2011年1月25日火曜日

プログラム著作権の考え方:物量作戦への対応・・・結局,気合!(2011-01-25 火:作成)

* プログラム著作権の考え方:物量作戦への対応・・・結局,気合!(2011-01-25 火:作成)

ソースのコピペは,実は,そのままコピペは,あまり問題になりません。パクる人の罪悪感か,それともコピペ先の特殊性か,本人の癖か,そのままコピペではなくて,ほとんど同じということは余りないという実感です。

そういうばあい,実は,かなり手強くなってきます。


まず,すべきことは,元プログラムとパクリ先プログラムのソース比較です。

diff等を用いて,洗い出す作業をしていくことになるかとおもいます。

差分プログラムを用いて,何%の一致というのも面白いかもしれません。


いずれにしても,

著作権侵害の判断方法は,


まず,複製とは,
「著作物の複製(著作権法21条,2条1項15号)とは,既存の
著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再
製することをいう(最高裁判所昭和50年(オ)第324号同53
年9月7日第一小法廷判決・民集32巻6号1145頁参照)。こ
こで,再製とは,既存の著作物と同一性のあるものを作成すること
をいうと解すべきであるが,同一性の程度については,完全に同一
である場合のみではなく,多少の修正増減があっても著作物の同一
性を損なうことのない,すなわち実質的に同一である場合も含むと
解すべきである。」(知財高裁平成22年7月14日判決(平成
22年(ネ)第10017号,同第10023号著作権侵害差止等
反訴請求控訴,同附帯控訴事件))
次に,翻案とは,
「また,著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依
拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具
体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創
作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現
上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作す
る行為をいう。」(知財高裁平成22年7月14日判決(平成22
年(ネ)第10017号,同第10023号著作権侵害差止等反訴
請求控訴,同附帯控訴事件))
をいいます。

簡単にいえば,単にコピペしたら「複製」,それに修正等を加えて新しいものを作り上げれば「翻案」ということになります。

裁判所の判断基準としては,複製でも翻案でも同じです。

つまり,複製・翻案該当性の判断基準は,
「著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものである
から(著作権法2条1項1号),既存の著作物に依拠して創作され
た著作物が思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表
現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既
存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,複製にも翻案に
も当たらないものと解するのが相当である(最高裁判所平成11年
(受)第922号同13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻
4号837頁参照)。」(知財高裁平成22年7月14日判決(平
成22年(ネ)第10017号,同第10023号著作権侵害差止
等反訴請求控訴,同附帯控訴事件))
また,
「上記各Y書籍記述部分がこれに対応する上記各X書籍記述部分の複
製又は翻案に当たるか否かを判断するに当たっては,当該X書籍記述
部分が創作性を有する表現といえるか否か,創作性を有する場合に
当該Y書籍記述部分がこれを再製したものであるか否か及び当該X書
籍記述部分の表現上の本質的特徴を直接感得することができるか否
かを検討する必要がある。」(知財高裁平成22年7月14日判決
(平成22年(ネ)第10017号,同第10023号著作権侵害
差止等反訴請求控訴,同附帯控訴事件))

ということになります。


何をいっているのかというと,

まずは,権利著作物(元プログラム)と侵害著作物(パクリ先プログラム)とを比較して,

1.一致点を明らかにする。

ことが必要になります。


 この一致点について,

2.創作性があるか否か
3.表現上の本質的特徴を直接感得することができるか

で判断されます。事例は,「書籍」の判断基準ですので,3.が必要とされましたが,プログラムでも例えばコメント欄は文章的要素がありますので,ないことはないと考えられます。一致していない点は,どうか?ということになるのですが,これは,仮に,一致していない点に創作性があっても,依拠していないということになり結局侵害していないという判断になります。

一致していない点に創作性がある!マネした部分は何の特徴もない!という抗弁(法律的に厳密なことばではない)

は,結構ある主張です。


そして,この一致点の判断は全体的な判断ではなく,基本は,まず個別的になされます。

あるプログラムとこのプログラムの何行から何行までが一致している。または,何行から何行まで一致し,Xプログラム(権利著作物)は,何行の関数について○○の関数を使っているが,Yプログラム(侵害著作物)は,●●の関数を使っている点で相違している。

などを,

一致点・相違点比較の一覧表(これは求められているわけではありませんが,分かりやすく主張するために作るべきです)

でする必要があります。


私も,不正競争防止法の事案ですがWebサイト表示でやったことがあります。これを延々に作ります。
(たしか,80頁ぐらい作ったとおもう)。
(仮処分だったので,はっきりいって死んだ…)


完全にパクっていても,実は違うところがあることが多いので,とても面倒な作業ですが,必要になります。
(今なら,Emacs/org-modeを使うと割と楽かもしれません)。
(また,プログラムなら,割と作業的には簡単になるかもしれません。)


組み合わせ・配列については,配列は余りないかもしれませんが,プログラムの場合は,特に,裁判官に理解させるために,

 なぜ,このような関数の組み合わせになっているのか

 この組み合わせで,どのような結果が生ずるのか,

など,もっというと,プログラムとは何か?から丁寧に説明する必要があります。説明書を別途つくって,一から丁寧にするぐらいの気合が必要です。



最近は,ITが得意!とか,著作権が得意!とかよくありますが,弁護士が全てのプログラムを理解するなんて絶対にできません。
私がいうのもなんですが,この素養は,早く多く文章を書ける気合と道具があるか,簡単にいえば,ものすごく忍耐力があるかが重要とおもいます。




弁護士は,裁判官の橋渡し,通訳みたいなもの

です。自分で分からないことは率直に聞き,調査し,勉強し,その結果を,裁判官に上手く視覚的に比喩的も含めて伝えることができるかで勝負が決まります。



原告側に立ちながら,これをしない弁護士は実際います。

大雑把に,著作権侵害!といい,
一致した部分についての創作性について十分検討していないんでないか?

と疑いをもつ人はいます。

いくら似てても,それだけじゃダメです。



依頼者には,パクリは明白!なんでいるの?とおもわれがちですが,裁判,仮処分になったら,早く期日が進行しますので,準備を十分にしてから,自分から,一致点・相違点比較表をバサッと出せるぐらいでなければなりません。


著作権侵害に限らず,知財は物量作戦みたいなところは確かにあります。

原告側なら,当初の段階で,客観的な一致点・相違点比較表をバサッと出し,
それを被告側が検討し切れていない段階で,その一々の評価を出し,
更に,
法律的な主張を出していくという絨毯爆撃をする必要があります。


被告側では,それに耐え得る忍耐力と防御力です。
被告側でも一致点・相違点比較表を出します。ここが違う,あれも違う,と出していくことになります。
一致点・相違点への対処は,事実面で,プログラムの中身を知らなくても,ここが一致,あれが違うは書けますので,別に詳しくなくてもできます。それに対抗・対応する気合だけで乗り切れます。


実際のところは,できる!と私がおもう弁護士は,やってきます。
意外と悠長にやっているなあとおもわれたら,反撃をくらいます。


私が,最速・大量書面の作成を目指し,Emacs/org-modeに切り替えたのは,そういう意味もあるのかもしれません。
(普段でも物量作戦,やっているが…)

長くなったので,

続きにします。

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