2010年9月23日木曜日

漁業法(検査忌避罪)

公務執行妨害罪に加えて,

漁業法

が問題になっていますので,まとめてみました。



漁業法
第141条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2.第74条第3項の規定による漁業監督官又は漁業監督吏員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

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罰則の条項は,一つずつの文言(これを構成要件といいます)の該当性を検討することになります。

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(漁業監督公務員)
第74条 農林水産大臣又は都道府県知事は、所部の職員の中から漁業監督官又は漁業監督吏員を命じ、漁業に関する法令の励行に関する事務をつかさどらせる。
2 漁業監督官の資格について必要な事項は、政令で定める。
3 漁業監督官又は漁業監督吏員は、必要があると認めるときは、漁場、船舶、事業場、事務所、倉庫等に臨んでその状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に対し質問をすることができる。
4 漁業監督官又は漁業監督吏員がその職務を行う場合には、その身分を証明する証票を携帯し、要求があるときはこれを呈示しなければならない。
5 漁業監督官及び漁業監督吏員であつてその所属する官公署の長がその者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議をして指名したものは、漁業に関する罪に関し、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察員として職務を行う。

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74条3項は,臨検,質問権を定めています。
また,
漁業監督官については,↓政令で定めています。

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漁業法施行令
(昭和二十五年三月十三日政令第三十号)
(漁業監督官の資格)
第三十条  次の各号のいずれかに該当する者でなければ、漁業監督官となることができない。
一  通算して一年以上漁業に関する法令の励行に関する事務に従事した経験がある者
二  通算して二年以上漁業に関する行政事務に従事した経験がある者
三  学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(同法第百八条第二項 に規定する短期大学を含む。)、独立行政法人水産大学校法 (平成十一年法律第百九十一号)に基づく独立行政法人水産大学校、独立行政法人国立公文書館等の設立に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成十二年政令第三百三十三号)第六十四条の規定による改正前の農林水産省組織令 (平成十二年政令第二百五十三号)に基づく水産大学校又は旧農林水産省組織令(昭和二十七年政令第三百八十九号)に基づく水産大学校において法律又は水産に関する科目を修めて卒業した者

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実際は,漁業監督官は,水産庁が担っています。

よく海上保安庁の巡視船が一緒にいますが(今回の被害も巡視船),これは,装備の都合等上,漁業監督官の下にいると法律上はなります。

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H22.9.23現在のコメント

通常は,この漁業法違反で済ませることが多いということで,
公務執行妨害が問題となるのは珍しいということになります。

漁業法違反(検査忌避罪)は,
6月以下の懲役又は30万円以下の罰金

刑法にある公務執行妨害罪(刑95条1項)は,
3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金

ですので,公務執行妨害罪の方が法定刑上は重い罪となります。



ただ,領海内の妨害行為について,
独自に定めた法律はありません。


もっと厳格な法律をつくるべきと考えますが,
今回は
巡視船の破損等を伴っており,被害的には極めて悪質ですので,
公務執行妨害罪の検挙に踏み切った
ということになるでしょうか。



水産庁と海上保安庁は,最前線で職務を行うものですから,
簡単に不起訴にしてはいけない事案とは
中立的にはいうことができます。


なお,公務執行妨害罪は,公務員の執行行為に対するもので,
怪我等をさせても,当該公務員と示談をすることは,
(応じてくれないので)できません。

情状主張・立証活動で,なかなか決め手がない
事件類型といえます。


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