探す
ということになるでしょうか。


ま,ストーンズなら,そこまでする必要はないという
事情もあります。

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