2015年6月1日月曜日

商法526条:無駄な主張立証の回避…「瑕疵」の主張立証とからめて




H270601記載
割りと人気な投稿に追記しました。商法526条は、かなり買主に厳しい規定ですが、不要な主張立証をしないようにするための規定ともいえます。


   

1  はじめに

商法526条について以前書きましたが、さらに、なぜ商法526条が有用なのかを書きます。「瑕疵」主張とも関係があります。

2  商法526条の主張立証:買主に厳しい規定

ある目的物に「瑕疵」があったときでも商法526条の適用があれば、損害賠償等されません。その要件は、結局、検査・通知義務となります。検査しなくとも認められず、通知をしなくても認められず、通知が遅くとも認められないという(買主にとってみれば)かなり厳しい要件となっています。

3  商法526条の適用範囲:「商人」間の取引

「商人」間というのは、簡単にいえば、「会社」間、「事業主」間で問題となります。いくら小さな会社、いくら小さな事業でも基本は関係がありません。消費者の立場とは異なる規定がされます。
この規定自体は、商人間の取引において、取引の早期確定という大きな意味があります。 

4  「瑕疵」主張の難しさ

商法526条の適用がなければ、「瑕疵」の問題で争いとなります。「瑕疵」とは、簡単にいえば、不具合ですが、実は、かなり難しく技術的問題も議論されることもあります。
「瑕疵」の主張の中身としては、

 - 1 不具合の現象

 - 2 1の不具合の現象が生じた技術的理由・根拠

 - 3 2が売主の責任となるものか

が、問題となります(法律的な厳密な要件としては書いていません。分かりやすく書いています)。

1は、たとえば、「家で雨漏りが出た。」(注 不動産は、あまり例としては適切ではありません。分かりやすい現象の例としてあげています。というものです。一見これだけで足りるとも思いますが、単に「雨漏り」といっても、実は多様な原因があるはずです。 売主の施工等にかかわらないものであれば、売主の責任となるべきものとなりません。

そこで、2の主張立証が必要となります。もちろん、瑕疵を主張する「買主」側にあるのですが、売主側としても、2を言われたら、厳密な検討をしていかねばなりません。

これこれ、こういう(技術的)理由で、1の現象が発生しているが、これは、売主の責任ではない(3)。

こういうことももちろんあります。

5  商法526条の売主側の優位性

いったん売買が成立し、売上となったものが、あとから、上記のことを議論せねばならないというのは、時間的にも労力的にも多大な負担がかかります。

商法526条は、買主に検査義務と通知義務を課すことにより、上記の議論をする無駄を省くことになります。


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