2010年8月11日水曜日

会社法:元取締役が会社へ訴え提起(監査役設置会社の場合)

知財高裁平成22年3月31日判決(平成21年(ネ)第10061号特許を受ける権利出願人変更請求控訴事件)

は,とても珍しい判例です。

事案は,

一審原告(被控訴人)X(控訴人会社元取締役。H20.4.8辞任)

一審被告(控訴人)会社(監査役設置会社)(H18.2.24設立)
A:代表取締役,B:監査役(社外監査役)


「(6) 控訴人は,平成18年2月24日に設立された株式会社であり,Bは平成18年10月30日以前から監査役設置会社である控訴人の監査役の地位にある(平成17年法律第87号76条2項等参照)。

一方,一審原告(被控訴人)Xは,平成18年10月30日以前から控訴人会社の取締役であったところ,平成20年4月8日辞任した。

3 ところで,会社法386条1項は,取締役(取締役であったものを含む。)が監査役設置会社に対して訴えを提起する場合には,当該訴えについては,監査役が監査役設置会社を代表する旨を定めているところ,被控訴人は,上記のとおり平成20年4月8日まで控訴人の取締役であったのであるから,本件訴訟において控訴人を代表すべき者は,代表取締役であるAではなく,監査役であるBであったものと認められる。


しかるに,原審は,上記のとおり,Aを控訴人代表者として訴訟手続を行い,判決に至ったのであるから,原判決は,訴訟行為をする権限を有しない代表者によって行われた訴訟行為に基づいてなされたものである。

したがって,原審の訴訟手続が違法であったことは明らかである。

なお,当審において,上記のとおり,口頭弁論期日にBを呼び出したが,同人は出頭しなかったので,Aがなした訴訟行為の追認があったと認めることはできない。

4 よって,第一審裁判所においてBを代表者とする訴訟追行をなさしめるため,原判決を取り消し,本件を東京地裁に差し戻すこととして,主文のとおり判決する。」


訴状には,代表取締役Aと表示

代表取締役Aが訴訟追行

原判決は,そのまま判決

知財高裁も,一旦H22.3.10に判決期日指定,H22.3.1に弁論再開して,
B宛に裁判書類を送達,更にBを,H22.3.10に呼出し,B来ずに,
H22.3.10に弁論終結,H22.3.31に判決期日

という経緯ですが,

誰も気づかなかったという珍しい事案です。


知財事件に関わらず,
どのような類型でも起こりえます。

ちなみに,

会社法386条1項(監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)
「第三百四十九条第四項、第三百五十三条及び第三百六十四条の規定にかかわらず、監査役設置会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は取締役が監査役設置会社に対して訴えを提起する場合には、当該訴えについては、監査役が監査役設置会社を代表する。」

です。

……………………………………………………