2012年1月12日木曜日

「間接証拠(状況証拠)と事実認定」

「間接証拠(状況証拠)と事実認定」

1. 直接証拠と間接証拠(状況証拠)

民事でも刑事でも問題になりますが,

主要事実を直接証明する証拠を,「直接証拠」,
主要事実を推認する証拠を,「間接証拠」といいます。

間接証拠は,新聞等では,「状況証拠」と呼ばれることが多いでしょうか。

直接証拠の典型例が,目撃証言です。被害者がおれば,被害者の供述が,直接証拠になります。

ちなみに,直接証拠により得られる事実を「直接事実」,間接証拠により得られる事実を「間接事実」といいます。

直接の目撃者による証言が,直接証拠
証言によって顕出された事実が,直接事実
といい,間接事実も同じように,分類できます。


直接証拠がない場合は,よくあります。

被害者がそもそもいない犯罪や,被害者が死亡等によりいなくなってしまっていたり,例えば,「共謀」の事実,簡単にいえば,犯罪のサークルに入ったか否かの判断では,
元々,直接証拠は,本人の自白しかない
ということになります。

自白がなければ,結局,間接証拠で,事実が推認できるか?という判断が必要になります。

自白の扱いについては法律的に難しい問題がありますが,ひとまず,直接証拠か間接証拠かの分類でいえば,

共犯者が自白していれば,その自白も,直接証拠的になります。

典型的なのが「共謀」です。共謀は,当たり前ですが,犯罪決行の打ち合わせですから,被害者が見ていない場合も多く,直接証拠は,共謀者のいずれかの自白しかないことが多いといえます。

2.全ての否認と間接事実による認定

本人が否認し,共犯者も否認し,被害者もいない

ということになれば,間接証拠により,事実が推認(刑事では,合理的な疑いを超えてあると認められる必要がある)されるかという判断になります。

否認すれば,事実が認められないということにはならないという点は注意が必要です。

裁判所は,間接証拠により,本人が否認しようと共犯者が否認しようとも,間接事実により,合理的な疑いを超えてある(ない)と判断すれば,その事実を認定することができます。

3.間接事実の推認とは?

間接証拠は,事実を推認する証拠です。

このような証拠があるから,こういう事実が認められるはず
という証拠といえましょう。

たとえば,
いつもこうしていたから,今回も,こうしていた「はず」
という判断になります。

論理的にいえば,

いつもこうしていたからといって,今回は,違ったかもしれない

ということもありえます。

その意味では,間接証拠は,どこまでも「はず」の証拠です。


4.間接証拠への対応
間接証拠における「推認」の程度は,強いものと弱いものとがあります。
しかし,どうしても「はず」の証拠ですから,できるだけ多く集めるというのが基本的な対応といえます。

逆に,間接証拠の推認を妨げるためには,その間接証拠とは別個だが両立し得る別の(直接・間接)証拠を提出したり,間接証拠による相手方の主張による推認が間違いであるとの主張(証拠とともに)を展開することになります。

たとえば,いつもこうだったという証拠を提出されたら,
いや,違ったこういうこともあったという証拠を提出します。

よく,ネット上の意見で見受けられる
「推認」で有罪にできないというのは,間接証拠に基づき有罪にできないという趣旨であれば,完全な誤りといえます。



5.間接事実の推認の程度と他法理による制限

間接事実といっても,その推認の程度については,強い弱いがあります。

また,強い弱いにかかわらず,他の法理で制限されているばあいもあります。
たとえば,「前科」や「自白」です。

前に同種の犯罪をしていたから,今回もしていたはずだ。

間接証拠的な観点からみれば,かなり合理的なものといえますが,事実認定に,そのまま使われると,判断を誤る必要がありますので,そのままは使えません。

自白についても,同じで,信用されやすいからこそ,自白のみで有罪とされない(補強法則といい他の証拠が必要となります)ことが憲法上にも記載があります。