2010年11月14日日曜日

国家公務員法所定の「秘密」part2

最高裁判決によれば,
2つの要件が必要となります。

1.非公知に関する事実

2.実質秘

です。

1.についての「非公知」という用語は,
特許の世界では良く出てきます。

特許では,例えば対象製品が出願前に販売されれば公知となり,特許無効事由となります。
販売が普通の一般人では知り得ないとしても出願日を基準として判断される厳しいものです。
最高裁がわざわざ同じ用語を用いたことからすれば,
特許と同じ概念であるという主張の方が自然と思われます。

また「事実」の方も問題となります。

今回の尖閣映像流出で,明らかとなった「事実」とはなんでしょうか?

捜査機関が捜査し,重要な被疑事実を立証するための証拠としての映像であるとは伝わってきています。
つまり,このビデオには,中国人船長の犯罪行為に関する事実が映っていたという事実については,
既に公知ではあったともいえます。

また,中国船船舶が衝突した事実も,映像流出前に,ネットや報道で伝えられたものがありますので,少なくとも,これは,否定する方向(公知性への方向)への証拠となると考えられます。

もちろん,何が「非公知」に関する「事実」となるのかは,捜査機関側が立証する必要があります。


色々考えましたが,わたしには,何が「非公知」に関する「事実」となるのか,おもいつきませんでした。



2.については,最高裁判決が問題となったのは,外交交渉に関する事実ですから,この点は割とわかり易いものといえました。

そして,
最高裁判決の判示からは,
形式秘(つまり,形式的に秘密にしていた)
では足りない
ということは分かりますが,実質秘というのは,実はとても難しい判断となります。


これと同様の概念は,不正競争防止法でもあります。

不正競争防止法2条6項
6  この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

本件では,有用性要件はないですが(ただし,実質秘の判断の中で考慮される可能性はある),
秘密管理性≒非公知性
公然性≒実質秘

と捉えることができれば,

不正競争防止法上の判断としては,かなり「営業秘密」とは認められにくい事案となると考えられます。

もちろん,
不正競争防止法とは異なる観点が必要となりますので,同じ解釈が成り立つとは限りません。


いすれにしても,
非公知性,「事実」,「実質秘」のいずれの要件も十分に争う価値があるものといえます。


海上保安庁が既に,または,過去に公開している
韓国船取締の映像や,北朝鮮工作船映像と,どう違うのかも議論される必要があります。
弁護人ならば当然触れるべきものと考えます。

また,前に述べたように,
これらは,構成要件上の問題ですので,
更に,
憲法論が必然的に展開されることになります。




弁護人ならば,かなりヤリガイがある事件になるかとおもいます。

少なくとも今の段階で完全に有罪とは言い難いでしょうか。
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