2011年4月24日日曜日

原発事故に関する損害賠償(1)…関係する法律,悲観的な原賠法解釈をとるべきという意味,国家賠償を視野に入れる場合

そろそろ,準備をする必要があります。

まずは,関係する法律をあげます。

1.原子力損害賠償法(原賠法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html


重要条文
「(定義)
第二条  この法律において「原子炉の運転等」とは、次の各号に掲げるもの及びこれらに付随してする核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。第五号において同じ。)の運搬、貯蔵又は廃棄であつて、政令で定めるものをいう。
一  原子炉の運転
二  加工
三  再処理
四  核燃料物質の使用
四の二  使用済燃料の貯蔵
五  核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物(次項及び次条第二項において「核燃料物質等」という。)の廃棄
2  この法律において「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう。ただし、次条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者の受けた損害を除く。」

「(無過失責任、責任の集中等)
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2  前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
第四条  前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。
2  前条第一項の場合において、第七条の二第二項に規定する損害賠償措置を講じて本邦の水域に外国原子力船を立ち入らせる原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額は、同項に規定する額までとする。
3  原子炉の運転等により生じた原子力損害については、商法 (明治三十二年法律第四十八号)第七百九十八条第一項 、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律 (昭和五十年法律第九十四号)及び製造物責任法 (平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない。」



電気事業者の見解
(電気事業連合会サイト)
http://www.fepc.or.jp/present/safety/saigai/songaibaishou/index.html

原子力損害賠償法
原子力発電、原子燃料製造、再処理など原子力施設の運転中に発生した事故により原子力損害を受けた被害者を救済するため、1961年に原子力損害賠償法(原賠法)が定められています。原子力損害賠償法では以下のことが定められています。

原子力事業者に無過失・無限の賠償責任を課すとともに、その責任を原子力事業者とする。
賠償責任の履行を迅速かつ確実にするため、原子力事業者に対して原子力損害賠償責任保険への加入等の損害賠償措置を講じることを義務付ける。(賠償措置額は原子炉の運転等の種類により異なりますが、通常の商業規模の原子炉の場合の賠償措置額は現在1200億円)
賠償措置額を超える原子力損害が発生した場合に、国が原子力事業者に必要な援助を行うことを可能とすることにより被害者救済に遺漏がないよう措置する。

原子力損害賠償制度
原子力災害は、天災や社会的動乱の場合を除いて、原子力事業者に損害賠償の責任があります。電力会社は「原子力損害賠償責任保険」を保険会社と結び、また、国と「原子力損害賠償補償契約」を結ぶことになっています。事業者の責任が免ぜられた損害や保険限度額を超えた場合は、国が被害者の保護のために必要な措置をとることになっており、事業者と国が一体となって原子力損害の填補を行うようになっています。

賠償措置額については、2009年(平成21年)の原賠法の改正により、現在1サイトあたり最高1200億円となり、適用期間が10年間(2019年末まで)に延長されました。


実は,重要なことが書いて有ります。

原賠法3条の責任が免ぜられたばあい,後記原子力損害賠償補償契約に関する法律により,原子力損害が填補されますが,
その額には限度があるということです。


原賠法3条は,
「第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」


このただし書き「その損害が異常に巨大な天災地変」の場合には,責任が免ぜられています。
この法律は,事業者の無過失責任を背負わせたものと理解されています。
この法律の読み方については,若干地裁判例もありますが,最高裁レベルの判断はありません。

「Q&A災害時の法律実務ハンドブック(平成18年発行)」の補訂予定版でも,
今回の事故が,「異常に巨大な天災地変」でないとして解釈がおわっているものがあります。

しかし,通常解釈からすれば,
今回のものが「異常に巨大な天災地変」ではないとは到底いいがたいし,
予想可能性なものは考慮してただし書きにあたらないとする解釈など,
どちらかというと,損害賠償を請求する側において,文言的に無理な解釈をとらないといけないようにおもえます。
また,
原子力損害賠償補償契約に関する法律
「第三条  政府が前条の契約(以下「補償契約」という。)により補償する損失は、次の各号に掲げる原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失(以下「補償損失」という。)とする。
一  地震又は噴火によつて生じた原子力損害」

では,「地震又は噴火によって生じた原子力損害」が対象となっています。この法律は,逆に請求者に不利です。なぜなら,
地震や噴火で原子力損害が生じる場合とは,「異常に巨大な天災地変」といえるからであるといえるから。


あえて請求者側で不利なことをいうのは,まずは悲観的な解釈をとって備えるという態度です。


仮に,今回の件で,原賠法の適用があるのならば,別にいいのですが,仮に適用がない場合には,どうすればいいのか?という問題があります。

まず,通常の不法行為でいく場合です。民法709条によることになります。
これは,無過失責任でありませんので,
過失の有無,因果関係,損害額について,すべて,被害者側が主張・立証する必要がでてきます。

さらに,拡大損害的なこと,はっきりいえば,法律を守らず・中共船事件の資料隠蔽対応の民主党政権を考えれば,国家賠償を考え,国をも被告とする必要があります。これは,原賠法の適用が認められない場合の予防的処置にもなります。この場合,国家賠償法によることになりますので,ここでも,過失については,被害者側が主張・立証することになります。

今回の事故への対処は,
悲観的な解釈をとることにより原賠法の適用が否定されたばあい,さらに生じた損害の請求を狙う場合,また,国家賠償法の適用を主張する場合に備えて,

過失の有無,因果関係,拡大損害をも加えた損害について,
丁寧に書くことにします。






参照条文
……………………………………………………・
2.原子力損害賠償補償契約に関する法律
(昭和三十六年六月十七日法律第百四十八号)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html


最終改正:平成二一年四月一七日法律第一九号

(定義)
第一条  この法律において「原子炉の運転等」とは、原子力損害の賠償に関する法律 (昭和三十六年法律第百四十七号。以下「賠償法」という。)第二条第一項 に規定する原子炉の運転等をいい、「原子力損害」とは、賠償法第二条第二項 に規定する原子力損害をいい、「原子力事業者」とは、賠償法第二条第三項 に規定する原子力事業者(同項第二号 に掲げる者を除く。)をいい、「原子力船」とは、賠償法第二条第四項 に規定する原子力船をいい、「損害賠償措置」とは、賠償法第六条 に規定する損害賠償措置をいい、「賠償措置額」とは、賠償法第七条第一項 に規定する賠償措置額をいい、「責任保険契約」とは、賠償法第八条 に規定する責任保険契約をいう。
(原子力損害賠償補償契約)
第二条  政府は、原子力事業者を相手方として、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約その他の原子力損害を賠償するための措置によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業者が補償料を納付することを約する契約を締結することができる。
(補償損失)
第三条  政府が前条の契約(以下「補償契約」という。)により補償する損失は、次の各号に掲げる原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失(以下「補償損失」という。)とする。
一  地震又は噴火によつて生じた原子力損害
二  正常運転(政令で定める状態において行なわれる原子炉の運転等をいう。)によつて生じた原子力損害
三  その発生の原因となつた事実に関する限り責任保険契約によつてうめることができる原子力損害であつてその発生の原因となつた事実があつた日から十年を経過する日までの間に被害者から賠償の請求が行なわれなかつたもの(当該期間内に生じた原子力損害については、被害者が当該期間内に賠償の請求を行なわなかつたことについてやむをえない理由がある場合に限る。)
四  原子力船の外国の水域への立入りに伴い生じた原子力損害であつて、賠償法第七条第一項 に規定する損害賠償措置その他の原子力損害を賠償するための措置(賠償法第七条の二第一項 に規定する損害賠償措置の一部として認められるものに限る。)によつてはうめることができないもの
五  前各号に掲げるもの以外の原子力損害であつて政令で定めるもの
(補償契約金額)
第四条  前条第一号から第三号まで及び第五号に掲げる原子力損害に係る補償契約に係る契約金額(以下「補償契約金額」という。)は、当該補償契約の締結が含まれる損害賠償措置の賠償措置額に相当する金額(損害賠償措置に責任保険契約及び補償契約の締結以外の措置が含まれる場合においては当該措置により、他の補償契約が締結されている場合においては当該他の補償契約の締結により原子力損害の賠償に充てることができる金額を控除した金額)とする。
2  前条第四号に掲げる原子力損害に係る補償契約金額は、賠償法第七条の二第一項 に規定する損害賠償措置の金額に相当する金額(賠償法第七条第一項 に規定する損害賠償措置その他の原子力損害を賠償するための措置が賠償法第七条の二第一項 に規定する損害賠償措置の一部として認められる場合においては、当該原子力損害を賠償するための措置の金額を控除した金額)とする。
(補償契約の期間)
第五条  第三条第一号から第三号まで及び第五号に掲げる原子力損害に係る補償契約の期間は、その締結の時から当該補償契約に係る原子炉の運転等をやめる時までとする。
2  第三条第四号に掲げる原子力損害に係る補償契約の期間は、原子力船が本邦の水域を離れる時から本邦の水域に戻る時までの期間内の期間とする。
(補償料)
第六条  補償料の額は、一年当たり、補償契約金額に補償損失の発生の見込み、補償契約に関する国の事務取扱費等を勘案して政令で定める料率を乗じて得た金額に相当する金額とする。
(補償金)
第七条  政府が補償契約により補償する金額は、当該補償契約の期間内における原子炉の運転等により与えた原子力損害に係る補償損失について補償契約金額までとする。
2  政府が第三条第一号から第三号まで及び第五号に掲げる原子力損害に係る補償損失を補償する場合において、当該補償に係る原子力損害と同一の原因によつて発生した原子力損害について責任保険契約によつてうめられる金額があるときは、当該補償損失について補償契約により支払う補償金の額の合計額は、当該補償契約の締結が含まれる損害賠償措置の賠償措置額に相当する金額(当該損害賠償措置に責任保険契約及び補償契約の締結以外の措置が含まれる場合においては当該措置により原子力損害の賠償に充てることができる金額を控除した金額)から当該責任保険契約によつてうめられる金額を控除した金額をこえないものとする。
(補償契約の締結の限度)
第八条  政府は、一会計年度内に締結する補償契約に係る補償契約金額の合計額が会計年度ごとに国会の議決を経た金額をこえない範囲内で、補償契約を締結するものとする。
(通知)
第九条  原子力事業者は、補償契約の締結に際し、政令で定めるところにより、原子炉の運転等に関する重要な事実を政府に対し通知しなければならない。通知した事実に変更を生じたときも、同様とする。
(政令への委任)
第十条  補償契約の締結並びに補償料の納付の時期、補償金の支払の時期その他補償料の納付及び補償金の支払に関し必要な事項は、政令で定める。
(時効)
第十一条  補償金の支払を受ける権利は、三年を経過したときは、時効によつて消滅する。
(代位等)
第十二条  政府は、補償契約により補償した場合において、当該補償契約の相手方である原子力事業者が第三者に対して求償権を有するときは、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額を限度として当該求償権を取得する。
一  政府が補償した金額
二  当該求償権の金額(前号に掲げる金額が当該補償契約により補償する補償損失の金額に不足するときは、当該求償権の金額から当該不足金額を控除した金額)
2  補償契約の相手方である原子力事業者が求償権の行使により支払を受けたときは、政府は、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額の限度で、補償の義務を免れる。
一  当該原子力事業者が当該求償権の行使により支払を受けた金額
二  当該補償契約により補償する補償損失について第七条の規定により政府が補償の義務を負う金額(前号に掲げる金額が当該補償損失の金額に不足するときは、当該政府が補償の義務を負う金額から当該不足金額を控除した金額)
(補償金の返還)
第十三条  政府は、次の各号に掲げる原子力損害に係る補償損失について補償金を支払つたときは、原子力事業者から、政令で定めるところにより、その返還をさせるものとする。
一  補償契約の相手方である原子力事業者が第九条の規定による通知を怠り、又は虚偽の通知をした場合において、その通知を怠り、又は虚偽の通知をした事実に基づく原子力損害
二  政府が第十五条の規定により補償契約を解除した場合において、原子力事業者が、その解除の通知を受けた日から解除の効力が生ずる日の前日までの間における原子炉の運転等により与えた原子力損害
(補償契約の解除)
第十四条  政府は、補償契約の相手方である原子力事業者が当該補償契約の締結を含む損害賠償措置以外の損害賠償措置を講じた場合においては、当該補償契約の解除の申込みに応ずることができ、又は当該補償契約を解除することができる。
2  前項の規定による補償契約の解除は、将来に向つてその効力を生ずる。
第十五条  政府は、補償契約の相手方である原子力事業者が次の各号の一に該当するときは、当該補償契約を解除することができる。
一  賠償法第六条 の規定に違反したとき。
二  補償料の納付を怠つたとき。
三  第九条の規定による通知を怠り、又は虚偽の通知をしたとき。
四  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 (昭和三十二年法律第百六十六号。第十七条第二項において「規制法」という。)第二十一条の二 、第三十五条、第四十三条の十八、第四十八条、第五十一条の十六、第五十七条第一項若しくは第二項、第五十七条の四、第五十七条の五、第五十八条第一項又は第五十九条第一項の規定により講ずべき措置を講ずることを怠つたとき。
五  補償契約の条項で政令で定める事項に該当するものに違反したとき。
2  前項の規定による補償契約の解除は、当該補償契約の相手方である原子力事業者が解除の通知を受けた日から起算して九十日の後に、将来に向つてその効力を生ずる。
(過怠金)
第十六条  政府は、補償契約の相手方である原子力事業者が補償契約の条項で政令で定める事項に該当するものに違反したときは、政令で定めるところにより、過怠金を徴収することができる。
(業務の管掌)
第十七条  この法律に規定する政府の業務は、文部科学大臣が管掌する。
2  文部科学大臣は、第十五条の規定による補償契約の解除については、あらかじめ、発電の用に供する原子炉(原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)第三条第四号 に規定する原子炉をいう。以下同じ。)の運転、加工(規制法第二条第七項 に規定する加工をいう。)、再処理(規制法第二条第八項 に規定する再処理をいう。)、使用済燃料の貯蔵(規制法第四十三条の四第一項 に規定する使用済燃料の貯蔵をいう。)又は核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物の廃棄(規制法第五十一条の二第一項 に規定する廃棄物埋設又は廃棄物管理をいう。)に係るものにあつては経済産業大臣、船舶に設置する原子炉の運転に係るものにあつては国土交通大臣の意見を聴かなければならない。
(業務の委託)
第十八条  政府は、政令で定めるところにより、補償契約に基づく業務の一部を保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第四項 に規定する損害保険会社又は同条第九項 に規定する外国損害保険会社等(これらの者のうち責任保険契約の保険者であるものに限る。)に委託することができる。
2  文部科学大臣は、前項の規定による委託をしたときは、委託を受けた者の名称その他文部科学省令で定める事項を告示しなければならない。

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