2010年9月17日金曜日

自炊と著作権:条文の検討

自炊行為の適法性を論ずるにあたっては,

まずは,条文です。

著作権法30条

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。


更にいうと,まずは,

「その使用する者が複製することができる。」

の「使用する者」に,自炊代行業者が入るか否かです。


一般には,
本人のみしかダメとか,
家族ぐらいしかダメとか
言われています。


その条文上の根拠は,

「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とする」ときは,「その」
ですので,

私的使用の目的を有する「その」使用する者
ということになります。

この私的使用の目的は,判例上でも極めて限定されて解釈されています。


それ故に,自炊代行業者は,「その」使用する者
とはいい難い


という解釈です。



自然な解釈とはいえます。



しかし,諦めたらなんにも前に進みません。



法律的には,

この「その使用する者」というのは,

手足としての代行者を使ってもいいということになります。
法律的には,

「使者」といいます。

使者の行為は,「その使用する者」の行為に他ならないからです。



先程の解釈は,一見自然のようにはみえますが,
あくまで,

「その使用する者」が,使者を使ってはいけないとはいってはいません。

「その使用する者」には,自炊代行業者は入りません

と言っているだけです。


本人=「その使用する者」が,

どこまでの範囲で,使者を使えるかという解釈については,条文上明らかになっていないといえます。


自炊代行業者が,
「その使用する者」に該当しないとしても,

「その使用する者」の使者とは,完全にいえない
とはいえません。


これは,どこまで,自炊代行業者が,著作権法と裁判例に即して,どれだけの配慮をしているかによることになると思います。

たとえば,

・対価の問題(使者行為料金として適切か否か),
・自炊後の裁断化された本の現物の処理の問題
・データを顧客に渡して,その後のデータの後始末の問題
(実際的には,業者の元に,サーバーや,電子メールの送信メール添付ファイルとして,かなり残ってくると思われます)

があります。


たとえば,

1.依頼者が仕入れた現物の本のみを受け入れ,
その現物をPDF化して,裁断した本は処分するか持ち主に返し,
渡したデータは後にすべて処分している業者と,

2.本の注文も業者がして,
PDF化して,その本を使い回していたりする業者,

3.予めメニューを用意していてPDF化する業者



想定するだけでも,単に「自炊代行業者」といっても,やり方で,かなり態様が違ってくるかと思います。

この場合,2.は,かなり違法とされる危険性が高いと思います。


宣伝に嘘があっても,危険です。


例えば,1.を表明しながら,
実際には,それと同じ本を使い回してデータ化している場合は,危険です。
権利者側であれば,もちろん,調査のために,どこか書き込みをして,本当に,その書き込みが残ったデータであるか否かなどのことは,当然します。



一概に,自炊代行業者は,全部ダメ!
といいにくいのではないかと思います。

なにより,それでは,消費者が困ります。


……………………………………………………
公式サイト携帯サイト