2011年3月31日木曜日

新たな過払金的ラッシュか?クレジットカード会社に対するクーリングオフ

大阪簡裁平成23年3月24日判決(平成21年(ハ)第30239号立替金請求事件)

で完全勝訴判決を得ました。

事案は,

ある商品を売った販売店と通じた大手クレジットカード会社とローンを組んだ消費者
が,クレジットローンの途中で支払いができず,

クレジットカード会社から,残立替金請求を受けた事件です。

当方の主な主張は,

特定商取引法の法定要件を充たさない契約書交付がなく,
「交付」から始まるクーリングオフ期間が経過していないと,
契約から1年以上を経過した時点でクーリングオフを主張し,支払い停止の抗弁を主張したものでした。


クレジットカード会社が,販売店に訴訟告知し,販売店が補助参加し争いましたが,


判決の結論
としては,
当方主張のクーリングオフを認め,補助参加人の主張した信義則,権利濫用も跳ね除けたものでした。

後記改正前でしたので,支払停止の抗弁しか主張できませんでしたが,今後の意義について述べます。


本判決の意義

・平成20年割賦販売法改正により,正確に言えば,平成20年6月改正法(平成21年12月1日施行)からは,
クーリングオフ解約された場合には,クレジットカード会社自体において既払金返還義務が生ずることになりました(割賦販売法35条の3の10第9項)。

これまで,クレジットカード会社に対しては,支払いを停めるというところまでは認められましたが,既払金を返せというのは,困難でした。カード契約と販売店との契約は法律上別個というドグマです。

悪質業者は,その所在を突き止めることは難しく,資金的にも既払金を求めるのは困難だったのです。

しかし,改正法により施行日以降に締結された契約については,資力ある(はず)クレジットカード会社に既払い金を直接請求することができるようになりました。


・契約書記載不備によるクーリングオフのメリット
クーリングオフの他にその他消費者取引法等での取消しも制度上はありますが,たとえば,消費者が困惑とか,虚偽があったとかという多分に評価を伴うものについては,言った言わないの話で裁判が長期化したり,消費者のいう事実が認められないという事態がおきます。
 しかし,契約書記載不備は,元々特定商取引法上において法定要件があるかないか,十分か不十分かという契約書の記載のみで争うことができます。極めて客観的な争いができることになります。

 そして,悪質業者は,契約は適当な場合がかなりの高確率で多いといえます。

・「交付」の主張立証責任
クーリングオフが行使可能な期間,法律上は,法定書面の「交付」から起算します。
つまり,記載が不完全な書面を交付しても法律上の「交付」とはいえず,クーリングオフが可能になります。

しかも,法定書面の「交付」は追完が許されないとされており,後で渡したということでクーリングオフがダメになるということにはなりません。

さらに,通常,クレジットカード会社・販売店・消費者の3者契約では,各用の三枚つづりの契約になっていることが普通です。クレジットカード会社が訴えを提起するばあい,クレジットカード会社用の契約書しかなく,それ自体には(今回でもそうでしたが),法定事項が完全でないばあいがおおいといえます。

つまり,クレジットカード会社が,「法定書面」「交付」を主張するには,

1.消費者用の法定書面の控えの確保,
2.受領日と消費者の署名を要するなどの「交付」日

の立証が必要となります。

消費者側としては,
消費者用の書面は,なくしたでも構いません。
「交付」がないからクーリングオフを主張する場合,クーリングオフが認められないと主張する側,つまり,クレジットカード会社側で「交付」を立証する必要があるからです。

もともと,消費者に確かに「法定書面」を「交付」したという行為をするのは,販売店ということになりますが,販売店が悪質業者であるばあい,そのような法律上の要求をきちんとしていない場合が多いと言えます。
今回も,補助参加人販売店は,当初から,もうそのような契約書はないといっており,勝負が当初から決まっていたようなものでした。

・信義則,権利濫用の排斥
元々,クーリングオフが認められる場合には,信義則違反,権利濫用とはなりません。
しかし,本判決は,その主張さえも判断しています。

契約から1年以上経過してからのクーリングオフでさえ,信義則違反,権利濫用とならないことが正式に判決となったことは,極めて意義深いものです。


クレジットカード会社にとっては受難の日が来る予感です。

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