2014年12月2日火曜日

「噂」による名誉毀損(やや専門向け)





H261202記載
名誉毀損が成立するためには、事実摘示を含む報道でなければならない。

単なる意見は、基本的には損害賠償等の対象となりません。くり返し書いています。

今回は、今話題の「噂」による名誉毀損について書きます。

1 「噂」と真実性
具体例

① ◎◎という噂がある。
② ◎◎という噂があるとある新聞社の記事に記載がある。
③ ◎◎という噂があると○○新聞社の記事に記載がある。

①の場合は、単に発信者(記者等)が、世間に出回っている◎◎という「噂」の名の下に、◎◎という事実を根拠資料なく書いているのであれば、名誉毀損となり得ます。


「噂」に根拠資料がない場合は、事実の真実性に考慮することなく、名誉毀損を免れるために、「噂」の名を借りて言っているに過ぎないからです。

ある新聞のコラムに頻出する用法ですが、
例えば、今なになにが流行っているが・・・などを頭に書いたうえで、実質的に自分の意見をいうものです。事実報道としては、全く価値のないものですが、印象報道としてよく用いられます。

「噂」の出典の明示は、基本的には必要ありません。真実性は明示するか否かにかかわらない要件となります。

②の場合は、より事実報道に近づきます。「ある新聞社の記事」に記載されているか否かが、事実摘示の判断対象となります。
出所を明示する必要はなく、真実性の判断としては、
まず、「ある新聞社の記事」が本当にあるのか、そして、
「ある新聞社の記事」に、どのように記載されているのかが問題となります。

この場合、記事の中身の真実性は問題となりません。ある新聞社の記事に、◎◎という噂が載っていること自体が、真実であれば、真実性はクリア(名誉毀損とならない)となります。


新聞報道機関には、取材源の秘匿の原則があります。報道の自由には不可欠な要請です。それ故に、報道機関には、高い倫理が求められるとともに、事実の報道をすると一応されているという社会的基盤があるといえます。


③は、出典を明示したものです。報道された記事の真実性は、報道機関による取材源秘匿の原則に阻まれ、記事の真実性を確かめる手段は少ないといえます(悪いとは言っていない)。
出典が明示された場合は、それに自ら接触できることができます。
ネット上では、ソースをよこせ!と常態化しているものです。

2「噂」と公益目的

報道機関による発信は、通常「公益目的」があると考えてよい。

特に、公の社会的に地位がある人への事実報道は、仮に、私生活上の記事でも、公益目的は直ちに否定されません。

「公益目的」の要件は、一般人による発信では、結構問題となります。が、報道機関が、特に公の地位の者に対して、そもそも、公益目的でない、中傷誹謗の目的のために、記事にするということは考えられないからです。

そのため、報道機関に対する名誉毀損では、主戦場が、「事実の真実性」となります。


3 「噂」と情報の価値(H261211追記)
◎◎という「噂」が、
○○新聞社の記事にある
というものと、
そうでない媒体に載っていると比べて、
その「噂」に価値があるか
否かの指標にもなるともいえます。

単なる「噂」かと思ったが、権威ある新聞社の記事とまでなった、というのは、記事の真実性とは別に、それなりの価値があるといえます。事実の真実性を確認しようがない(確認できない)「噂」では、その「噂」を元に確かに○○新聞社の記事となったこと、が真実性の立証対象となります。

……………………………………………………