2015年5月25日月曜日

新しいシステムと変わり得る法律手続の進め方(一般向け)




H2705025記載
新しいシリーズといえましょうか、新しいシステムと変わり得る法律手続の進め方を書きます。新しいシステムが導入される、された場合、そのシステム自体の法律適合性がよく議論されます。それはそれで必要なことですが、一旦制度として始まってしまえば、あまり実用性はないといえます。

   

1  新しいシステムと変わり得る法律手続の進め方

新しいシステムが導入されると、よく新しい法律問題として議論がされます。それはそれで必要なことですが、いったん制度として始まったら、一般の人には、今までの手続の進め方が、どのように変わり得るのかを書く方が実用的とおもわれます。法律自体は変わらなくても、今までこのような段取りをしていたのが、違う段取りとなった。メリットとデメリットを分けて考えていきます。

2  銀行の生体認証システムと変わりうる法律手続の進め方

新しい法律問題として、生体認証は云々といわれても、実用的ではないので、ここでは、生体認証システムが導入され、手続の進め方で何が変わり得るのかを書きます。
 

2.1  引き出し金額が多くなる・・・たとえば保釈のとき

たとえば、りそな銀行(<2015-05-25 Mon>現在)だと、引き出し金額が、従前よりかなり大きくでき、一日あたりATMで500万円までできます。生体認証は、本人確認としてはかなり確実であるという経験則・根拠があるからといえます。ATMによる、というところが大きな意味を持ち、現金が必要な手続の場合には、かなり(弁護士にとっても)有用です。

たとえば、保釈保証金とか、訴訟上の和解のとき、かなり大きな現金が必要となります。

たとえば、保釈保証金は、基本、現金で裁判所指示の金額を積む必要があります。最低は、おおよそ、150万円です(<2015-05-25 Mon>現在)。流れとしては、保釈請求→保釈決定の際に具体的な金額指示→金額を積む→釈放という段階で手続が進みます。弁護士としては、最低こんなけ(150万の現金)が必要です。といいますが、ネックとなるのは、銀行から依頼者が出す、または、弁護士が銀行から出す、という本来の法律的な手続とは別の銀行に関する手続です。窓口を使わないですみますので、土日祝日でも、手続の進行が可能となります。

とにかく保釈の場合は、現金を積めば、その日に出れます。逆に積めなければ出れません。銀行の生体認証システム導入による、ATMによる多額現金の引き出しが可能となったのは、保釈の手続だけをみればかなり進歩といえます。


訴訟上の和解でも多額な現金が必要となる場合があります。訴訟上の和解の場合、相手方があまり信用できない場合は、和解の席の場で、和解金(解決金、示談金etc)を、積ませます。こちらが不利なときでも、現金をその場で持ってくるということ自体が取引の道具としてなることもあります。たとえば、あと100万円の現金で和解が可能となったとき、いったん中断してATMで引き出して積む、和解は、その気になっているときにまとめることが肝心ですから、こういうときも、有用です。

2.2  自分しか引き出せない・・・たとえば、死亡したとき

もちろん、いいことばかりではありません。生体認証システムによる銀行手続は、当然ですが、本人の指が必要となります。銀行の約款上の問題は別として、カードと暗証番号さえあれば引き出しができましたが、生体認証システムによる場合は、当たり前ですが、できなくなります。

ある者が死亡したとき、問題が生じて相談事例も多いものとして、銀行に凍結されて、相続人(死亡した人のことです)名義の預貯金がおろせず、葬式代もでない。というものがあります。

生体認証システムの場合は、銀行が死亡の事実を気づく気づかないを問わず、凍結の手続をするしないにもかかわらず、この問題が生じます。
難しい問題ですが、葬式代については、別途確保することを十分に考える必要があります。保険、現金保管、葬儀主催者名義に入れるなどが別に考えられる手段となります。

3  レターパック(ライト・プラス)の活用による従来からの変化(<2015-05-28 Thu>記載)

レターパックについては、かなり色々なところで書いています。従来、書留しかなく、かといって、他のメール便等では不十分なところが、かなり便利になりました。これもシステムの変化による法律手続の進め方の変化ということになるかとおもいます。法律は変わりがなくても新しいシステム(制度・・・)の出現により、従来こうやっていたことが、こうなった、こうなっているという実用面からの記載です。

3.1  レターパックによる隠れた効用・・・内容証明との違い

内容証明は、特に、e内容証明でないものは、相手をビビらせる効果が多少なりともあります。あえて、e内容証明を使わない弁護士もいます。逆に、内容証明だ!ということで、特に弁護士からだ!ということで受け取りを拒否される場合もあります。レターパックは、差出人は書かないでもいけますし(当然中の文書には書きます)、それなりの違いはありますね。

3.2  レターパックの種類による使い分け

レターパックには、「ライト(青)」と「プラス(赤)」があります。最大の違いは、「ライト」は、ポストに入れる、「プラス」は、相手から受領(印)をもらうという点でしょうか。「プラス」のほうが、確実に相手に届けられているという意味があります。反面、受け取り拒否がされれば、「プラス」は、もどってきてしまう。そんな違いがあります。
値段も違いますので、この違いは、用途に応じて、色々使い分けることができます。

3.2.1  とにかく読んでもらいたい。

 この場合は、ともかくも、ポストに入れてもらう。不在でも対応できる「ライト」が適切でしょうか。

3.2.2  到達が必要な場合、発信が必要な場合

 法律的な手続では、書面の到達が必要な場合と、書面の発信が必要な場合があります。各々到達主義、発信主義といいますが、受け取りを拒否されても、法律的には「到達」といえることが多いですが、不在の場合は、疑われるでしょうか。論理的な問題はともかく、「プラス」の場合は、不在で着いていないというが、はっきりしてしまいますので、とにかく「到達」している事実が欲しいならば、「ライト」で足りる、といえましょうか。

また、発信が必要な場合は、値段もありますし、「ライト」でよいということになります。

実は、このへんのところは、まだ法律的な議論は未熟ですし、裁判例もありませんが、このようにとりあえず考えられます。

3.3  内容証明代わりのレターパック

 従来、今でもそうですが、これこれの記載の内容を相手方に言った。という証拠として、内容証明郵便があります。e内容証明により、従来よりは簡単になったとはいえ、やはり、内容証明にはそれなりのテクニックが必要となります。また、内容証明の最大の欠点は、書類添付ができないという点です。すべて文章で表現尽くす必要がある。これも工夫とテクニックが必要でした。

 レターパックは、書類添付ができます。契約書とかを添付して一体の文書として楽に正確に作ることが可能です。これも利点の1つです。


参考リンク:


3.4  レターパックの欠点

といっても、いつもレターパックでいいかということにはなりません。内容証明とは違い、果たして、このレターパックには、言っている内容の書類が入っていたのかという問題は生じます。これが、レターパックの欠点です。たとえば、レターパックに入れて封をして、投函する一連をビデオで撮るなどすればいいのかもしれません。
 しかし、この場合は、古典的ですが、内容証明により文章に書き尽くすというのが、もっともよいということになります。

………………………………………………………………………………