2015年2月27日金曜日

弁護士と弁理士とのはざまで(一般向け):弁理士のみで知財訴訟はいいんでないか? vs いや、だめじゃ。 





H270227追記
今回は、弁護士と弁理士とのはざまならではということで、

弁理士のみで知財訴訟はいいんでないか? vs 
いや、だめじゃ。 

について書いてみたいと思います。

現行法上は、弁理士のみで、知財訴訟はできません。特定侵害訴訟代理権が付記された弁理士のみが、弁護士との共同代理で訴訟を行うことができます(厳密にはもう少し記載が足りないが分かりやすく書いています)。

その上で、改正の方向性や政治的動きも踏まえて出たり入ったりしているのが、弁理士の単独代理への動きです。

職域の問題があるので、私(主軸は弁護士)も、中立性があるとはいえないのですが、一般向けとして思うところを書きます。

弁護士:知財といっても、ほとんどの弁護士は、他の事件をすることも多く、また、今は知財しかしないという弁護士も、若い時には、一般事件の経験も多いことが多い。知財事件しか知らないということはほとんどなく、資格の取得から考えても、ひととおりの法的知識、民事・刑事・手続法全般、または、訴訟に限らず訴訟前(交渉)事件全般の紛争解決のプロである。

弁理士:大多数は、特許庁に出願をするための「明細書」(わかりやすくいえば、特許の根幹となる書類です)作成業務のプロである。資格の科目からも、知財絡みの法律については理解はあるも、民事法(特に、民法等基本法)一般については疎く、さらにいえば刑事法・手続法については、より疎い(もちろん例外もあることは承知)。知財紛争でも、実務的には主として技術的主張・見解についてを担当することも多い。

大きく分けるとこんな感じでしょうか。
知財弁護士というと、弁護士の中では、スペシャリスト的立場にあるといわれることが多いが、知財紛争でいうと、
弁護士がジェネラリスト的立場、弁理士がよりスペシャリスト的立場にあるといえます。

ついでにいいますが、知財関連法律といっても、
技術的側面が主に問題となる特許法・実用新案法と、商標(特に図形)・意匠とは、かなり色合いが異なりますし、更に、営業秘密などを問題にする不正競争防止法は、さらに、技術からは離れていきます。


また、
技術を検討するときも、弁護士と弁理士の考えは、結構異なってきます(これも印象ですから全てではありません)。

たとえば、内部で、打ち合わせの中で、こちらに弱い技術の話が出てきた時、

正直ベースで言おうとする傾向が強いのが、弁理士で、
なるだけ言わないでおこうとする傾向が強いのが、弁護士です。

いい悪いではなく、欠点は欠点と認めて、より中立的にものごとを見ようとするのが弁理士といえましょうか。

どこまでの欠点かというところも、もちろん問題になりますので、弁護士といえども全てを隠したり、事実に反することをいうことはしませんが(これをすると、より悪いです)、全てをさらけ出すことはしなくてよいと、なるだけ考えるのが弁護士です。

これは、技術の考え方と裁判の考え方の違いでもあります。

民事裁判では、
「弁論主義」という大きな建前があります。特定侵害訴訟代理権を付与するための研修でも大きなテーマとなる、民事事件での必須項目です。

なかなか弁理士の世界にどっぷりいると理解されない概念かもしれませんが、簡単にいうと、「弁論主義」というのは、争いがなければ、そのまま認定されるという原則です。

この「そのまま」というのは、どこまでの事実ということも問題にはなりますが、お互いが争っていなければ、「真実」を追及されることなくそのまま認定されたり、「真実」ではないことが「事実」として認定されるということです。


弁護士は、いつも、必ずしも「真実でない」世界にいます。
そういう意味で、自分から敢えて弱い事実を、積極的にいう必要がない、そのような態度に出がちです。

そんな感覚からすると、知財訴訟も訴訟である以上、弁理士のみというのは、どうかな。
というのが、私としての感想です。

今の現行法は、割りとそういう感覚同士を内部的にも戦わせることができるという面では、割りとよくできているとは思います。

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