2011年8月19日金曜日

報道を弁護士の目からみて考えるシリーズ:政治資金規正法の記載が要求される「収支」

報道を弁護士の目からみて考えるシリーズ

zakzak
【民主と北朝鮮】あまりに不透明な“菅資金”立件の可能性も
2011.08.19
(ジャーナリスト・田村建雄)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110819/plt1108190936001-n1.htm

「4月15日以降、「めざす会」への献金が始まる。まず、26日まで3回に分けて、900万円、1000万円、500万円の計2400万円。4月末時点で「草志会」には約170万円の残高しかないが、5月8日に一気に500万円を「めざす会」に献金しているのだ。

 「お金がないのに、どうして献金ができるのか。他の支出もあり、5月8日時点で『草志会』の残高はマイナス。この状態で、2日後の10日にも、さらに300万円を『菅直人を応援する会』に献金している。常識では考えられない」(自民党関係者)

 こうした結果、「草志会」の赤字は5月14日時点で、最大の約658万円まで膨らんでいる。とても、「立て替え」などと説明できる額ではない。赤字が解消するのは、同月25日、民主党本部から3000万円の寄付を受けてからだ。」

結論的に,この記事では説明が要する旨書いてあるだけですが,ここは,西田議員の指摘が正しい。


「これは政治資金収支報告書の虚偽報告だ。会計責任者ではなく、その行為をしたあなた自身(菅直人首相)、代表自身が立件される可能性がある。辞めようが辞めまいが、それで免責になることはない。小沢(一郎元民主党代表)さんと同じ事件なんですよ!」

 8月11日の参院予算委員会、自民党の西田昌司議員は、菅首相の献金疑惑を激しく追及した。

 菅首相は痛いところを突かれたのか完全に自制を失い、「私の政治資金の会計はすべて公開されています。どこが虚偽報告というんですか」「立て替えということもある」などと顔を紅潮させて反論。

 西田氏は「総理、あなたは分かっていない! 会計帳簿という仕組みが分かってない」とあきれ果てた。


首相は,「立て替えということもある」と証言しているが,立て替えの事実が収支が合わないということは,立て替えの収支,つまり,その資金不足のために,いつ立替金をいれたのか,そして出したのかという「収支」の記載がされていないことを指摘しています。

すべての収支が記載されていないことをみとめた発言ともよめます。
ちなみに,この動画は,
これです。

http://www.youtube.com/watch?v=tMqpBETbmok

31:00頃からが,これらのやり取りです。




政治資金規正法の解釈については,
以前,ブログで書いたことがあります。

政治資金規正法における虚偽,故意(1)(2)(3)・・・公認会計士の主張に対して
http://utsuboiwa.blogspot.com/2010/06/blog-post_1190.html

政治資金規正法では,

「収入」については,

第四条  この法律において「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、第八条の三各号に掲げる方法による運用のために供与し、又は交付した金銭等(金銭その他政令で定める財産上の利益をいう。以下同じ。)の当該運用に係る当該金銭等に相当する金銭等の収受以外のものをいう。

と定義されています。

ちなみに,8条の3各号は↓

(政治団体及び公職の候補者の政治資金の運用)
第八条の三  政治団体はその有する金銭等を、公職の候補者はその者が政党から受けた政治活動に関する寄附その他の政治資金に係る金銭等を、次に掲げる方法以外の方法により運用してはならない。
一  銀行その他の金融機関への預金又は貯金
二  国債証券、地方債証券、政府保証債券(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)又は銀行、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫若しくは全国を地区とする信用金庫連合会の発行する債券(次条第一項第三号ロにおいて「国債証券等」という。)の取得
三  金融機関の信託業務の兼営等に関する法律 (昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項 の認可を受けた金融機関への金銭信託で元本補てんの契約のあるもの

わかりやすくいえば,8条の3各号の運用により得た利息収入等以外のことをいうことになります。

また,「支出」については,
同じく政治資金規正法4条5項に,定義されています。

5  この法律において「支出」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、第八条の三各号に掲げる方法による運用のためにする金銭等の供与又は交付以外のものをいう。

さらに,政治資金規正法は,

第九条  政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項
・・・・
二  すべての支出(当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む。以下この条、第十二条、第十七条、第十九条の十一、第十九条の十三及び第十九条の十六において同じ。)並びに支出を受けた者の氏名及び住所(支出を受けた者が団体である場合には、その名称及び主たる事務所の所在地。次条第一項及び第十二条第一項第二号において同じ。)並びにその支出の目的、金額及び年月日

三  金銭等の運用に関する次に掲げる事項
・・・
の記載が要求されています。

つまり,「すべての収入」「すべての支出」の記載が要求されています。

総務省の解釈としても同じです。
総務省自治行政局選挙部政治資金課
「政治資金規正法のあらまし」
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/news_seiji/pdf/seijishikinkiseihou_all.pdf



「すべての収入」「すべての支出」の記載が要求されていますので,
立て替えの事実があるのであれば,政治資金報告書に記載がなければならない,
だから,首相がいうように「立て替え」の事実があるならば,記載されていないのですから,
「虚偽記載」
ということになります。


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