2014年7月23日水曜日

類推解釈の禁止:ライオンは「大型犬」ではない!

類推解釈の禁止:ライオンは「大型犬」ではない!


法律で何か面白いことはないか?

と探すのですが,あまりありませんw

しかし,一般に使われる基本知識的なものを書きたいとおもいます。

「類推解釈の禁止」
これは,刑事法,つまり,警察が動く,犯罪を扱う法律に関係します。その基礎は,罪刑法定主義にあります。

罪刑法定主義は,簡単にいえば,法律であらかじめ決まっているから国家による刑罰が正当化されるという原則です。そうでないとあとで法律を作って,お前は犯罪者!とできます。歴史的には,とても重要な原則です。

類推解釈の禁止とは,刑事法では,「類推」解釈はダメだ!という原則です。

正確にいうと,被告人(被疑者)に,「不利な」類推解釈はダメだという原則です。


なんか難しそうなので,具体例を書きます。

もともと,解釈の方針というのは色々あります。

たとえば,公園に
「ここに大型犬は入るべからず!」
という立て札があるとします。

じゃあ,小型犬は入ってもいいな!
というのが,「文言解釈」です。言葉の定義から,小型犬は,大型犬ではないからです(当たり前のようですが,解釈をしています)。

これは,「反対解釈」もしています。大型犬がダメといっているのですから,文言とは違う「小型犬」は入ってもよいと解釈することをいいます。厳密に言うと「大型」という文言については反対解釈を,「犬」という文言については文言解釈をしていることになります。

では,ライオンはどうでしょうか?ワニは?象は?パンダは?

書いていないから,いいとするのが「反対解釈」です。「大型」かもしれないが(ここは,文言解釈),「犬」ではないからというものです。

ちなみに,拡大解釈,縮小解釈というのは,文言自体を拡張・制限するものです。たとえば,ハイエナは?ハイエナは,イヌ科であり,「大型犬」の範疇である。ギリギリ拡張解釈といえるでしょうか。

よく似ているのが,「類推解釈」です。先ほどの例でいえば,

もともと,公園に入ってならないとされたのは,危険な動物はダメだという趣旨だから,ライオンはダメだ!とか,ワニもダメだ!とかとするものです。
文言的には,「大型犬」をいくら拡張しても,ライオンは無理ぽいです。ネコ科ですし・・・文言を超えるか否かが重要な指標です。犬を哺乳動物と解釈できれば,「大型犬」の中に入るといえそうです。しかし,文言的には,哺乳類を規制するならば,なぜ「犬」と書いてあるのか,文言が意味なくなるじゃないか!という批判もできます。

これが,類推解釈です。一見おかしなことを議論しているようですが,これは,刑罰規定でないからで,たとえば,立て札ではなく,

「大型犬を侵入させた者は,10年以下の懲役に処する」

とあれば,刑罰規定ですので,ライオンを入れた場合は,処罰されません。


類推解釈は,法的執行者,刑罰規定ならば,検察・警察などの捜査機関に解釈の余地を与えます。文言に書いていないのに捕まえることができるとすれば,結局罪刑法定主義が意味がなくなってしまうのです。

それなので,類推解釈をして捕まえるとは口が裂けてもいいません。あくまで,せいぜい文言の拡張だ!文言内だ!という議論になるのです。


日常生活に応用すると,変な人扱いされるかもしれません。それは,やはり,刑罰規定ではないからというのが多いです。

ここで,草履を脱ぎなさい!

草履履いていないので,脱がなくてもいいな!というのが反対解釈

草履脱ぐというのは,(汚れないようにするためだな)だから,靴だけど脱がないといけないな!というのが類推解釈

・・・・
……………………………………………………
(H260723追記)
民事では、当然認められるとするのが、類推解釈です。
類推適用は、民事では一般に認められます。
類推するに適する基礎があるか否かで判断されます。
先ほどの例でいえば、立て札のそもそもの趣旨は、大型犬のような「危険な動物」が入れば、同じく趣旨が害される。
だから、ライオンも入ることも禁止されるのも類推適用で当然である。

このように民事と刑事とは、判断が異なる場合があります。

……………………………………………………