2010年9月27日月曜日

著作権:テレビ映像の証拠利用

知財に関するものは,なるたけフォローしたいと思っています。

結構興味深いニュースがあります。




3放送局が地裁などに抗議 ニュース映像の証拠採用で - 山梨日日新聞 みるじゃん
http://www.sannichi.co.jp/kyodo/news2.php?genre=National&newsitemid=2010092701000698


2010年09月27日(月)18時38分
3放送局が地裁などに抗議
ニュース映像の証拠採用で

 8月23日に開かれたイージス艦衝突事故の初公判で、海上自衛隊員2被告の弁護側が放送局に無断でニュース映像を証拠提出し、横浜地裁が採用したことについて、日本テレビなど3放送局が弁護側と地裁に抗議文などを提出していたことが27日、分かった。
 日テレとTBSは8月30日付で、映像の無断使用を遺憾とする抗議文を郵送などで提出。NHKは9月3日付の申し入れ書で、地裁には映像を証拠としないこと、弁護側には今後映像を証拠提出しないことを求めた。日テレの細川知正社長は27日の定例会見で「報道用に撮ったものが無断使用されると、取材先との信頼関係などに影響を与える」と述べた。
 横浜地裁は「コメントは差し控えたい」としている。




結論:弁護士会,抗議ものです(最近多くて大変ですが)



参照すべき条文:

著作権法
(政治上の演説等の利用)
第四十条 公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

(時事の事件の報道のための利用)
第四十一条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。

(裁判手続等における複製)
第四十二条 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。




テレビ映像の証拠による利用は,
「いずれの方法によるかを問わず,利用すること」ができます(著作権法40条1項)

証拠となれば,複製が必要となりますので,
これも当然に認められます(著作権法42条)。



放送局の問題点:

証拠による利用は,当然に認められる

法律の明文にあることですから,争いがありません。


それを,裁判所と弁護人側へ文書により出しており,

これを

 「圧力」

といいます。



仮に,放送局の取材源との関係という是認できる理由があったとしても,

・刑事事件の弁護側証拠という極めて重要な利益のために,
・公開映像を使う

ことを上回る利益は,到底かんがえつきません。



問題点は,まだあります。

このような集団による申入れは,
裁判所の独立を侵す行為です。



裁判所は,証拠の採否を決定する権限を有します。


おそらく申入れ書にかかわらず,
弁護人側も,必要であれば,あらたに公開映像物を証拠として提出しようとするでしょう。

当たり前です。


今回は,採用されましたが
(採用済みなので,証拠に使うのは,当たり前です。),
採用済みの証拠を使わないようにするとの申入れは,
「圧力」に他なりません。

また,今後,弁護側が,新たに映像を提出したときに,この申し入れの影響によって,
証拠が採用されないというおそれもないこともない(多分ないが。こんなもので,一々気にしてたり屈してたりするのでは,法曹はできません)ですので,


やはり,

「圧力」です。


ま,証拠の採否に,このような申し入れは関係ないとしかいいようがありませんので
(適法・必要ならば採用です)
あまり心配はない「圧力」ですが。


横浜地裁の「コメントは差し控えたい」
は,鼻でせせら笑ったと捉えていいでしょうか。

そう考えるべき,極めて愚行と考えます。
何がしたかったのか,何を目的としているのか,とんと分からないニュースです。


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